威風堂々(下) の商品レビュー
どんなに立派な人でも晩節を汚す事が多い。でも大隈重信は違った。じゃあ何が違うのか、という事をここまで面白く物語る。小説を読みながら付箋を貼りまくる。伊藤潤さん、凄すぎです。
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明治維新後、世界に近代国家としてデビューした日本ですが、多くの問題を抱えていました。 西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、山縣有朋をはじめとする薩長による藩閥政治の巨大な壁。 テロに遭い片足を失っても、信念のために邁進する大隈重信。 国会開設、政党政治への移行、内閣総理大臣就任、早稲...
明治維新後、世界に近代国家としてデビューした日本ですが、多くの問題を抱えていました。 西郷隆盛、大久保利通、伊藤博文、山縣有朋をはじめとする薩長による藩閥政治の巨大な壁。 テロに遭い片足を失っても、信念のために邁進する大隈重信。 国会開設、政党政治への移行、内閣総理大臣就任、早稲田大学創設と、後の日本の礎を築いた大隈重信の生涯を描きます。 感動しました! 「社会に出るのは武士の初陣と同じで難しい。社会には伏兵も多くいるはずなので必ず失敗する。だが失敗に落胆はするな。失敗は糧となり、必ずや成功に結び付く。失敗こそが学びの機会であり、社会という大洋を航海するには、学問という羅針盤が必要だ」 ー 321ページ
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大隈重信を描いた歴史小説の下巻。 維新後から重信が亡くなるまでを描いている。 士族の反乱に関しては直接関与もしていなかったこともあり、故郷の佐賀の乱については多少詳しく描かれていたが、西南戦争も含め冷めた感じがしました。 また、次々に維新時の関係者が死んでゆくのですが、大隈と最...
大隈重信を描いた歴史小説の下巻。 維新後から重信が亡くなるまでを描いている。 士族の反乱に関しては直接関与もしていなかったこともあり、故郷の佐賀の乱については多少詳しく描かれていたが、西南戦争も含め冷めた感じがしました。 また、次々に維新時の関係者が死んでゆくのですが、大隈と最後に会った後でその後の死までを解説するので、次の話の時間軸と異なってしまい時系列的に混乱させられました。 しかしながら大隈一代記としては良くできていると思いました。 良かった点としては、鍋島閑叟や五代友厚からの最後の諫言が素晴らしく、一般的にも通用すると思いました。 あと、外国との対峙の考え方ではで寄らば切るぞ、武士は刀を抜かぬのが最高という思想から、軍事力は餅ことは必要だが使ってはいけないというのも至極もっともでした。 さらには、植民地などという非効率なものではなく後進国も育てることで対等の貿易を行えるようにすれば双方潤うというのも自分の考えと合致するものでした。 自分は慶応出身なので、福沢諭吉との教育論なども面白かったし、早稲田の校風の原点も理解できました。
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「上巻」の冒頭で、最晩年に至った大隈重信の所に、佐賀での少年時代から互いを知っている、早稲田大学の講師になっていた久米邦武が訪れる序章が在る。その場面に戻る訳でもないが、この下巻は「明治時代の大隈重信」が一貫して語られ、最終的に大正時代に2度目の首相を務めて他界してしまう辺り迄の...
「上巻」の冒頭で、最晩年に至った大隈重信の所に、佐賀での少年時代から互いを知っている、早稲田大学の講師になっていた久米邦武が訪れる序章が在る。その場面に戻る訳でもないが、この下巻は「明治時代の大隈重信」が一貫して語られ、最終的に大正時代に2度目の首相を務めて他界してしまう辺り迄の物語が綴られる。 「何事かを夢見た若者達の一群」の中に在った大隈八太郎が明治政府の官吏、やがて政治家となって行くまでが描かれた上巻に対し、下巻は明治時代以降の「より大きな動き」の中での大隈重信が描かれることになる。 明治時代に、或る時は主流を、或る時は非主流、更に反主流という場合さえ在った大隈重信であるが、同郷の人達が巻き込まれた事件や、自身を襲った悲運というようなことを乗り越えながら歩むこととなる。そういう様子が生き生きと描かれているのが本作だ。 そういう傍ら、現在でも一定の評価を得ている私立大学を起こすというような活動もしたのが大隈重信だった。場合によって、少し位は疎まれようとも、それをものともしない。正しく小説の題のとおり「威風堂々」という生き様が、読んでいて少し心地好い。 作中、友人と言い得る間柄の五代友厚が、抜きん出た才気の故に孤高になってしまい易い大隈重信の性質を指摘する場面が在る。そういう一面は否定出来ないのかもしれないが、それでも「迎合し過ぎない」というような姿勢を大隈重信は貫いた感が在る。 何やら「同調圧力」のようなモノが異様に強いような、少し複雑化しているように見える現代であるからこそ、「抜きん出た才気の故に、傍目に不器用にも見える生き様」という大隈重信の有様が眩しいような気がする。 本作は新聞に連載された小説作品を単行本に整理したというモノであるようだ。そういうことで、「連載の痕跡」というような適当な区切りも在るので、或いは読み進め易いかもしれない。が、自身は兎に角夢中で「如何する?如何なる?」とドンドン読み進めた。 分量が多めな上下2巻の小説だが、夢中になってしまい、あっという間に読了に至ってしまった。少し旧くなるのだが、佐賀に在る大隈重信の生家や記念館を訪ねてみたことが在った。そこを再訪してみたいという思いが強まった。 広く御薦めしたい作品だ。
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真の武士は戦わないのが葉隠の教え 武士である大隈重信は国家の為だけを想い 経済で教育で外国に立ち向かおうとした (言うまでもなく早稲田大学創設者) 実はイメージでは頭のネジが飛んだ人 アメリカへの宣戦布告まがいの態度 明治大帝の「大丈夫か?アイツで?」 抜け駆け的な憲法草案の奏上未遂 本書で五代友厚の忠告を読んで納得した 短所5ヶ条(笑)頭が良すぎる故の欠点 ①愚説愚論も最後まで聞く ②同様意見は部下のを採用し徳を広める ③見苦しい怒気を慎み徳性を保つ ④会議は意見百出で方向見えたら決断 ⑤好まぬ人にこそ丁重に親しく交際 そして明治天皇に嫌われていたから大成 出来なかったのだと思った 上巻はまだ読んでいない(´・ω・`)
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大隈重信の生涯を描いた評伝的小説。 かなりの力作、佳作と思います。私自身早稲田大学卒業ですが、大隈重信のことはあまりよく知らず、どちらかというと強い主義主張があるというより政局の人的な勝手なイメージを持っていましたが、この作品では大局観を持った孤高の硬骨漢として描かれていて、さす...
