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手を眺めると、生命の不思議が見えてくる の商品レビュー

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2023/06/29

なんとなく手を眺め、そこから派生する、当たり前だと思っているが、よく考えると不思議と思うようなことについてのエッセイ。 血液や目の働きだったり、爪、指、指の間、指毛、細胞だったり、手から派生していき、最後には、自分とは?に行き着く。 最後の方は、今、自分が生きているということ...

なんとなく手を眺め、そこから派生する、当たり前だと思っているが、よく考えると不思議と思うようなことについてのエッセイ。 血液や目の働きだったり、爪、指、指の間、指毛、細胞だったり、手から派生していき、最後には、自分とは?に行き着く。 最後の方は、今、自分が生きているということだけで既に、とんでもない確率の奇跡であるという主張は、悩みを抱えている人や、自殺を考えている人へのメッセージのようにも感じた。 自分の体を形作っている細胞は数ヶ月で生まれ変わっているが、自分という意識は、そのまま残っていることの不思議さ、そうすると自分の存在はパソコンに記録されたデータなのかという部分と、なんのために生まれてきたかを考えるより、与えられた命を楽しんだもの勝ちという部分が特に印象に残った。

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2022/06/04

ノスタルジックな気持ちになる。 忙しない生活では用いぬような知識が、古い頭の引き出しから取り出される。それを詩的な文体が一層引き立たせるのだろう。親指サム、爪や指毛、血小板や手相。私たちを構成するものたち。そして、幼少の頃には興味を持って図鑑で調べたような事、いつも自分と一緒に...

ノスタルジックな気持ちになる。 忙しない生活では用いぬような知識が、古い頭の引き出しから取り出される。それを詩的な文体が一層引き立たせるのだろう。親指サム、爪や指毛、血小板や手相。私たちを構成するものたち。そして、幼少の頃には興味を持って図鑑で調べたような事、いつも自分と一緒にあるのに気遣う事のないものについて。腰を据えて、考えてみるのも良いものだろう。その一連が、懐古的な気持ちにさせる。 と言いながら、本の中身は確実に生物学的な不思議を捉えてくる。例えば、人間は何故体毛が薄いか。毛ものと呼ばれる獣、動物との違いはどうして生じたのか。サイや象のような気温の高い地域で大きな体を持たない人間に毛が少ないのは、しかし、同様の理由で体温調節だ。人間は大きな脳の熱を下げる必要があった。そして、その冷却効果は、汗を蒸発させる機能と組み合わせて、長距離走を可能にさせた。これは獲物を疲れさせて捕らえるには最適で、マラソンのように3時間も4時間も走り続けられる特技は、実は人間特有のものだ。 ポエトリーな文体でノスタルジーに浸りながら、自らの身体を見つめ直す。この本は、そんな気分に最適である。

Posted byブクログ