保健所の「コロナ戦記」TOKYO2020-2021 の商品レビュー
あんまり関わることがなかった保健所。医師免許を持った行政の管理職、コロナ禍のど真ん中にいた人は、何に対してどう思ったのか。こういう人達がいてくれたから成り立ってたんだろうなと痛感しました。色んな人に読んでほしいですね。
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政治に、国民に振り回されながら、コロナ対応の最前に立たされ続けてきた保健所。そんな場にいた著者が、一人一人の賢明な判断の重要性や、目の前のできることをやっていくしかないと言うと、政治家の発言より重みがあるなと思ったり。理不尽な業務内容と量に、ところどころで滲み出る怒りも仕方ないよ...
政治に、国民に振り回されながら、コロナ対応の最前に立たされ続けてきた保健所。そんな場にいた著者が、一人一人の賢明な判断の重要性や、目の前のできることをやっていくしかないと言うと、政治家の発言より重みがあるなと思ったり。理不尽な業務内容と量に、ところどころで滲み出る怒りも仕方ないよなと思う。ちょっと自身の職場環境も重ねたりしちゃって、大きい組織も小さい組織も変わらない問題ばかりだなと組織論的なことにも思考を巡らせた。 保健所の実際はコロナ禍の記録の中でも重要な資料になっていきそう。
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コロナの流行は続いているにもかかわらず、なんでもなかったかのような空気g広がりつつあって、ご機嫌もよく、お元気な方たちにとって、それはそれで、いいのかもしれませんが、ひょっとして、他人ごとではないのですが、年寄りや貧乏人がひっそりと「淘汰」される社会が幕を開けているのではないか...
コロナの流行は続いているにもかかわらず、なんでもなかったかのような空気g広がりつつあって、ご機嫌もよく、お元気な方たちにとって、それはそれで、いいのかもしれませんが、ひょっとして、他人ごとではないのですが、年寄りや貧乏人がひっそりと「淘汰」される社会が幕を開けているのではないかとという、疑いというか不安というかを実感する今日この頃ですが、騒ぎの始まりから今日にいたるまで、無責任なSNSメディアで悪く言われ続けていた「保健所」の中間管理職の方の誠実は現場報告書である本書に出会って、少しホッとしました。 あれこれは「ゴジラ老人シマクマ君の日々」というブログに書きました。お読みいただければ嬉しいです。 https://plaza.rakuten.co.jp/simakumakun/diary/202204250000/
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〇新書で「コロナ」を読む⑤ 関なおみ『保健所の「コロナ戦記」』(光文社新書、2021年) ・分 野:「コロナ」×「保健所」 ・目 次: はじめに――ミッション・インポッシブル(もしくは、闘う公衆衛生医師)―― 第1章 第1波 2020年1月から6月まで 第2章 第2波...
〇新書で「コロナ」を読む⑤ 関なおみ『保健所の「コロナ戦記」』(光文社新書、2021年) ・分 野:「コロナ」×「保健所」 ・目 次: はじめに――ミッション・インポッシブル(もしくは、闘う公衆衛生医師)―― 第1章 第1波 2020年1月から6月まで 第2章 第2波 7月から11月まで 第3章 第3波 12月から2021年3月まで 第4章 第4波・第5波 4月から現在 最終章 残された課題 巻末特別対談 「病院から見たコロナ×保健所から見たコロナ」 あとがき――叶えられた祈り―― ・総 評 : 本書は新型コロナウイルス感染症が拡大する中、その拡大を少しでも抑えるために奮闘した保健所の動きをまとめたものである。著者は公衆衛生医師として都内の保健所に勤務しており、コロナ対策にも従事した人物である。 なぜ、コロナを前に保健所は機能不全に追い込まれたのか――実際に現場で戦った著者によれば、そのポイントは以下の3点にまとめられる。 【POINT①】新型コロナウイルスという「新たな感染症」との戦い 従来、都の感染症対策は、数は少ないが影響が重大な感染症を念頭に「水も漏らさぬ対策」を重視してきた。従って、一例ごとの丁寧な相談や対応・調査を得意とする反面、マネジメントやシステム化、デジタル化の推進は苦手であった。そのため、新型コロナという「個別で追い続けるには数が多過ぎる感染症」に対応できなかった。さらに、本来であれば陣頭指揮を執るべき課長級医師も、マスコミ対応や議員対応といった「本来の専門性を活かすべき業務以外」の仕事によって疲弊していたと指摘する。 【POINT②】政治に翻弄される行政の苦悩 例えば、陽性者のデータを管理するシステムは、常に陽性者が多い東京都が国に先駆けてシステムを作った。しかし、その後に国が全国的なシステムを構築し、双方のシステムが統合できない状態となった。その結果、現場では同じデータを複数のシステムに入力しなければならなかった。また保健所の業務が逼迫すると、応援の人員が派遣されたが、受援体制を十分に構築する余裕がない中、派遣された人員を上手く活用できなかったり、かえって人間関係が拗れるなどの問題が発生したりしたと指摘する。 【POINT③】保健所(行政)と病院(医療)の境界をめぐって 本来、感染症対策における保健所の役割は「感染拡大予防」と「感染源対策」であり、陽性者の状況把握や療法方針の決定は「診断を行った医療機関」の役割であった。しかし、実際は、感染症法において「2類相当」と分類されたこともあり、陽性者からの聞き取りや療養方針の決定までも保健所が行わなければならない状況であった。保健所の業務を正常化するには、医療でカバーできるものは医療に回すべきであり、ある程度のところまでは医療側の裁量で判断できるように仕組みを変えるべきだと指摘する。 読書や映画鑑賞を趣味とする著者の筆致は、冷静であり、時にコミカルでもある。だが、その根底にあるのは、保健所に勤める公衆衛生医師としての「(静かな)怒り」である。即ち、コロナ対策に全力を傾けなければならない中、自らの専門性を活かせず、非効率で筋が通らないことが罷り通っていることに対する怒りである。 私たちが(まず)できることは、現状を正しく理解することである。保健所の業務が逼迫しているというニュースを目にした人でも、実際に保健所で行われている業務を詳しく知る人は少ないだろう。そうした人たちにとって、本書は非常に分かりやすい入門書になるはずである。 (1200字)
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公衆衛生医師として、東京都の区の保健所や都庁に勤務された(されている)著者の実体験を通した貴重な記録。コロナ禍において保健所がどのような使命でどのような対応をしていたのかがリアルによく分かる…とともに著者を始め対応にあたられた職員の方々に頭が下がる。そして、いつも日本はこのような...
