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文豪はみんな、うつ の商品レビュー

3.5

19件のお客様レビュー

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2022/05/04

文豪が現代に生きてたらどうだったんだろうと何度も考えたことがあるけど、 この時代背景、精神疾患に対する理解の浅さや治療、療養方法の未発達さがあったからこそ文豪作品は生まれたのかもしれないと改めて感じさせられる。 現代にも素晴らしい作品はたくさんあるけど、この時代特有の切羽詰まった...

文豪が現代に生きてたらどうだったんだろうと何度も考えたことがあるけど、 この時代背景、精神疾患に対する理解の浅さや治療、療養方法の未発達さがあったからこそ文豪作品は生まれたのかもしれないと改めて感じさせられる。 現代にも素晴らしい作品はたくさんあるけど、この時代特有の切羽詰まったような人間の心情はこの時を生きたこの人たちにしか書けなかっただろう。。 私の大好きな夏目漱石は胃潰瘍とか内臓系の病で苦しんでたのかなと思ってたから、子どもに手を上げたりだのなんだの意外だった。 個人的にエグかったのは島田清次郎と有島武郎のエピソードでした、、、

Posted byブクログ

2022/04/10

この視点、この視点が読みたかった!こうしてまとめてくださった作者様に尊敬の念。 そう、みんなうつで死に近いところにいるんだよ。 夏目漱石、太宰治、宮沢賢治 簡単に名前を出し「憧れる」と口にする人の知識量と心理を知りたい

Posted byブクログ

2022/04/10

電子書籍の割引期間の最終日が来て、何か選ばなくちゃいけないような脅迫観念に駆られて、ついコレを選んでしまった。私は「期間限定お買い得」に極めて弱い。いっときは財布がパンパンになるほどにクーポンを入れていたのだけど、最近はアプリの中にクーポンが無数に入っている。このクーポンを使うた...

電子書籍の割引期間の最終日が来て、何か選ばなくちゃいけないような脅迫観念に駆られて、ついコレを選んでしまった。私は「期間限定お買い得」に極めて弱い。いっときは財布がパンパンになるほどにクーポンを入れていたのだけど、最近はアプリの中にクーポンが無数に入っている。このクーポンを使うために1日の予定をやりくりすることも多い。私はクーポンを買い物に利用しているのか、クーポンのために買い物をしているのか。依存症の典型的な症状。コレ病気かも。まぁ、生活を脅かすほどじゃないからまだ医師にかかるつもりはない(←「私は依存症ではない」と言うのは依存症初期の典型)。 まぁどちらにせよ、自殺や心中に至るような「うつ病」と比べたら、かわいいもんである。〆切間際にならないとスマホのメモアプリに向かい合うことがどうしても出来ない困ったちゃん(←私か)も、かわいいもんである。いかん、なかなか本題に入らない。 本書は、文学者ではなく立派な精神科医の岩波明さんが、文豪たちの精神病の診察を、巷に言われている診察に意義を唱えながら分析したものである。 夏目漱石のうつ病は有名だ。しかし巷では幻覚を伴うことから統合失調症(精神分裂症)と言われてきたが、岩波明さんは幻覚や妄想を伴う「精神性うつ病」と診断する。漱石の凄いのは、病気がひどくなっても名作を次々と書いていたところだろう。 愛人と心中した有島武郎も、恋愛は心中の原因ではなく自殺のキッカケだったろうと診断する。有島武郎は、自らを否定する典型的なうつ病だった。「生まれずる悩み」の高潔な人格からどうして心中に至るのか不思議だったけど、納得した気分になった。 芥川龍之介の自殺は、長いこと私の謎だった。時代に殺されたのか?しかし、昭和の閉塞感が始まるずっと以前から彼は長いこと病気だった。岩波明さんは適切な薬を処方していれば、この稀代の文学者は生き残ったのではないかと言う。一般的に言われている芥川統合失調症説は説得力ある根拠で否定する。一部に言われている青酸カリ自殺も否定する。彼はうつ病だった。身近なトラブルが彼を追い込んだにせよ、時代が殺したわけではない。後に彼の文学を読むときの参考になりそうだ。 宮沢賢治を躁うつ病で分析しているのは、大きな間違いではないとは思うが、あまり参考にならなかった。確かに若い頃の短歌や詩に幻想或いはホラーの描写はあるが、それは病気が描かせたとは誰も思わないだろう。死因も明らかに病死である。 太宰治が心中を繰り返したのは、明らかに時代のせいだった。この頃毎年数百人規模の情死(心中事件)が起きていた。その中で、太宰治も死ぬ理由をそこに見つける。ある批評家は太宰治を境界例(境界性人格障害)と決めつけているようだが、太宰は社会的適応能力は十分にあった。文豪だからこそ、遺した文章は多岐に渡り、関係者の証言も多い。それを精神科医の権威(東大教授)が診断するだから、間違いないだろうと思える。当時不治の病だった結核にかかり、実生活でもストレスが溜まった上での疲はい性うつ病で心中自殺をしたというのが、太宰治の場合の真実だったのだろう。 文豪の自殺や心中は、多くはうつ病が引き起こすものだった。適切な治療を施せば防げたものなのかも知れない。文豪は、しかしうつ病をも作品制作のエネルギーにしていた。痛し痒しではある。昨今のSNSに追い詰められた芸能人の自殺も、時代に追い詰められたのではなく病気だったし、適切な治療を施せば防げたのかもしれない。でもだからこそ素晴らしい演技が遺せたのだとも言えるかも知れない。本人は不本意だろうけど、それでも精神科にかかる勇気を持ってもらいたい。アメリカではとっくにそうなっている。 まぁ軽度アスペルガーの症状である「追い詰められると固まってしまう(〆切を守れない)」私が偉そーに言えることではない。因みに、先週発病した〆切守れない病は、この場で「お休み宣言」することで追い込んで最悪の場面は回避することができた。皆様のご協力有難うございました。しかし、「この手」はもう次回使えないだろう。果たしてどうするか?

