サステナビリティ・ガバナンス改革 の商品レビュー
【会社という組織をどう運営するか】 企業のガバナンスについて情報満載の本だった。近年の法制化の流れのみならず、そもそも株式会社とガバナンスは相いれないものであった、という歴史的視点、そして日本国内の動きを世界の動きと照らし合わせて紹介するなど、現在不可欠となっている企業のサステイ...
【会社という組織をどう運営するか】 企業のガバナンスについて情報満載の本だった。近年の法制化の流れのみならず、そもそも株式会社とガバナンスは相いれないものであった、という歴史的視点、そして日本国内の動きを世界の動きと照らし合わせて紹介するなど、現在不可欠となっている企業のサステイナビリティ改革の課題に至るまでの流れを把握することができる。 企業経営のコンサルティング会社であるHRガバナンスリーダーズのCEO内ヶ崎茂さんを筆頭に、日本のサスティナビリティガバナンスの現在地と今後の焦点などが論じられる。 英米と比較して、日本の企業は外部からのガバナンスが弱いという特徴があり、それは監督と執行機能の重複が多くみられる「マネジメント型」のガバナンスであるという形でも紹介されている。対して、英米の「モニタリング型」は、CxO制度などを元としたマネジメントチームと取締役会での監督機能の分離がよりみられ、日本国内でもモニタリング型に向けた改革が取り組まれている。また、株主との関係性においても、物いわぬ株主が特徴的であった日本の会社経営は、世界でも受託者責任の規定化や意思決定の透明性が求められる中で変化に迫られている模様。 そしてサスティナビリティガバナンスもこのコーポレートガバナンス改革の流れで、持続的に企業価値を向上させるために求められているものとして考えられる。具体的には、取締役会でサスティナビリティについて議論され、役員がサスティナビリティ課題に責任感を持っていること。機関投資家とのサスティナビリティについての建設的な対話など、サスティナビリティをどう監督していくか、その制度設計のみならず実質化についても触れられている。 後半では、人財・知財の重要性についても、ダイバーシティ、無形遺産という観点から論じられている。
Posted by
書き手によってわかりやすさや具体性に違いはあるものの、総じて日本企業のサステナビリティガバナンスの論点を把握できる内容だと感じた。特に最終章の知財の記事は知財に疎い私でも危機感を感じるものがあった。
Posted by
- 1