IDOLY PRIDE Stage of Asterism(3) の商品レビュー
第2巻のアニメエピソード相当分がダイジェスト気味だったから、この第3巻ではどこまでやるのかと思いきや、アニメ最終回相当分までやりきったよ……。その分、ページ数も凄いことになってるけど アニメは麻奈と牧野の物語にアイドルの卵たちが関わってくるという構図であったように感じられたのだ...
第2巻のアニメエピソード相当分がダイジェスト気味だったから、この第3巻ではどこまでやるのかと思いきや、アニメ最終回相当分までやりきったよ……。その分、ページ数も凄いことになってるけど アニメは麻奈と牧野の物語にアイドルの卵たちが関わってくるという構図であったように感じられたのだけど、本コミカライズはさくらと琴乃の物語に他のアイドルや麻奈や牧野の物語が絡みついてくるという構図であるように感じられたかな コミカライズはアニメのストーリーをなぞりつつ省略されている部分は確かに多い。けれど、さくらと琴乃が自分達の立つステージや歌をどう感じているのか、そして互いの存在をどう捉えているのかという点はしっかり描いていたね さくらと琴乃を中核として再構成されつつも深く関わってくるのは長瀬麻奈の存在。さくらの歌声は麻奈の再来と呼ばれ、琴乃は麻奈の妹として見られてしまう そういった意味ではこの第3巻で描かれたのはそれぞれが麻奈の影を振り切って、オリジナルのアイドルとして独り立ちする物語だったのかもしれない さくらの中には麻奈の心臓が有り、その御蔭で星見プロに入り人気を博す事になった。なら、そこから離れられないかというとそうではなく、さくらが自分の歌で歌おうとすれば麻奈が消えてしまいそうになったように、さくらには自分だけの歌声で歌える可能性はあったんだよね。ただ、これまでは心臓の示すまま純粋に歌っていたからそれに気づかなかっただけで 報道に拠って、そして牧野と麻奈の言葉によって改めて自分を構成している物が何で在るかをさくらは知った。それを知れれば始まるのはさくらだけの物語に成り得るんだよね 一度は自分は麻奈ではないと麻奈の歌を歌わないと決めた。その後に琴乃の願いに拠って麻奈の歌を歌った。それは心臓が示した想いではなく、間違いなくさくらが自分の意志で決めた歌だと言えるのだろうね 琴乃がアイドルになったのは酷いことを言ったまま今生の別れになってしまった姉の歌を歌うためだった。琴乃も琴乃でもう存在しない麻奈の影を追い続けていた。いわば麻奈が出来なかった事を代わりにやって罪滅ぼしをしたいとの想いか そんな琴乃を変えたのは麻奈の歌声を持つさくらと琴乃とは別の方法で麻奈を追い続けた莉央の存在が有ったからだろうね 自分が歌わなければと考えていた麻奈の歌はさくらが歌ってくれた。また、莉央は麻奈に成り代わることだけが麻奈の存在を埋めることになるわけではないと教えてくれた さくらと違って琴乃は麻奈と話せたわけではない。けれど、以前は言えなかった事を全部言えた上でステージに立てた。それは別の方法での「ごめんなさい」と言えるものだろうね さくらと琴乃、それぞれの方法で行われる麻奈とのさよなら。その裏で行われる牧野と麻奈のさよなら これはアニメほどに哀しい描写とされなかったけど、代わりに強調されていたのはさくらと琴乃という新しい世代のアイドルの登場かな。麻奈が去るのと並行して描かれるサニーピースと月のテンペストの優勝 麻奈は果たせなかった牧野をトップアイドルのマネージャーにするという夢。それを麻奈に強い因縁を持ちつつも麻奈にさよならしたさくらと琴乃が成し遂げるというのは、一つの物語の終わりとしてとても清々しいものだったね
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