公衆衛生医師として、東京都の区の保健所や都庁に勤務された(されている)著者の実体験を通した貴重な記録。コロナ禍において保健所がどのような使命でどのような対応をしていたのかがリアルによく分かる…とともに著者を始め対応にあたられた職員の方々に頭が下がる。そして、いつも日本はこのような「現場」の人たちの奮闘により支えられているのだと改めて思うとともに、現場力がありすぎるゆえの日本の弱さも垣間見られるように思う。…要はかなりの力作。ゴーストライターではなく基本的にご自身で書いていらっしゃると思われ、文章も上手い。
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散文的ではあるが、著者の目的が書き残しておくということなので、未整理な感じもまた味かも知れない。かなりオブラートに包んだ表現だなと裏読みできる箇所も多く、リアリティがあった。リソースそのままで仕事を増やす、お役所のやり方の話でゆーと、国民の命が直接的に関わってるだけに、文科省より...
散文的ではあるが、著者の目的が書き残しておくということなので、未整理な感じもまた味かも知れない。かなりオブラートに包んだ表現だなと裏読みできる箇所も多く、リアリティがあった。リソースそのままで仕事を増やす、お役所のやり方の話でゆーと、国民の命が直接的に関わってるだけに、文科省より切実だなあと思った。
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保健所所員は24時間勤務体制じゃない。 消防署や病院の病棟は24時間体制だけど。 そこんとこは肝に銘じないと。 この人たちが、枕を高くして寝れる日が来るのだろうか?
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コロナ前の保健所は何をしていたのか、コロナ禍の保健所は何をしているのか、戦う相手はウイルスだけではない、など現場では何が起こっていたのかがよく分かった。今後の教訓として大変参考になると思う。 本書は2021年9月までの出来事を記録したものなので、コロナが落ち着いたら第二弾も読みた...
コロナ前の保健所は何をしていたのか、コロナ禍の保健所は何をしているのか、戦う相手はウイルスだけではない、など現場では何が起こっていたのかがよく分かった。今後の教訓として大変参考になると思う。 本書は2021年9月までの出来事を記録したものなので、コロナが落ち着いたら第二弾も読みたい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
3月に、コロナ支援業務(ホテル入所調整)に派遣されることになったため、読んでみようと思い購入。結果派遣期間が1週間に短縮されて、読み終えたのは派遣が終わった後ではあったが、コロナ業務に携わったからこそ、わかりみの深い話がたくさんあった。 自分は発生届やHER-SYS IDを基に、LTレコードというカルテのようなものを作成する作業をしており、これのシステムが遅くてイライラしていたのだが、2年前はこのシステムがそもそもなく、FAX1台で対応していたり、システムができても不備だらけだったりと、今とは比べ物にならないくらいひどい状態であることが分かった。 毎日日付を超えてタクシーで帰る人もたくさんいるが、本来医療機関の行うべき医療業務まで保健所や都の窓口が担っているために、こんな業務量過多なのだと本書を読んで知ることができた。医療業務は医療機関、保険は保健所が担うのが本来なのである。 次なる新興感染症が来た際に自分が担当することになるかもしれないし、はたまた災害復興などの分野で、このような戦場を経験することになるかもしれない。そんな時、この本の教訓が活かせたらと思う。
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まさに「戦記」、戦争の記録だ お役人なのに、都や国や政治家に対する批判があちらこちらにあり、批判の内容が至極真っ当なだけに、偉いひとから怒られたりいじめられたりしないかと、他人事ながら心配になるほど。 著者は、コロナと戦っているだけでなく、世の中の不合理とも戦っている。その意...
まさに「戦記」、戦争の記録だ お役人なのに、都や国や政治家に対する批判があちらこちらにあり、批判の内容が至極真っ当なだけに、偉いひとから怒られたりいじめられたりしないかと、他人事ながら心配になるほど。 著者は、コロナと戦っているだけでなく、世の中の不合理とも戦っている。その意味でも「戦記」
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