野ネズミとドングリ の商品レビュー

島田卓哉(著者)

2022/04/12

森で暮らしていているネズミたちの食べ物であるドングリ。安全と思われていたその食べ物がネズミにとって致死性の毒を含んでいたことへの気づきから始まった研究の記録です。丁寧で丹念な研究の足跡を読み進めてゆくと、日本の森の植生や生態系、動物たちの生存戦略、本来異物であるものを生体内に取り込む「食べる」という行為の難しさなどが証されてゆきます。本の中で研究者と共に森の中をドングリを拾い歩き、ネズミたちと対話しているような感覚をもちながら、研究という世界の面白さを堪能し、森林生態系について知ることができる本です。挿絵や表紙絵もとても素敵です。