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日本移民日記 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/03/02

日本語は単なるツールではないという指摘は身近過ぎて気が付かなかった。日本では「心が日本人」でないといくら日本語を流暢に話そうが日本人として受け入れられない現実がある。 なにがその人を「日本人」にするのかということを考えながら読んだ。この島国の「よそ者」への警戒心は半端ない。逆に身...

日本語は単なるツールではないという指摘は身近過ぎて気が付かなかった。日本では「心が日本人」でないといくら日本語を流暢に話そうが日本人として受け入れられない現実がある。 なにがその人を「日本人」にするのかということを考えながら読んだ。この島国の「よそ者」への警戒心は半端ない。逆に身内同士の警戒心はものすごく弱い。「日本人」という個として、「よそ者」を警戒することしかしていなくて、一人一人の人間は「日本人」という個の中に安全に収納されている。 でも現実には「移民」がたくさん存在している。少子化が回復する可能性は低く、これからの日本社会を維持するには「日本人」の意識を変えて「移民」と共に社会を作っていくしかないと思う。そうは思うが、この島国が何百年と形成してきた「日本人」観を、急速に進む少子化と同じスピードで変えていくことが可能なのか正直分からない。まずは自分が「よそ者」に反応する瞬間に気が付き、人をキャラクターで判断しないというところから始めたいと思う。

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2023/01/31

彼の切実さにリアリティが持てなかったのが悲しい こういう自分のような人が考え無しに傷つける言葉を使ってしまうのかも、と思うと背筋が凍る でも知った。スタートラインには立てたと思っている

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2022/10/31

もともと曲(声やフロウ)が好きだったが、これを読んだあとだと歌詞がいかにリアルな彼自身の言葉なのかが分かった。日本人にとって差別用語も銃の表現も差し迫った問題ではないはずなのに、なぜか日本HIPHOPにおいては頻出しているという状況のなかで彼が発する「チョン」や「移民」には軽さが...

もともと曲(声やフロウ)が好きだったが、これを読んだあとだと歌詞がいかにリアルな彼自身の言葉なのかが分かった。日本人にとって差別用語も銃の表現も差し迫った問題ではないはずなのに、なぜか日本HIPHOPにおいては頻出しているという状況のなかで彼が発する「チョン」や「移民」には軽さがないことがわかるだろう。 移民や韓国の話題が中心とはなっている。個人的には移民問題をもっと広く捉え「キャラクター」と「個人」の乖離について述べている部分の洞察や悩みの部分が面白かった。

Posted byブクログ

2022/07/18

自意識の密度がすごい。それをラップにするだけでなく、研究にまでする。自意識が止まらない自分をラップにする自分を研究する自分をエッセイにする自分…。いわゆる「差別語」や「在日」について、底なしに突き詰めていく様もすごい。

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2022/06/12

普通に日本で暮らしているだけではわからない、マイノリティの視点から見た「日本人」のヘンテコな部分に気づかせてくれる。と同時にヘイトスピーチ(=異質なものに対する恐怖と怯えからくる攻撃的な反応)をする人がこんなにも多いのかとショックを受ける。それを浴びせられながら暮らしている人がい...

普通に日本で暮らしているだけではわからない、マイノリティの視点から見た「日本人」のヘンテコな部分に気づかせてくれる。と同時にヘイトスピーチ(=異質なものに対する恐怖と怯えからくる攻撃的な反応)をする人がこんなにも多いのかとショックを受ける。それを浴びせられながら暮らしている人がいるということを忘れずにいたい。

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2022/04/09

東京新聞202219掲載 評者:いとうせいこう(ラッパー) 日経新聞2022115掲載  読売新聞2022328掲載 評者:柴崎友香(作家)

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2021/12/01

 ウェブ連載が書籍化したので読んだ。他のウェブ記事と同じように流し読むのはもったいないと思って取っておいたので書籍化は大変嬉しい。昨年リリースされたアルバムの製作ノートのようなエッセイでめちゃくちゃオモシロかった。  10章+αという構成で彼が日本で11年間暮らして感じた違和感、...

 ウェブ連載が書籍化したので読んだ。他のウェブ記事と同じように流し読むのはもったいないと思って取っておいたので書籍化は大変嬉しい。昨年リリースされたアルバムの製作ノートのようなエッセイでめちゃくちゃオモシロかった。  10章+αという構成で彼が日本で11年間暮らして感じた違和感、苦しみなどが様々な形で表現されている。ウィットとアイロニーてんこ盛りで、ですますかつ読者に語りかける文体なので読み手にぐいぐい迫ってくる。一番強く感じたのは自分自身が持っている日本人としての権利に対して無自覚なんだなということ。国家の政策として移民を制限していることもあり、周りには日本国籍を持った人がほとんどでその特権が相対化される機会がなかなかない中、彼の言葉で綴られる「外国人」が日本で暮らす苦労・苦しみは正直分かっていないことばかり。何となく社会がスルーしていることを仔細に言葉を尽くして説明している。これはアルバムも同様で彼の提起していることや意見していることは露骨な差別主義者だけではなくて、無関心な人やなんなら「リベラル」を自称する人の心に巣食う無意識な差別の意識の話であり誰も他人事ではないのだと、どの章を読んでも感じた。  中盤に彼が修論で取り組んでいる楽曲におけるカースワード使用に関する研究もオモシロい。これだけ言葉を定性的・定量的に研究している人がラッパーで、しかもその研究内容を自ら実践しているだなんて!優れたラッパーは他人のラップを貪欲に吸収する姿勢を持っていると思っているので、彼はまさしくそれをガチでやっていて興味深かった。  あと「在日」に関する考察も自分の理解を深める一助になった。恥ずかしながら昨年「パチンコ」という小説を読んで初めて在日の実態を知った。本著ではある程度成長した大学生として日本へやってきた彼の視点から「在日」を再定義するような論考になっており、またその何重もの複雑な構造は日本社会が構築してしまっていることも知り、うーん…という気持ちになった。そして、ここまで述べてきた読者の気持ちをまるで察するかのようなパンチラインがぶち込まれており、これを言えるラッパーがMOMENT JOONという日本を代表するラッパーだ。 あなたが「何となく分かっている」と思っているものを「それって実はこうなんですよ」とさらに明快に答えるのは、政治家、またはプロバガンダの仕事です。あなたが「何となく分かっている」ものは、実はあなたが想像するよりもっと複雑で敏感です、と理解させるのが芸術家の仕事です。

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