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まだまだという言葉 の商品レビュー

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6件のお客様レビュー

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2024/08/27

人間の細やかな心情を掬い上げて描いた作品集。どれもが派手に感傷を呼び起こすものではなく、どことなく寂しい、苦しい、辛いといった日常にただよう心情をあらわしていて、秋風のような涼しさと乾きを感じました。 だから読み心地はけして軽くはないんですが、それでも、日常を苦悩とともに過ごす...

人間の細やかな心情を掬い上げて描いた作品集。どれもが派手に感傷を呼び起こすものではなく、どことなく寂しい、苦しい、辛いといった日常にただよう心情をあらわしていて、秋風のような涼しさと乾きを感じました。 だから読み心地はけして軽くはないんですが、それでも、日常を苦悩とともに過ごす人々へ、孤独を感じさせる彼らに、そうではない、見えないところに心を寄り添わせる人はきっといる、と声をかけているような暖かみは感じられました。 日常の身近な苦しみを丹念に描くことは、そういう人が一人ではないと広く知らしめることでもあるから、少しでも希望のようなものが芽生えたら良いな、と思えました。

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2024/06/14

多くを書きすぎず、心の機微を描くこの作品は、大人の文学という感じだ。「爪」「向こう」が好き。2作品とも辛い話だけど、より韓国を感じることができる気がする。「灰」も好き。ポポンポンってなんだ?この分からなさが、よい

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2023/06/25

生きてきて、いつだったか過ごした時間や、苦しかった時期や、心がチクチクしたことが、網ですくわれて、読みなおした気分。誰にも話していないし、これからも話すことはないだろうたくさんのこと。

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2022/12/14

この作家はすげい…まさに文学者だ。読んでいて、どれも痛い。やるせない。貧困の中をギリギリ、途切れそうになる意識を保ちながら生きる若者を描いた「爪」がいちばん印象的。短編集だけど、それぞれ、画風は同じなのに画法は変えている、そんな感じ。まじめにていねいに描かれている。この人は生きづ...

この作家はすげい…まさに文学者だ。読んでいて、どれも痛い。やるせない。貧困の中をギリギリ、途切れそうになる意識を保ちながら生きる若者を描いた「爪」がいちばん印象的。短編集だけど、それぞれ、画風は同じなのに画法は変えている、そんな感じ。まじめにていねいに描かれている。この人は生きづらそうだけど、強いんだろうな、ここまで書けるということは。中村文則なんかがアマチュアの中学生みたいに見えるなあ、こんなちゃんとした本を読むと。

Posted byブクログ

2022/08/30

권여선の短編集。「知らない領域」、「爪」、「希薄な心」、「向こう」、「友達」、「松湫(송추)」、「灰」、「アジの味」。ソヒは狭い浴室で髪を洗って出てくると、タオルで拭いて乾かした。髪がすっかり乾いてから家を出ると遅れる。出勤に遅れるのではなく、始発のバスに遅れるのだ。ソヒはバスが...

권여선の短編集。「知らない領域」、「爪」、「希薄な心」、「向こう」、「友達」、「松湫(송추)」、「灰」、「アジの味」。ソヒは狭い浴室で髪を洗って出てくると、タオルで拭いて乾かした。髪がすっかり乾いてから家を出ると遅れる。出勤に遅れるのではなく、始発のバスに遅れるのだ。ソヒはバスが好きだ。通勤バスはソヒの最大の喜びだった。ソヒには、姉がいた。そして以前は母もいた。ソヒが六年生の時。母は、姉の貯めていたお金も姉さん名義で借りたローンも一緒に持ち逃げした。そのとき、一家は引っ越しをしようと話をしていた。そして今度は姉さんがお金を持ち逃げした。ソヒが休みの時に一緒に部屋を見に行こうねと約束してパッと消えたのだ。それからソヒは一人で生きていく。お金を細かく計算して家計簿に付けて、今月はあといくら使えるのかといつも計算をして生活をしている。ローンの返済や月家賃、交通費、通信費と公共料金と健康保険料。暖房費もかかるから、あと十八万ウォンでひと月生活していかなければならない…。少しでも歯車が外れたら窮地に陥るソヒの今の生活。女性で若く学歴もない非正規社員の生活は読んでいて胸が痛くなる。(爪より)

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2022/04/19

当人がいないあるいは当人とのコミュニケーションが難しいなかで、家族が語られる話が多かった印象です。このため、家族への思いが一方通行のよう見えたり、家族の記憶がある時点から更新されないバリアを感じたり。はたまた、苦しみと希望が一緒にやってくる家族の再会の話もあり、バリエーションに富...

当人がいないあるいは当人とのコミュニケーションが難しいなかで、家族が語られる話が多かった印象です。このため、家族への思いが一方通行のよう見えたり、家族の記憶がある時点から更新されないバリアを感じたり。はたまた、苦しみと希望が一緒にやってくる家族の再会の話もあり、バリエーションに富んでました。

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