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クダン狩り の商品レビュー

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2022/04/17

クダン…。 人に牛と書いて件。 この妖怪? 怪異の話を知ったのはいつの頃だったっけ。 確か最初に聞いた時は、人の体に牛の頭というビジュアルが浮かんで、 ええぇぇっ、そりゃ絶対恐ろしかろう…、 と思った記憶がある。 なんだか生理的に怖い。 (馬の仮面とかあるけど、実は私あれも怖い)...

クダン…。 人に牛と書いて件。 この妖怪? 怪異の話を知ったのはいつの頃だったっけ。 確か最初に聞いた時は、人の体に牛の頭というビジュアルが浮かんで、 ええぇぇっ、そりゃ絶対恐ろしかろう…、 と思った記憶がある。 なんだか生理的に怖い。 (馬の仮面とかあるけど、実は私あれも怖い) それ以来、件という怪異は、普通の(?)幽霊譚とか怖い話の中でも私の中でちょっと違うステージのモノで、なんとなくいつまでも興味をひくモノでもあった。 今回図書館でこのタイトルが自然と目に入ったのはそんな私にとっては当然で、手に取るのも当然。 結果的に言えば大変読み応えのあるめちゃくちゃ面白い本だった。 冒頭、件が出てくる怪談としてあげられている、 小松左京の「牛の首」は読んでなかったけど知ってた。(鮫島事件的なアレだよね) あと「くだんのはは」は知らなかった。 そして内田百閒の「件」は読んでたけど、 この本を読んでまた読みたくなった。 さてクダン。 小松左京の方は頭が牛で身体が人間。 そして、神戸あたりで戦前戦後に怪談話としてのぼってくる牛女の噂。 一方、微かな知識としてあった、 件は予言する、そんで予言すると死んじゃう、 というおハナシ。 私の中のビジュアルは牛頭の身体人間だったけど、確かに予言する方は人頭の体牛…。 ケンタウルス的な感じ。 そっちのイメージも同時に不自然なくあったな。 こういうぼんやりとしたクダンの認識をひとつひとつ紐解いてくれる、 しかもめちゃくちゃ興味深い考察と共に。 それだけでも満足だったんだけど、 なんと第二部には、読み返したいなーと思っていた内田百閒の「件」と、 読んでみたいなーと思っていた小松左京の「くだんのはは」がまるまる収録されていた。 なんとまあ、痒いところに手が届く仕様‼︎ 第一弾で考察やらを経た後に読むと、 どちらも本当に面白く恐ろしくて、 いやぁ…クダンに沼りそう。 さてさて、第3部の対談で思いがけず友人の旦那さまのお名前を発見しびっくり! 来年の年賀状には報告しなくちゃ。 再録の内容が多くて、すこし古い話題もあったけど、どこを読んでも面白い、私得な本でした。 購入を検討しよ。

Posted byブクログ

2022/04/16

「件」 牛身人面の妖獣(怪?)。牛から生まれ人語を発し、予言をして死ぬ。件についての論考、エッセイ、小説、対談を通して、薄暗がりの中からクダンなるものを光のもとへ取り出そうとした一書。なによりも編著者東雅夫氏の文章が素晴らしい。たとえば 「寺社の祭礼などに際して小屋掛けする見世物...

「件」 牛身人面の妖獣(怪?)。牛から生まれ人語を発し、予言をして死ぬ。件についての論考、エッセイ、小説、対談を通して、薄暗がりの中からクダンなるものを光のもとへ取り出そうとした一書。なによりも編著者東雅夫氏の文章が素晴らしい。たとえば 「寺社の祭礼などに際して小屋掛けする見世物師の一行は、地元の人々、とりわけ子供たちにとっては、いずこからとも知れず到来する異人、マレビトに他ならなかった。かれらが秘密めかして捧持するクダンの剥製は、たとえその現物が、いさかに稚拙な拵え物であったとしても、子供たちの眼には、妖しさを湛えた異界からの来訪神さながらに映じたことだろう。薄暗い見世物小屋の一隅に鎮座する、死せるクダンの姿を垣間見て、眠れぬ夜々を過ごした幼童少なくなかったに違いない。」 なんてたまらない。 しかし、氏らの追求にもかかわらず。クダンは結局薄暗がりの中に帰ってしまう。

Posted byブクログ

2022/02/21

妖怪「くだん」を題材にした酔狂な一冊。よくまぁ本になったなぁ。 構成のほとんどが約20年前の再録といった感じなので、ところどころ東さんのテンションが厄介だったりする。そんなにエクスクラメーションマーク要らんねん。

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2022/02/15

件を求める紀行や怪奇特集をまとめた本です。内田百閒/件、小松左京/くだんのはは、2作も収録。件を知る人には非常に楽しめる内容ではないでしょうか。予言獣を取り上げた本は多くありますが1つに絞ったこの本は価値あるものといえます。良い本でした。

Posted byブクログ

2022/02/07

東雅夫が90年代後半から2000年代にかけて書いた「件」がらみの文章と、「件」といえばこの2作という感じの小松左京「くだんのはは」と内田百閒「件」、さらに語り下ろしの笹方政紀との対談を収録した「件」本。 この本の中でも言及されているが、小松左京の「くだんのはは」に出てくる予言する...

東雅夫が90年代後半から2000年代にかけて書いた「件」がらみの文章と、「件」といえばこの2作という感じの小松左京「くだんのはは」と内田百閒「件」、さらに語り下ろしの笹方政紀との対談を収録した「件」本。 この本の中でも言及されているが、小松左京の「くだんのはは」に出てくる予言する異形の娘はいわゆる「件」とは予言するという点を除けばある意味真逆のような存在(件は人面牛だが「くだんのはは」に出てくるのはミノタウロスのような牛頭人だ)で、小松左京がいわゆる「件」の伝承を知らぬ筈もなく(内田百閒の「件」は「くだんのはは」を書いた時点では未読だったらしいけど)なぜ「くだんのはは」というタイトルを付けたのか? 作中には娘の母も登場するがタイトルにするほど重要な役割という訳でもないし。何か意図があってのことだったんだろうか?

Posted byブクログ