庶民の日本史 の商品レビュー
庶民の歴史を知りたくて読書。 副題に「人々の物語」とあるように、歴史学ではなく、意見、見解、考察のような1つの説として楽しむものとして読む。 おわりにで言及しているが、異論を許さいない1つの史観しか存在しない。それだと中国を代表するような全体主義的な権威主義国家となる。日本人...
庶民の歴史を知りたくて読書。 副題に「人々の物語」とあるように、歴史学ではなく、意見、見解、考察のような1つの説として楽しむものとして読む。 おわりにで言及しているが、異論を許さいない1つの史観しか存在しない。それだと中国を代表するような全体主義的な権威主義国家となる。日本人はそんなのを望んでいるのか。 日本人の多様性は、どこから生まれ、受け継がれてきたのかなども考えさせてくれる。 自虐史観に加えて、ゴリゴリの貧農史観で教育を受けた人間からすると、「本当の江戸時代の庶民生活はこうだったのではないか?」という新説などは特に興味深い。 日本文化の魅力は、他人への配慮、思いやりであり、善悪、白黒、0か100ではない真ん中くらいの曖昧さ、グレーを好む。これまでは日本文化の欠点かのように言われてきたが、これこそが唯一無二の多様性そのものではないかと最近、思うようになってきた。 無用な対立を避け、適度な距離感を保ち、さらに社会も回していくという先祖からの叡智なんだろう。 文化大革命以降の現代中国は、法律など建前では厳しいが、実際は緩く、曖昧に運用されていた。だから、あんな国でも成り立ってきたのだと思うが、この10年は、あらゆる部分の曖昧さを悪とし排除した。それが今の中国のリアルだと思う。 日本は改めて、今の中国のような国を偉大な反面教師として、庶民の1人ひとりが主役で、日本書紀に書かれた「よろこびあふれる楽しい国」とは何かを考える機会が増えると良いな。 思いやりの「江戸しぐさ」(p240~) そうか、そうかと妙に納得。面白い。 石田梅岩が説いた商売道、石門心学が現代日本人の時間を守る。うそをつかない。卑怯なことをしないなど生活習慣に礎になっているという説を読んだことがある。 「儒学、朱子学、陽明学、仏教、孔子、孟子のいいところ取りのインチキ学」と当時、批判を受けたそうだが、商人らしいリアリストな合理主義者だったのではないか。 石田梅岩についてまた学びたくなった。 読書時間:約1時間15分
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よろこびあふれる楽しい国、豈国、ヤマト。 海洋民族、稲作、武器を持たない縄文時代、豊かな衣装の縄文。 民の竈、米の備蓄制度、律令の刑法がない、分け隔てない直会、神社ネットワークで三日で全国に伝わる、女性の教養の高さ、皇居への勤労奉仕、新田の開墾から生まれた武士、田植えは神事、猿楽...
よろこびあふれる楽しい国、豈国、ヤマト。 海洋民族、稲作、武器を持たない縄文時代、豊かな衣装の縄文。 民の竈、米の備蓄制度、律令の刑法がない、分け隔てない直会、神社ネットワークで三日で全国に伝わる、女性の教養の高さ、皇居への勤労奉仕、新田の開墾から生まれた武士、田植えは神事、猿楽、お能は武士、弾正忠としての信長、タイで王となった山田長政、フルカラーの浮世絵、日本の識字率、商人だった梅岩がひらいた学問、豊かだった農民、露天の無人現金輸送取り扱い所。
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著者の考える日本の庶民の歴史。そんな一面もあると思うけど…ほんとにそうなのかなぁ.そんなに穏やかに考えていたのかなあ、とあまりにユートピアな感じなので少し意地悪な気持ちになりました。
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歴史の本なんて高校生の日本史の教科書以来だったが、こんなに面白いならもっとまじめに勉強したのになあと思う。 たぶん教科書は貴族だ将軍だと、自分の肌感覚と遠い人の話ばかり書き連ねていたからかなあと本書を読んで思った。 本書のように私と同じ一般人の生活を知れると、歴史の流れも身近な...
歴史の本なんて高校生の日本史の教科書以来だったが、こんなに面白いならもっとまじめに勉強したのになあと思う。 たぶん教科書は貴族だ将軍だと、自分の肌感覚と遠い人の話ばかり書き連ねていたからかなあと本書を読んで思った。 本書のように私と同じ一般人の生活を知れると、歴史の流れも身近な話になる。 特に稲作伝来論否定が良い。 なぜに稲作は中国から伝えられたのだと、私たちは教えられたのか。 ほかの歴史書も読んで、色々と比較したくなった。
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