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廃墟からの歌声 の商品レビュー

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2022/06/15
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著者のシャル博士は1922年生まれの科学者で1949年から断続的に1987年まで日米を行き来しながら、原爆の放射線が人間にどのような遺伝的な影響を与えたか調べた人である。被爆者とその2世たちを対象に膨大な人を広島、長崎で調査し、放射線影響研究所の研究員として、活躍された人である。  この本はその放射線の影響のことにも触れているが、長期にわたって滞在したアメリカ人科学者から日本の社会がどのように映ったのかについて書いている。原著のサブタイトルは「原爆投下後の日本に滞在したアメリカ人科学者の叙情的回想」だそうで、さまざまなことが思い出として描かれている。あくまで思い出を叙情的に書いているので、登場する人物の人となりについての記述も少ない。日本の社会を少し遠くから科学者の冷徹な目でみている。しかし旅行者ではないので、日本の家に住み、近所付き合いなどもしながらの観察なので、しっかりと観察が行き届いている。  日本の経済が復興していく様子や、政治に対する目、そして職場での合議のやり方などさまざまな日本の側面をみている。そして批判はしない。あっこうするのね?日本人はといった調子である。  現代にいきる私たちからの懐かしい日本の風景がたくさん描かれている。  また著者の目で日本の歴史も簡潔に描かれ、興味深い一冊となっている。原著が書かれたのが1990年なのでそれから30年以上の時が経って翻訳がでたことを喜びたい。

Posted byブクログ