Posted byブクログ

2022/03/25

夏目漱石、宮沢賢治、太宰治、芥川龍之介、などなど10人の文豪たちの生い立ちや生活、作品を検証して精神科医として著者が精神状態などを考察する。 淡々としてわかりやすい文章でさくさく読める。 文豪の小説はちょっとしか読んでないけど、やっぱり普通の人とはちょっと違う人たちなんだなぁ。 ...

夏目漱石、宮沢賢治、太宰治、芥川龍之介、などなど10人の文豪たちの生い立ちや生活、作品を検証して精神科医として著者が精神状態などを考察する。 淡々としてわかりやすい文章でさくさく読める。 文豪の小説はちょっとしか読んでないけど、やっぱり普通の人とはちょっと違う人たちなんだなぁ。 紹介されてる作品は読みたくなった。

Posted byブクログ

2022/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日本の文豪10人が患ってた精神の病気について述べた本。 偉大な作家は精神的に追い詰められてたんだな、と改めてわかった。なんとなく知識としては知ってたけど、専門のお医者さんである筆者が分析しながら語ると説得力が違う。表紙が結構かわいいので、かるーい本かと思ったらちゃんと分析してある本で、読み始めはびっくり。 宮沢賢治は、仏教に傾倒していて、童話も書いて、農業の発展に尽力してっていう、穏やかな人ってイメージがあったので、躁うつ病で奇行もあったと知って、一番印象に残った。

Posted byブクログ

2022/03/07

宮沢賢治って、自分と同じ病気だったの?と衝撃を受けて手にとった本。偉大な作品を残している作家って、心の病を患っていた人が多いんだな。自分だけじゃないんだと思わしてくれた。有島武郎と中原中也の話が面白かったな。大正時代らへんは、不倫って犯罪だったのか!

Posted byブクログ

2022/02/28

零から一を創出することは並大抵のことではない.それを生涯に渡り文章という形で紡ぎ出すというのは,ヒトという存在そのものを追究し続けることでもあり,自分自身と対峙し続けることでもあり,そりゃあ精神的に病むだろうことは想像に難くない.作家は世界的に有名になるので日の目を浴びやすいが,...

零から一を創出することは並大抵のことではない.それを生涯に渡り文章という形で紡ぎ出すというのは,ヒトという存在そのものを追究し続けることでもあり,自分自身と対峙し続けることでもあり,そりゃあ精神的に病むだろうことは想像に難くない.作家は世界的に有名になるので日の目を浴びやすいが,何かを成す人は多かれ少なかれ精神的におかしな部分を持つのは必然.

Posted byブクログ

2022/01/17

「文学者として生き、人生を放蕩する生き方を世間が尊重していた」…尊重と言うより求めていたのでは?って気もするけど暗澹とした、時折ほぼ人間失格な生き方が受け入れられていた事に早々から驚かされた。 著者はれっきとした精神科医。直接見たことも話したこともない相手をここまで分析されたとこ...

「文学者として生き、人生を放蕩する生き方を世間が尊重していた」…尊重と言うより求めていたのでは?って気もするけど暗澹とした、時折ほぼ人間失格な生き方が受け入れられていた事に早々から驚かされた。 著者はれっきとした精神科医。直接見たことも話したこともない相手をここまで分析されたところに舌を巻いた。 有名どころはやっぱり夏目漱石。(予想通りトップバッター) ロンドンで神経衰弱を病んだ経緯を知って、よく2年も持ち堪えられたなと感心してしまった。とんでもない被害妄想狂に、ちょっとの失敗で瓦解しちゃうくらい打たれ弱いのか。 有島武郎は現代にもいそうな患者の一人。筆者によるカルテ曰く生真面目で仕事熱心、周りからも慕われていた。心の底から残念でならない。 谷崎潤一郎もだったのか。原因ではないけど「悪魔主義」とか容赦ない言われようだと引っかかった。創作意欲を絶やさず、作家らしい晩年を送れたことにようやく本当の幸福が訪れたのかなと頬が緩んだ。 「若い君達なら短命だった彼らの苦悩を少しは汲み取れるだろう」と言わんばかりに彼らの文学作品は若い世代に奨励されている。自分には彼らの作品に触れることイコール彼らに付きまとう負のエネルギーを進んで吸収する行為に思えていた。彼らの苦悩は時代どころかレベルも違うから、自分が理解しようとするにはヘビーすぎる。個人と作品を切り離すどころかほぼ投影しちゃってるから、作品自体楽しめない。という完全な偏見… そんな偏見の源流を辿るべく手にした本書だったが読了してもそれがくすぶっていて、彼らの作品を手に取る勇気も依然ない。この調子だと彼らと相見えるのは3-40年後くらいになってしまう…考えてみれば三島由紀夫の『金閣寺』で早々にまいってしまったから、自分も相当脆弱だったりして。

