ケアの倫理と共感 の商品レビュー
男性的な正義の倫理の陰に追いやられ軽視されてきたとされるケアの倫理の重要性は近年徐々に注目を集めているように感じる。しかし一方で女性特有の視点や眼差しとして語られることから女性の自立などフェミニズム運動を後退させるものとして批判されることも少なくない。本書はそのような微妙で複雑な...
男性的な正義の倫理の陰に追いやられ軽視されてきたとされるケアの倫理の重要性は近年徐々に注目を集めているように感じる。しかし一方で女性特有の視点や眼差しとして語られることから女性の自立などフェミニズム運動を後退させるものとして批判されることも少なくない。本書はそのような微妙で複雑な位置付けにあるケアの倫理について哲学、倫理学の観点からその価値を捉え直す議論を行なっている。共感の視点を取り入れることにより、ケアの倫理はジェンダーに関わらず広く道徳や倫理について説明する規範的な理論になりうることを示す。倫理学にそれ程詳しくないこともあって難しかったが非常に面白かった。個の自立やその前提の元に語られる公平の論理や価値観が強すぎることに違和感を持っていたり、男性ではあるがむしろケア的な視点の方に親和性を感じていつつそのことをスムーズに受け取ってもらえないことへ感じていた違和感から抜け出すヒントを得たような感覚がある
Posted by
哲学及び倫理学の所なので、その基礎がないと十分な理解は難しい。「ケアの倫理」と「共感」というワードから手に取ったものとしては読み解くのに難渋した。後半に訳者が丁寧に解説していたので、それを参照しながら読み進んだが、それでも難渋した。「ケアの倫理」は感情や関係性に依拠するものである...
哲学及び倫理学の所なので、その基礎がないと十分な理解は難しい。「ケアの倫理」と「共感」というワードから手に取ったものとしては読み解くのに難渋した。後半に訳者が丁寧に解説していたので、それを参照しながら読み進んだが、それでも難渋した。「ケアの倫理」は感情や関係性に依拠するものであるが、それを「共感」で読み解くもので、「自律」や「自由主義」、「社会的正義」に対して、主に「正義論」などに比して考察されていることは理解できた。
Posted by
実は積んだままにしてたのだが、スロート先生はおもしろい。みんなも読みなさい。訳文も立派なんだけど、原文でのethics of careとethic of careの違いが気になる……あとタイトルは「ケアと共感の倫理学」なんじゃないかと思ったけど、訳者はスロート先生のところで研究し...
実は積んだままにしてたのだが、スロート先生はおもしろい。みんなも読みなさい。訳文も立派なんだけど、原文でのethics of careとethic of careの違いが気になる……あとタイトルは「ケアと共感の倫理学」なんじゃないかと思ったけど、訳者はスロート先生のところで研究してたみたいだから、おそらく正しい。
Posted by
- 1