新しい世界で の商品レビュー
相変わらず面白い。石持浅海の新刊、座間味くん(もちろんあだ名)シリーズだ。いわゆる安楽椅子探偵もので、主人公の座間味くんが、他者の何気ない会話から、彼独自の鋭い視点で、誰も気づかなかった真相を解き明かす連作短編だ。主人公の観察眼とロジックに引き込まれること間違いなし。 石持浅...
相変わらず面白い。石持浅海の新刊、座間味くん(もちろんあだ名)シリーズだ。いわゆる安楽椅子探偵もので、主人公の座間味くんが、他者の何気ない会話から、彼独自の鋭い視点で、誰も気づかなかった真相を解き明かす連作短編だ。主人公の観察眼とロジックに引き込まれること間違いなし。 石持浅海の作品はどれもオススメ。
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座間味くんシリーズとしては約5年ぶりの新刊が、昨年末に刊行されていた。前作『パレードの明暗』の感想を読み返すと、シリーズとしてはもう限界かもしれないなどと書いていたが、何だかんだで手に取ってみる。 前作、前々作と、探偵役の座間味くん、警視庁の大迫、ゲストの女性という3人が登場するフォーマットになっていた。今回のゲストは、座間味くんの初登場作である『月の扉』の関係者なのだが、『月の扉』を未読でも特に支障はないだろう。 「新しい世界で」。現実にもありそうな夫婦の離婚理由。そもそも、この結婚に愛はあったのか? 「救出」。ゲストの女性の生い立ちに関係する、異例の展開。座間味くんの想像…ではなく推理で救われる、珍しいパターンではある。 「雨中の守り神」。起業のサクセス・ストーリーかと思いきや、真相は。ここまで頭が働かないと成功者にはなれないのか。「猫と小鳥」。リタイア後も趣味は持ちたいものである。一見幸せそうでも、座間味くんには違う絵が見えてしまう。 「場違いな客」。スーツ姿でキャンプに来ている客。それだけです、はい。「安住の地」。このご時世、安住の地にしがみつくのが悪いとは思わない。ある意味、意識が高すぎるのも不幸というか。気づく座間味くんも座間味くんだが。 最後に「お揃いのカップ」。何だろうこの、石持さんご自身の別のシリーズみたいな展開は。この座間味くんと夫婦でいられる奥様の肝っ玉はすごい。末永くお幸せになるといいですね。某別シリーズのように、今後はどうなるのやら すべて座間味くんの想像に過ぎないのは、前作までと同じだが、今回はそもそも事件ですらない話が多い。座間味くんの推理が常に当たっているわけでもあるまい。胸の内に収めておくことはできんのかという気がしないでもない。 石持さんらしさが詰まったシリーズではありました、はい。一時期のようなハイペースでは新刊が出なくなったが、このくらいがいいのかもしれない。
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大学生の玉城聖子、警視庁の幹部、会社員の座間味くん。世代も性別もバラバラだが、不可解な話を肴に酌み交わす仲だ。杯が進むほど推理は冴えていく。極上の酒。かけがえのない友。不可解な謎。鮮やかな反転。2021年の掉尾を飾る、短編本格ミステリの精華!
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