変異する資本主義 の商品レビュー
これはつまらん。ただの自説の垂れ流し 経済の成長に繋がるような戦略的な財政支出が有効なのはその通り。しかし一昔前の「政府か市場か」の議論を超えるような主張は見られない。つまり市場は確かに失敗するが、政府もまた失敗するのだ。そして往々にして政府の失敗の方が酷い。実際日本の巨額の公...
これはつまらん。ただの自説の垂れ流し 経済の成長に繋がるような戦略的な財政支出が有効なのはその通り。しかし一昔前の「政府か市場か」の議論を超えるような主張は見られない。つまり市場は確かに失敗するが、政府もまた失敗するのだ。そして往々にして政府の失敗の方が酷い。実際日本の巨額の公的債務を正当化できるほど日本の過去の財政支出は有効だったのだろうか。 また公的債務をGDP比ではなくインフレ率で測るべしというが、昨今の物価高騰時に政府が財政支出して補助金を出していることに反対を表明しているのだろうか?今こそ支出を減らせという事になると思うが。 結局のところ元々筆者の主張に賛同している人には面白いだろうが、反論に対して反論できてないから、自説の垂れ流しにしか見えない
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新自由主義とは、自由市場が経済更生を高める最良の手段とし、政府の経済介入を極力減らすべきとするイデオロギー。この新自由主義では、パンデミックをコントロールできないし、景気対策にも財政出動が必要で、ざっくり言うと「大きな政府」が求められる。 米中覇権争いを切り口に考えてもそうだ。...
新自由主義とは、自由市場が経済更生を高める最良の手段とし、政府の経済介入を極力減らすべきとするイデオロギー。この新自由主義では、パンデミックをコントロールできないし、景気対策にも財政出動が必要で、ざっくり言うと「大きな政府」が求められる。 米中覇権争いを切り口に考えてもそうだ。何事も軍事利用が可能な中国に対し、国防と経済が分離したままでは太刀打ち出来ない。ハイブリッド戦争に備えるならば、民事介入が必要となる。所謂、国防動員国家に対し、野放しの自由主義では歯が立たない。本著の示す一つのシナリオとして、各国の社会主義かは、果たして進むだろうか。どうも、そうした政府介入を強める前に、コロナムードは緩和しつつある。結局日本は、ロックダウンを経験せぬまま、できる事は、北のミサイルで緊張感の無い避難訓練の繰り返し程度だ。 唯一の救いは、米国が中国に対抗できる事。台湾有事がエスカレートしない程度には、まだ抑止力が効いている。中国が軍事に絡めて市場コントロールをしてくるならば、いずれ、その外圧によって、呑気に資本主義は続けられなくなるだろうと。確かに。
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経済や世界史をある程度知っていないと読みにくかった。大半がアメリカの話で占めている。また再挑戦したい本。
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第1章 静かなる革命 新しいパラダイムの出現 新自由主義の終焉 巨額のコロナ対策と財政の持続的可能性 経済学に起きた科学革命 第2章 「長期停滞」論争 生産性の低下と長期停滞 セ―の法則を否定したサマーズ 赤字財政支出が民間貯蓄を生むメカニズム 財政健全化のパラドックス 第3章 自滅する「資本主義」 軍事的緊張と経済成長 金融化により経済は停滞 企業組織の行動原理の変質 もはや経済の問題ではなく、政治の問題 第4章 21世紀の富国強兵 地政学的脅威 産業政策の復活 第5章 覇権戦争 リベラリズムとリアリズム 覇権安定理論 アメリカの楽観論・中国の戦略思考 第6章 ハイブリッド軍国主義 シャーㇷ゚パワーという政治戦 最終章 来るべき世界 メディカル・ナショナリズム 統治能力を高めるか、衰退するか
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バイデン政権の経済ナショナリズムへの政策転換を丁寧に説明しつつ、中国の(経済・軍事などの)ハイブリッド軍国主義の台頭から、今後の世界は新自由主義・小さな政府から、社会主義(生産過程の運営を何らかの公的機関に委ねる制度。あくまで経済学的な定義)・大きな政府に向かうであろう。 という...
