時間の終わりまで の商品レビュー
物理学の知見をベースに、進化や意識、果ては芸術、宗教までも横断的に語る、その博覧強記には恐れ入るしか無い。それらは別々に語られるのではなく、「なぜそれらは生まれたのか」という本質を問い、「そしてそれはどこへ行くのか」という物質の有限性への問に収束していく。 昔、手塚治虫の『火の鳥...
物理学の知見をベースに、進化や意識、果ては芸術、宗教までも横断的に語る、その博覧強記には恐れ入るしか無い。それらは別々に語られるのではなく、「なぜそれらは生まれたのか」という本質を問い、「そしてそれはどこへ行くのか」という物質の有限性への問に収束していく。 昔、手塚治虫の『火の鳥』を読んで永遠の命を得た主人公が肉体が滅びても意識として生き続ける姿が強烈に印象に刻まれたが、本書の「時間の終わり」の姿も、同じ空間強い印象を残す。
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宇宙のはじまりから、終わりまで、の本。 この本を開いている間は、意識が日常を離れ、異世界を旅しているような気分でした。 やはり一番興味深かったのは、生命が生まれ、人間の意識や言葉が生まれ、文化が育まれていくところ。 自然科学の視点から語られる人間って、面白い!
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以前読んだ青木薫訳の「フェルマーの最終定理」が面白かったので、本書を読みました。とても興味深く面白かったのですが、難解に感じられました。 宇宙空間の壮大さ深遠さや時間のスケールに比べれば、人はちっぽけで瞬きする間でもない存在だと感じずにいられないと改めて感じました。
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「エレガントな宇宙」「宇宙を織りなすもの」他の著者により、宇宙、時間の終わりまでを解説されている。 著者の本には毎度驚かさる。 宇宙論や量子物理学の理論を、これまでよりも深く理解できる。簡単な本では省略される部分を、素人でも理解できるように解説する力は随一だ。 宗教や、意識といっ...
「エレガントな宇宙」「宇宙を織りなすもの」他の著者により、宇宙、時間の終わりまでを解説されている。 著者の本には毎度驚かさる。 宇宙論や量子物理学の理論を、これまでよりも深く理解できる。簡単な本では省略される部分を、素人でも理解できるように解説する力は随一だ。 宗教や、意識といった部分にまで踏み込んでいて、どうなることかと思ったが、量子論から意識とは何かについてアプローチする事が、最近の科学の流れらしい。 必ず訪れる人類の滅亡とそれを前提とした生き方、哲学になってきた。
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超ひも理論の研究者ブライアン・グリーンが、ビックバンから時空の終焉までを描き出したポピュラー・サイエンス本で、原著は、2020年の出版。 そのスケールの大きさに応じて、本も結構な厚さで、索引までいれると640ページくらい。 グリーンは、超ひも理論やM理論を解説した「エレガント...
超ひも理論の研究者ブライアン・グリーンが、ビックバンから時空の終焉までを描き出したポピュラー・サイエンス本で、原著は、2020年の出版。 そのスケールの大きさに応じて、本も結構な厚さで、索引までいれると640ページくらい。 グリーンは、超ひも理論やM理論を解説した「エレガントな宇宙」ではまって、「隠れていた宇宙」もスリリングであった。「隠れていた宇宙」は2011年の出版で、多分出版された年に読んだはずなので、すでに10年くらい前なんだな〜。 超ひも理論の最近の研究状況などを踏まえた宇宙論、時間論なのかなと思って読み始めたが、驚いたことに超ひも理論は言葉としてはでてくるものの、ほとんど説明はなく、「エレガントな宇宙」を読んでくれ、みたいな感じ。 では、なにが書かれているのかといえば、エントロピーの話が中心。いわゆる熱力学第2法則を中心にして、相対性理論や量子力学を組み合わせながら、宇宙のこれまでとこれからを大胆に描いていくもの。(量子力学より相対性理論の記述のほうが多めなのもちょっと意外だった) エントロピーはほっとけば増大しつづけるはずなのだが、今、わたしたちがいる世界は、美しい秩序があって、さまざまな多様性があふれている。これはどうしてなのか?というのはわたしが長年持っている疑問。 その疑問に対して、なんらかのヒントを与えてくれるのは、いわゆる複雑系科学で、プリゴジンの散逸構造などの議論なのだが、この辺の議論は、量子力学などをやっている要素還元主義(?)的な物理学者はあまり積極的にはしないように思える。 が、グリーンは、この本では、そのあたりの複雑系の議論、進化論、情報理論などを組み合わせながら、エントロピーが増大するなかで、なぜ秩序が生み出され、さらに進化していくのかというのを大きなピクチャーとして描き出している。 