Posted byブクログ

2022/01/14

国語便覧を見るのが好きで。自分が学校でもらう学年になる前から兄のものを眺めていました。中でも近現代の文豪のページを読むのが好きでした。 顔写真、ペンネーム、本名、年表、死因、エピソード。なんでかとっても面白かったです。著作はそんなに読んでいないのに…。 という、文豪に純粋に興味...

国語便覧を見るのが好きで。自分が学校でもらう学年になる前から兄のものを眺めていました。中でも近現代の文豪のページを読むのが好きでした。 顔写真、ペンネーム、本名、年表、死因、エピソード。なんでかとっても面白かったです。著作はそんなに読んでいないのに…。 という、文豪に純粋に興味があるので手に取ってみたのですが、想像以上にタイトル通り、本当に「文豪はみんな、うつ」な内容でした。 あまり詳細知らず手に取ったのですが、よくある実は○○!みたいなゴシップのノリの軽いものかと思ったら著者が精神科医ということで丁寧に分析されていて面白かったです。 うつ、統合失調症、躁鬱、私はぼんやりとしかそれぞれわからずきちんと区別できませんが著者は症状や発症時期をもとに憶測を立てており、読み応えがありました。 真摯に向き合っている感じがしたので、ゴシップ系と違い好感が持てました。 後世に名を残した偉人を捕まえて、言葉が乱暴ですが所謂クズエピソードを挙げてあげつらうものを大なり小なり見かけますが、茶番というか小者というか何者にもなれないものが他人のふんどしで相撲をとっているというか滑稽に思えます。 どれだけ地上へ引きずりおろそうとしても、世間一般の凡人には到底届かない才能を持った人たちなのに、と思います。 認めたくない言葉にしたくないルサンチマンを、自分たちの尺度でもわかるところで発散しているのかな。 P237の「ただ明らかに言える点は、彼らが規格外の人たちで、世間の決めた枠組みに留まることができなかったという事実です。」という文章、とてもしっくりきました。 文豪の有名な名前、著作、そして知っている人は知っている家族、交友関係。 文豪にフォーカスしがちだけれど、その人ひとりの功績ではなく、周りの人々や環境の影響を受けてその人が生きてもがいて発露されたものが著作や言動として結果残るのだなと思いました。 人々の記憶に強く残るのは文豪だけれど、その人たちが生きていた時代直接かかわらなかった人々までも時代を形作って時流となり文豪に影響を与えていたかと思うと人の歴史や営みというものは複雑に絡み合い脈々と受け継がれているのだなと思わされました。 この本の中で紹介されている文豪の中で特筆して好きな人は太宰治で、一番著作を読んでいる文豪でもあります。 うつなどそういった話題であれば必ず名が上がるだろうと思った太宰でしたが、読み進めていくと意外に太宰がそんなに酷くないと思えました。 この中で分析されている太宰は精神を病んだということが強く出たというより結核という病と薬依存、疲労で身体が限界にきていたのではないかという内容は納得のいくものでした。 前期中期後期と作風が変わるのが興味深い太宰ですが、中期の不思議なほどの安定感と朗らかさや、全期を通してわかる丁寧で情熱がある文章を考えると才能は多分にあって人を惹きつける人間としての魅力もあったと思いますし、思考回路が正常でなくなる重い精神病とまではいかないというのは腑に落ちます。 でも生来暗くなりがちで思い詰めやすい質だったのかなとは思います。 詳しく知らず意外だったのは有島武郎、宮沢賢治、中原中也、川端康成。 存在自体初めて知ったのは島田清次郎です。Wikipediaを見たら、自殺を二度程試みていることに衝撃を受けたのですが、それに触れなくてよいのかなと気になりました。 文豪たちが思い詰めたのには、職業というだけでなく時代もあったのかな、と思いました。途中心中既遂者のデータが出た通り、人数が多く影響を受けた面もあったでしょうし、それだけでなく、こう、寒い冬なんか現代のハイテクな暖房や灯や気がまぎれるエンターテインメントがなければふさぎ込む気持ちは加速してしまいそうと感じました。 島崎藤村の、自分の恥部を晒してでも作品にするところは「業」を感じて胸が熱くなりました。第三者なのでそう思えますが、その真っただ中で身内だったら地獄です。 でも彼らは皆、生きている間、苦しんででも、筆を取り命を削り原稿用紙に魂を落とし込んだからこそ時を超えいつまでも残り作品の中で生き続け、人々を魅了し続けるのでしょうね。小説家というのは凄いもんだ。

Posted byブクログ