ローカル女子の遠吠え(8) の商品レビュー
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名々伏主任がスナック・カトレアにボトルキープすることになる8巻である。 有楽町の「ふるさと回帰支援センター」に複雑なまなざしを送る彼は、そのうち準レギュラーからレギュラー待遇に変わることもあるかもしれない。 そんな作中キャラの人生の話はさておき、今回も静岡話盛りだくさんで展開している今シリーズである。 山梨の「忍野八海」や、静岡からダイヤモンド富士などが見られる田貫湖&小田貫湿原、牧之原の相良油田、中伊豆の浄蓮の滝(の柱状節理)などなど。 仕事の合間に訪れるスポットもまだまだたくさん見られる、意外に見落とされている静岡の観光地が今回も紹介されている。 また、言わずと知れたピアノの町・浜松に関する話題なども一話描かれている。 だが、やはり今回のメインの話題は 「ついに産出額で首位陥落したお茶王国・静岡」 の話題だろう。 茶畑の作付けする環境の問題が触れられているが(鹿児島は平地で静岡は山地)、そのハンデがあってもやはり認めがたい事件に違いない。 この話題だけはさすがに「しょんない」では済まないらしい。おそらく県民の素直な感想なのだろうと思う。 こうした静岡な本ネタの合間に、会社組織を生きるキャラたちの苦悩などもまた多く描かれている。 ごく細かいところだが、 「テレビで見かけたカフェに行ったら、地元民限定の空気にやられた秋津さん」(P.55) というのは、まあこれはもうどの地方でもあるある中のあるあるだろうなと思う。 店に入った瞬間に常連と思しきお客の会話が途切れるような体験をした方はきっと「ああー……」とうなずくに違いない。(体験談) 今回も楽しませていただいた。 安定している作風なだけに評価が難しいが、秋津さんのカツサンドが美味しそうだったのと、今回も水馬さんが大暴れしていたのに敬意を表して星五つと評価しておきたい。 しかし、油田は本当に知らなかったので「なんでもあるな静岡⁉」と驚かされた点は付記しておきたい。 水がきれいで油まで採れて、山もあれば海もある。日本一の山すらある。 国内の主要街道が貫通して交通の便がいいし、本当に静岡は良いところだなと思う。 その割に地味な印象なのは、きっとお国柄なのだろう。
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