それは、エントロピック・ツーステップという考え。 外部からエネルギーの供給をうけ、内部的な秩序を生み出し、その結果、生じるエントロピーを外に排出する仕組みが、宇宙の構造、つまり恒星とか、銀河系の構造とか、そういうものだけでなく、生命の構造などを生み出しているという。 そして、それは秩序を生み出しているのだが、全体としては、やはりエントロピーを増大させており、長い長い時間のなかでは、宇宙はのっぺらとしたなにもない無秩序に終着するという。 なるほどではある。この本での説明はわかりやすくて、説得力があるのだが、それだけなら、こうした議論はこれまで読んだことがある。 この本が面白いのは、生命が誕生し、そこから人間が進化し、意識、知性が生じたということ、さらに言語が生じて、人間が複雑な思考を可能にして、まさにこうした宇宙についての高度な知識を獲得していくことをその宇宙の大きな歴史のなかに位置付けていること。 さらに、その議論を単にダーウィン的な生き残りとか、性選択の議論に終わらせるのではなく、物語ること、意味を探求することについて、かなりの分量をさいて議論しているところが面白い。 つまり、グリーンは、物理学者なんだけど、通常、人文科学、社会科学で議論しているような領域までカバーしているということで、このチャレンジはなかなかのもの。 と言っても、議論の大きなフレームは、エントロピック・ツーステップにあって、大胆な議論ではあるけど、トンデモな話にはならないところが素晴らしい。 最後まで頑張って読み進むと、「時間の終わり」の話はちょっとダークで元気のでない結論になる。(まあ、エントロピーの話をすると、それはまあ仕方がないことだが、、、) グリーンも物理学者らしく(?)、基本、唯物論的な世界観でなんらかの超越的なものを認める議論にはいかないのだが、でもわたしたちが今生きているということ、そして、こうしていろいろなことを考えたり、洗練された文化を生み出しているということの奇跡をしみじみと味わうという話しで大著は終わる。 宇宙論とか、生命の進化とか、そういう本を読むと、ほんと世界ってすごいな〜と思うわけで、自分の身の回りのお悩みがどうでもいい気持ちになって気持ちが落ち着くのだが、この本を読むと、そういうことがどうでも良くなりすぎて、ちょっと気持ちが下がる感じはあるな。 前提知識はあまり必要なく読めると思うし、知的なエンターティンメントとして優れていると思う。が、コロナでなんとなく気分が下がっている状態で読むのはどうかな?元気のあるときに読むのを推奨します。
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あちゃー、難しかったわ、これ。 学校行事の持久走大会に気負いなく参加したら、 激むずのアップダウンしかも長距離コース だったみたいで、とにかくゴールするだけに、目標を定めて走ったみたいな読書体験になりました。 エントロピーの法則って、こんなにすみずみまで 宇宙を支配しているのね...
あちゃー、難しかったわ、これ。 学校行事の持久走大会に気負いなく参加したら、 激むずのアップダウンしかも長距離コース だったみたいで、とにかくゴールするだけに、目標を定めて走ったみたいな読書体験になりました。 エントロピーの法則って、こんなにすみずみまで 宇宙を支配しているのね。 昔から、未来まで。この本には 物理学者の皆さんが数式で考え、 後に実験で部分的に確かめてきた 宇宙のでき方と未来を俯瞰する。 終盤には 宇宙の終わりの予想が書かれていて、 想像力が届かず「はーーー、」って ただただ息が漏れるだけだった。 でも。きっと再読する。また苦しくなりたくて 読みにくる。そんな予感がします。
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宇宙の始まりからその終わりまで、生命の存在も含め全ての事象は物理的法則に従っている・・・。その時間軸の壮大さといったら!その視点からすれば私たちの命などほんの一瞬にも満たない物理的現象に過ぎないのかもしれない。一方、ここに命があることは奇跡的な物理現象でもあるのだろう。目の覚める...
宇宙の始まりからその終わりまで、生命の存在も含め全ての事象は物理的法則に従っている・・・。その時間軸の壮大さといったら!その視点からすれば私たちの命などほんの一瞬にも満たない物理的現象に過ぎないのかもしれない。一方、ここに命があることは奇跡的な物理現象でもあるのだろう。目の覚める一冊。読んでよかったと思える本。
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〈アクションプラン〉 ・何でもいいから、何かを残す・伝える 〈マインド〉 ・死ぬのは悲しいけど、種としての人間が死ぬのは恐らくまだ先だから、生きる価値はある 〈感想〉 社長におすすめの本を聞いたところ本書を紹介され、ド文系の自分が1ヵ月かけて必死に読みました。 熱力学の第二法...
