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消された水汚染 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2024/02/11

推理ドラマを読んでいるような筆者の推理力と行動力に感服。 何十年も前から東京の地下水が汚染されていたこと、調査していながら公表しない隠蔽に驚いた。

Posted byブクログ

2023/06/20

フッ素化合物、PFOA/PFOS、ダイオキシンに劣らない人工の猛毒物質が日本の地下水を汚染している現実を知っている人は日本で何人いるのだろう? 本書ではPFOA/PFOSの汚染具合が詳細に記載されているが、何といっても興味深かったのは水を管理する公営団体(都や市)に対して尋常で...

フッ素化合物、PFOA/PFOS、ダイオキシンに劣らない人工の猛毒物質が日本の地下水を汚染している現実を知っている人は日本で何人いるのだろう? 本書ではPFOA/PFOSの汚染具合が詳細に記載されているが、何といっても興味深かったのは水を管理する公営団体(都や市)に対して尋常でない回数の問い合わせと情報開示請求を実施している点だった。 結論があいまいで市民の混乱/クレームを生みかねないデータの公表を控えたい公務員研究者の気持ちも一瞬考えたが、著者のこういった地道で骨が折れる努力によってこのような事実を知ることができた訳で、逆に言えばそういった追及がなかったら事実が隠ぺいされていた訳である。僕たち/私たちは税金を納めている訳で、こういったデータはもっと整理/公開されるべきで、丸々の黒塗りなど言語道断で、時代遅れな役所の怠慢隠ぺい体質には失望するとともに、一刻も早く改善されるべきだと強く感じた。 その一方、日米地位協定という絶望にはつらいものを感じた。アメリカとは仲良くしてほしいが、言うべきことはしっかり言うべきであって(正直能力不足だが)国会議員達は何とかすべきであると思った。 と、色々書きましたが、最近読んだ親書の中では結構満足できる一冊でした。

Posted byブクログ

2023/05/30

先日たまたま見ていたNHKの番組で特集していた有機フッ素化合物。そのあまりの恐ろしさにビビりました。 そしてこの本を読んでさらにビビりました。 何が怖かったって…有毒さはもちろんですが、日本の隠蔽体質のすごさがもうエグイ! 有機フッ素加工物は永遠に残る有害物質の一つ 焦げ付か...

先日たまたま見ていたNHKの番組で特集していた有機フッ素化合物。そのあまりの恐ろしさにビビりました。 そしてこの本を読んでさらにビビりました。 何が怖かったって…有毒さはもちろんですが、日本の隠蔽体質のすごさがもうエグイ! 有機フッ素加工物は永遠に残る有害物質の一つ 焦げ付かないフライパンの加工、半導体、防水スプレーなどの製造工程に使用したり、泡で火を消す消火剤にも使用されている。多くはPFOS,PFASと呼ばれている。 実は日本の水源を汚しており世界中から見ても かなりの高濃度で汚染されている。 その原因は米軍が使用する消火剤 まれに大阪の摂津市では大手空調メーカーが過去に垂れ流ししていたものが土壌でとどまり続けて…というパターンも 怖いのは米軍が垂れ流しているにもかかわらず 日本が調査に入れない&取り締まれないということ そのため、臭いものにふたをする…的に 調査を機密情報にしたり、隠したりをし続けているということ。 つまり日本人の健康被害を知りながら 日本の政府はアメリカさんの顔色を窺って守り切れなくて知らんふりしているということ あ~もっと東京都民にこのことを知ってほしい! どうしたらいいんだろ? いやいや、東京都民だけじゃなくて 日本全国の人に知ってほしい~ もちろん大阪府も摂津市の被害にメスを入れてほしい~ 摂津市の畑が汚染されているということは 大阪の地下水も汚染されている可能性は高いと思う この本の著者が何度も東京都でこのフッ素化合物の調査結果のデータを開示をお願いしても全く取り合ってもらえなかったことを書かれているのだけど、もうなんだろね…読んでいてむなしくなる。 日本の水は安全だと思って水道から飲んでいるけど 実はそうではなかったという恐ろしさ これからもきっと健康被害は増えると思う さてさて私たちはこれからどうするべきか…

Posted byブクログ

2023/05/11

諸永裕司『消された水汚染』読了。最近クロ現でも特集されたPFAS問題について独自取材した朝日新聞記者による新書。PFASの問題や環境汚染や公害、あるいは米軍基地問題で語られがちだけれど本書では取材を通じて行政による情報公開やメディアの在り方を問う、まさに"調査報道&qu...

諸永裕司『消された水汚染』読了。最近クロ現でも特集されたPFAS問題について独自取材した朝日新聞記者による新書。PFASの問題や環境汚染や公害、あるいは米軍基地問題で語られがちだけれど本書では取材を通じて行政による情報公開やメディアの在り方を問う、まさに"調査報道"を読ませる一冊。 率直にいって、PFAS問題そのものやリスクコミュニケーション、サイエンスコミュニケーション的な内容を期待していたのでやや肩透かしを食らった感はあるものの、行政がここまで終わってるのかという絶望とともに調査報道の重要性とその再興を渇望せずにはいられない。そしてこの本を読んで印象に残ったことには「調査報道」には(良くも悪くも)ドラマがあり、正義があり、一つの立派なエンタメになりえるのではないかということ。消費されてはいけないが、社会不正が横行する昨今にそれを糺すことへの求心力をもちうるのでは、と。

Posted byブクログ

2022/06/16

これは、永遠の化学物質と呼ばれる有機フッ素化合物による水汚染問題を追い続けた、朝日新聞の記者のレポートである。有機フッ素化合物とは、焦げ付き防止加工のフライパンや、ハンバーガーなどの包装紙、化粧品、レインコート、半導体、泡消火剤など、身近な用途に多岐にわたって使用されている化学物...

これは、永遠の化学物質と呼ばれる有機フッ素化合物による水汚染問題を追い続けた、朝日新聞の記者のレポートである。有機フッ素化合物とは、焦げ付き防止加工のフライパンや、ハンバーガーなどの包装紙、化粧品、レインコート、半導体、泡消火剤など、身近な用途に多岐にわたって使用されている化学物質である。水や泡をはじく便利な素材ではあるが、この化合物は互いにくっついて離れず、壊れにくい性質のため、いつまでも消えないという特性を持っている。したがって長期にわたって環境や人体に蓄積されていく。本書はその環境汚染問題のみならず、取材を進めていくにつれて次々と明るみにでる、この国の都合の悪いことには目をつむってやり過ごそうとする保身体質、意図的に情報開示を拒む隠ぺい体質、そしてそのためには平気でうそをつく欺瞞体質、さらには不平等な日米関係の象徴でもある基地問題にも触れた、この国の危うい足元を見つめる論考でもある。

Posted byブクログ