桶狭間の戦い の商品レビュー
戦百景2作目は桶狭間の戦い。日本三大奇襲の一つ。他の二つは厳島と河越だったかな。他の二つよりも圧倒的な知名度の桶狭間。日本史上でも屈指の知名度を誇るのではないでしょうか。教科書にも必ず載っていますしね。 桶狭間といえば、豪雨の中の急襲が名場面。最初にこれを知った時には、いくらな...
戦百景2作目は桶狭間の戦い。日本三大奇襲の一つ。他の二つは厳島と河越だったかな。他の二つよりも圧倒的な知名度の桶狭間。日本史上でも屈指の知名度を誇るのではないでしょうか。教科書にも必ず載っていますしね。 桶狭間といえば、豪雨の中の急襲が名場面。最初にこれを知った時には、いくらなんでも雨の中とはいえ、気づくもんじゃなかろうかと持ったものです。いや、台風の中ならまだしも、梅雨時の一時的な豪雨で?と。局所的に降ることもないだろう、という疑問も大いにありました。 その思いが覆ったのは最近のゲリラ豪雨。雨の接近遭遇の恐ろしさを知ることとなりました。夕立ぐらいしか知らなかった自分には、想像ができていなかったのですよ。熱帯のスコールというものの存在は知ってはいたかな。知っていたように思うけれど、知識と経験では違います。 目も開けていられない、立ってもいられない豪雨の中の急襲の怖さ。しかも、接近してくるのは、こちらの命を奪うことしか考えていない執念の塊という怖さ。 ここは、漆章で描かれています。震えが自然と出てしまう。 その前の陸章では、今川側へ襲い掛かる織田側が、狂奔へと移り変わってゆく様が描かれているのですが、それもぞくぞくしました。 やはり、桶狭間の戦いのクライマックスですから、盛り上がりはここにあります。 どれだけ今川義元が評価されようとも、織田信長の踏み台になってしまったというのは拭えない。それは桶狭間の戦いがあるから。流石に、一昔前の京かぶれの戦国大名というイメージは、今では薄まりつつあるのではないでしょう。どうでしょう。 一度ついたイメージは難しいか。どこでそのイメージついたのだろうか?こういう部分も、勝てば官軍なのだろうな。
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「戦国時代の戦いを巡る挿話」として、「桶狭間の戦い」は「最も知られているモノの一つ?」ということになるのかもしれない。「その日」に収斂する物語として、戦の少し前の時期の回顧録的な事柄から起こりながら、視点を変えてドンドン物語が進む。視点人物たるのは織田信長、今川義元であり、各々の...
「戦国時代の戦いを巡る挿話」として、「桶狭間の戦い」は「最も知られているモノの一つ?」ということになるのかもしれない。「その日」に収斂する物語として、戦の少し前の時期の回顧録的な事柄から起こりながら、視点を変えてドンドン物語が進む。視点人物たるのは織田信長、今川義元であり、各々の陣営に在った人達である。章毎に視点人物が設定されていて、それが折り重なって進んで行く。 今川義元が大軍を率いて尾張へ侵入したということに関して「何がしたかった?」ということに幾つか説が在るらしい。本作では、勢力圏を西へ拡げながら、時間を掛けて都を伺おうとしていたという説を採っているようだ。 今川義元が尾張へ侵入するような行動に出るずっと以前から本作は起こり、本拠地の東側で勢力圏が接する武田家や北条家との間に婚姻を介した縁戚関係を相互に築き上げ「相互不可侵条約締結」というような情況とする。そして今川義元は師僧であり、軍事政治両面での補佐役、“参謀総長”とか“宰相”という存在感を示した雪斎と語らう。憂いなき世を築くことを目指すとである。そういう願いを持ち、勢力を西へ拡げて都を伺って、全国に号令を掛けることを目指した。そして今川家は将軍を輩出する足利家の縁続きで、足利家に不都合が在る場合には将軍を送り出すことが認められ得る家柄でもあったのだ。 そういうことをしていた中、今川義元は雪斎と「人間五十年」を語らう。50年生きると俗に言われる中、40代に差し掛かった今川義元は、残る10年弱で大望を叶えたいとした訳だ。そしてこの「人間五十年」という一節を好んだとされる織田信長の様子に何か重なる。今川義元が「人生を50年とした場合の残りが限られる中…」としていた頃、織田信長は「人生の半ば」であったという感じになる訳だ。 「覇を唱える」ということに自身なりの様式を整えていたかのような今川義元が、「覇を唱える」というようなことを明確に想い描き切れていなかった織田信長の必死な抵抗で屠られてしまったという物語が在ったのかもしれない。そういう様子が活写されるのが本作だ。 「桶狭間の戦い」は様々な小説に登場し、テレビドラマや映画でも色々と在る訳だが、それでも尚「描くに値する出来事」ということなのであろう。梅雨時の蒸し暑かった一日に激しい雨が降り、雨を突いて進軍した織田信長が「今川の本陣?」と決死の襲撃を試みたという物語が描かれた本作…少し夢中になった…
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