大隈重信の生涯を描いた評伝的小説。 かなりの力作、佳作と思います。私自身早稲田大学卒業ですが、大隈重信のことはあまりよく知らず、どちらかというと強い主義主張があるというより政局の人的な勝手なイメージを持っていましたが、この作品では大局観を持った孤高の硬骨漢として描かれていて、さすがにこれは良く描かれ過ぎだろう…とやや思いつつ、大隈重信観が変わりました。(というか初めて知ったこと多数なのですが 苦笑) だいたい、慶応の附属校に入ると福沢諭吉の著作を読まされたりするようですが、早稲田に入っても大隈重信のことは全く教えられないですからね… この辺りは早稲田創建時からの(大隈の望んだ)校風なのかもしれません。 なぜ書名に「大隈重信の生涯」とか入れなかったのですかね?とても面白く読ませてもらいました。
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次世代を育てる。教育はやはり重要だ。微力ながら、頑張ろうと思う。 伊東さんの本は、読んでいて考えさせられることが多い。特に本作では、大隈に対する注意が胸に響いた。鍋島閑叟の死の直前の大隈への言葉、温室での久米とのやり取り。もちろん、大隈と自分が同じなわけはないが、あぁ、気を付け...
次世代を育てる。教育はやはり重要だ。微力ながら、頑張ろうと思う。 伊東さんの本は、読んでいて考えさせられることが多い。特に本作では、大隈に対する注意が胸に響いた。鍋島閑叟の死の直前の大隈への言葉、温室での久米とのやり取り。もちろん、大隈と自分が同じなわけはないが、あぁ、気を付けなきゃな、と思った。 折に触れて、読み返したい一冊。 そして、叶うことなら、早稲田に入りたい。
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これは、なかなか面白かったです。「佐賀」とありますが、大隈重信が主人公。明治維新の立役者は「薩長土肥」と言われながら、新政府では薩長閥が中心となるなか、それ以外の藩(主に備前藩)の動きがわかります。「NHK大河ドラマ」狙いかと思われる展開で、幕末から第一世界大戦頃までの有名人が...
これは、なかなか面白かったです。「佐賀」とありますが、大隈重信が主人公。明治維新の立役者は「薩長土肥」と言われながら、新政府では薩長閥が中心となるなか、それ以外の藩(主に備前藩)の動きがわかります。「NHK大河ドラマ」狙いかと思われる展開で、幕末から第一世界大戦頃までの有名人がオールスターで登場。小説ではありますが、立派な政治史でもあります。 初めて知ったことは、大隈重信が「西洋事情」「学問のすゝめ」などを読んで福澤諭吉を私淑して教育に目覚め、一方で実際の政策に反映しようとしたこと。圧巻は、第6章の「進取果断」で、福澤諭吉が大隈重信に国のあり方を説く場面。その後、大隈重信はあまりに急速に近代化を推し進めようとして失脚しますが、翌年、東京専門学校(早稲田大学)を設立。後に、爆弾を投げつけられて右足をなくしながらも、教育に力を入れつつ政府の要職を歴任し、常に福澤諭吉を師と仰いでいる姿が描かれています。その意味で、一般的には「早慶」と言われますが、ものの順番からすれば「慶早」が正しいのではないかと思いました。 政治家としての大隈重信は、毀誉褒貶相半ばとは思いますが、大隈重信という人物を介して、幕末から大正にかけての歴史を振り返るのに最適の一冊です。
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薩長土肥といいながら薩長土の影に隠れがちな肥=佐賀。 名君といわれた鍋島閑叟やからくり儀右衛門も知られているが、本書の主人公である大隈重信が薩長のような倒幕活動ではなく、官吏としての有能さや実績で新政府に登用され、その後首相にまで上り詰めたことは知らなかった。 佐賀新聞での連...
薩長土肥といいながら薩長土の影に隠れがちな肥=佐賀。 名君といわれた鍋島閑叟やからくり儀右衛門も知られているが、本書の主人公である大隈重信が薩長のような倒幕活動ではなく、官吏としての有能さや実績で新政府に登用され、その後首相にまで上り詰めたことは知らなかった。 佐賀新聞での連載とのことで多少美化されているのかもしれないが、藩閥政治、特に伊藤、山縣の長州閥政治を横からの客観的な視点でみる景色は新鮮。
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日本という新しい国家のために邁進する大隈重信。国会開設、内閣総理大臣就任、早稲田大学創立――。その激動の生涯を描く歴史巨篇!
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