バイデン政権の経済ナショナリズムへの政策転換を丁寧に説明しつつ、中国の(経済・軍事などの)ハイブリッド軍国主義の台頭から、今後の世界は新自由主義・小さな政府から、社会主義(生産過程の運営を何らかの公的機関に委ねる制度。あくまで経済学的な定義)・大きな政府に向かうであろう。 というのが本書の趣旨。 経済を軸に、地政学、外交、軍事などの要素も考察しながら論じられており、何度か繰り返して読まないとこの結論に至る理由が完全には理解できませんが、「本書で定義する社会主義」に向かうであろう。とする予測は、本書が出版された2021年11月以降、ロシアのウクライナへの侵攻によって、ますます強まっているようにも思います。 また、小さな政府を追求した日本は、骨太な国の政策を議論できる国体ではなくなっているという指摘は、非常に重たいです。
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昨年11月に発刊されたものであるが、現在読んでも充分新しい。現在の国際的な政治や経済の動向がとてもよく分析されており、とても腑に落ちる本である。 日本人の多くは、未だにアメリカが日本を守ってくれると思っているが、もはやアメリカの首脳部は東アジアの地域覇権は既に中国が握っている...
昨年11月に発刊されたものであるが、現在読んでも充分新しい。現在の国際的な政治や経済の動向がとてもよく分析されており、とても腑に落ちる本である。 日本人の多くは、未だにアメリカが日本を守ってくれると思っているが、もはやアメリカの首脳部は東アジアの地域覇権は既に中国が握っている事実を認めている。台湾有事は時間の問題だろうが、アメリカがそれを阻止できるわけがないのである。 それにしても、この10年間で中国のハイブリットな国力は増大した。日本やアメリカは戦争しているという意識はなかったが、中国は総合的なハイブリット戦争をひたむきにやっていた。気づいた時には経済力でも軍事力でも全く敵わない中国となっていた。
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「地政経済学」を提唱する中野剛志氏の近著。本書は中野氏の主著「富国と強兵 地政経済学序説」の抄訳、アップデート版と言えると思う。 アメリカの経済政策が転換された背景の分析を通して、不愉快な現実が描き出されている。 経済政策に興味がある方は必読。
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現在の世界情勢を把握するための最適のブリーフィング。文書交通費を使って全ての国会議員に配布すべきだ。
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経済って、壮大な社会実験のようなものなんだなと。 日本のように自国通貨を発行できる国では、どれだけ国債を発行しても財政は破綻しない。赤字財政の拡大によって民間貯蓄は増える。 これがMMTってやつですか?…と思ってググったら、著書中野剛志氏のダイヤモンドの記事が出てきたのでやはり...
経済って、壮大な社会実験のようなものなんだなと。 日本のように自国通貨を発行できる国では、どれだけ国債を発行しても財政は破綻しない。赤字財政の拡大によって民間貯蓄は増える。 これがMMTってやつですか?…と思ってググったら、著書中野剛志氏のダイヤモンドの記事が出てきたのでやはりそういうことらしい。 なんだか狐につままれたような感覚だが説得力はある。 中国のハイブリッド軍国主義という地政学的な脅威が、金融階級の政治的支配の打破による金融化の是正、そして長期停滞からの脱出の足掛かりとなる「経済政策の静かなる革命」を可能にした。 新自由主義に対する民主主義の勝利は、民主的プロセスやエリートの侃侃諤諤の議論ではなく、権威主義国家の覇権の脅威から生まれるというのはなんとも皮肉。 いずれの経済システムも、純粋な資本主義と純粋な社会主義のどこかにある。 赤字財政の拡大による、「社会をより良くする」(気候変動対策、感染症対策、貧困対策、防災インフラ整備…)ための資金投下。外国人労働者の受入抑制による労働力不足の慢性化がもたらす労働者の交渉力・賃上げ圧力の高まり。 それらが導くありようは「社会主義」化が進んだ資本主義の変異体である。センセーショナルだが納得感があった。
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新型コロナウィルスのパンデミックと中国の軍事的、経済的台頭を総合的、理論的に解釈・説明するとともに今後のあるべき経済政策の姿が述べられている。主張をサポートする海外の知識人のコメントが豊富に引用されており、説得力のある内容となっている。特に気になったのは、最終章で外国人労働者の規制緩和は難しくなるだろうと述べられている点である。一方、現実は規制緩和の方向で動いていくことが報道されている。この期に及んで、今だに新自由主義的な政治を行うのか、この本の言及する"社会主義"的な政治を行うのか重要な分水嶺であると思われるため、現在の政治を評価する上での貴重な一冊であると考えられる。
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