〈アクションプラン〉 ・何でもいいから、何かを残す・伝える 〈マインド〉 ・死ぬのは悲しいけど、種としての人間が死ぬのは恐らくまだ先だから、生きる価値はある 〈感想〉 社長におすすめの本を聞いたところ本書を紹介され、ド文系の自分が1ヵ月かけて必死に読みました。 熱力学の第二法則、エントロピーという言葉を全く知らない身でしたが、何とか2割くらいは理解できたかなという印象です。 専門的な用語でつまずき、諦めたくなる衝動に駆られますが、読み進めていくとかなり深くて面白いことに気付きます。様々な科学的知見、仮説が紹介され、知的好奇心がくすぐられました。特に本書は「宇宙の始まりから終わりまで」といったテーマのため、本を読みながら旅をしているような気分にしてくれる一冊だなと感じました。 研究者の書いた本はなかなか取っつきづらいですが、じっくり読んでいくことで自分なりの深い洞察が得られるという実感を得ました。 個人的に面白かった表現は下記の1文です。 「「私」とは、特定の粒子配置を表す略語のようなものだ」 この文章はかなり刺さりました。非常にスマートで上品なボケという感じです(ボケではないと思いますが)。 適切に理解できているか怪しいですが、大まかに言うと、あらゆる思考や行動は脳内の「粒子の配置の変化」によるものであり、今この瞬間の私とは、「粒子配置」によって規定され説明されるものであるということ。 多くの人は自分の意志で自由に考え行動していると思っているが(自由意志)、実際は全て粒子が先んじて動いた結果の現象であるということ。したがってそれは物理法則に支配されている。 自由に思える人間の認知・行動は、あくまで物理法則の支配下にあるものであり、故に自由ではない。 以上をまとめて、「自由意志は感覚に過ぎず、現実には存在しない」ということらしい。 こんな風に物事を考えていて、それが当然であると受け入れている人が世の中にいることに驚きました。 浅はかな理解ですが、理系の人はすごいなと。還元主義というらしいですが、ここまで徹底して人間を分解し、物理法則の俎上に載せて現実を捉えている人がいるということに感動を覚えました。 これまで自分が全く考えもしなかった人間観を突き付けられたことは、本書を読んで良かった点の一つと言えます。 学びとしては、最終部で出てきた以下の問いが挙げられます。 「余命1年と宣告されるのと、1年後に地球が消滅すると宣告されるのは、どちらがショックか?」 この問いは非常に興味深いものでした。結論を言うと、後者の方がより無価値感を感じるだろうということ。 自分自身が死ぬのはもちろん悲しいことですが、一方で残った人たちにバトンを託すことはできます。そもそも我々は過去からずっとつなげられてきたバトンを受け取ってここにいるのであり、それをまた後世の人に託していくことで一生を全うしたという気分に浸ることができると考えられます。 他方、地球の消滅は、これまで人類が受け継いできたあらゆる英知の消滅を意味します。つまり、もうこれ以上何を積み上げ、残そうとしても、全ては無意味になってしまう。 これは想像してみると恐ろしいことだと思います。そう考えてみると、「自分(個人)が死ぬのは悲しいけど、人類(種全体)が死ぬよりがはマシ」と思える気がしました。 本書を読んで、「死への恐れ」に対して自分なりに以下の結論が出ました。 ・死ぬのは悲しいけど、それは免れ得ない(=永遠は無い)。 ・そして個人は死んでも、後世にバトンを繋いでいくことはできるし、幸いなことにその余地が残された世界に生きている(=地球が消滅するのは何十億年後)。 ・だから、「次の世代に対して、何でもいいから何かを残す・伝える」ことで、いざ死を目の前にした時に幾分不安や恐怖を和らげることができる(だろう)。 最後に余談ですが、最終部で「宇宙からしたら人間の積み重ねた歴史なんてちっぽけなもので、全く気にも留められないかもしれない」といったようなことが書いてありましたが、片思いのようでかわいいなと思ってしまいました。いつまでたっても振り向いてくれない宇宙への壮大な片思いと考えると、研究者の情熱は片思いと性質が似ているが故に、ずっと楽しみ続けられるのかなと推測しました。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
こういうので厭世的にならずに宗教的にならずに希望をもって終わるのはすごいと思う。私の知っている範囲からしておそらくサイエンスのメジャーどころの言い分にかなり忠実そうだし。終末に向けて章立てしてるのはよくできてると思うけど。響くかというとうーん。
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レビューはブログにて https://ameblo.jp/w92-3/entry-12735355002.html
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