そしてフジノオーは「世界」を飛んだ の商品レビュー
史上初めて中山大障害を四連覇し、現時点で史上唯一英国グランドナショナルに挑戦した日本馬、フジノオーならびに本馬を取り巻く人々の評伝。構成としては中山大障害四連覇、そして英国挑戦決断までを描いた国内編、渡英からグランドナショナル挑戦、そして引退後までを描いた国外編の二編に分かれる。...
史上初めて中山大障害を四連覇し、現時点で史上唯一英国グランドナショナルに挑戦した日本馬、フジノオーならびに本馬を取り巻く人々の評伝。構成としては中山大障害四連覇、そして英国挑戦決断までを描いた国内編、渡英からグランドナショナル挑戦、そして引退後までを描いた国外編の二編に分かれる。 本書は比較的事実を述べることに重きを置いているようで、大げさな表現や派手な演出などは控えており、イベントやレースの描写などはかなりあっさりとしている。それでも国内編は繰り返されるタカライジンとの死闘には胸が熱くなるし、当時の未熟な組織運営による実質的なレース締め出しが、結果的に国外挑戦へとつながったという何とも言えない思いが感じられて面白い。国外編は、肝心のフジノオー周りの描写自体が少なく、ちょっと残念。わりと早々に日本人関係者が現地不在となる都合、仕方がないとは思うが。とはいえ当時の輸送の困難さや混乱極まる報道陣の様子などがわかり、面白いことは面白い。 ただ、本書内でフジノオーの最期が描かれていなかったことは唯一不満に残った。没年日が明確であるし、ニコニコ大百科の記事では「牧場で静かな余生を送り」とあるので悲しい最期ではなかったのだとは思いたいが。そこはちゃんと言及して安心させてほしかった。
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