フシノカミ 辺境から始める文明再生記(2) の商品レビュー
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文明復旧を目指す転生少年の物語、コミカライズシリーズの第二巻である。 転んでもただは起きぬどころか、周りの薬草を全部引っこ抜く勢いの主人公・アッシュが織りなす物語は、森での遭難という非常事態から新たな薬の開発へと進め、さらにそこから養蜂という失われた技術へ……と物語は進行している。 そしてその中核にあるのが「本」の存在であるのは、今巻の新キャラ・フィルターニャとの対話からも明らかだろう。 派手な展開の仕方はしていないが、「本」によって確かに受け継がれた物語の描写にはグッとくるものがあった。 コミカライズとしての特色を見ると、原典版(ネット小説)の一人称型よりも編纂版(書籍版)の三人称型に近いスタイルである。 この二巻ではその特色がよく出ていて、村長夫人のユイカやその娘のマイカの視点もふんだんに描かれている。 あるいは原作ではチョイ役の母親もまた描写され、文中で現れなかった存在が視覚的に見えてくるのは、原作読者にとっても楽しいことである。 加えて、今巻で改めて思うのが 「テキスト量が多いよなあ……」 という実感である。 丁寧に描かれた物語であればこそ、テキスト量が多い。 そしてそれを丁寧にコミカライズしているからこそ、会話文・地の文の両面でテキスト量が多くなっている作品である。 それをここまでコンパクトに、ストーリーの流れを壊さず描出しているのは、率直に言って剛腕という他ない。 それも、薬を扱うモルモット周りの描写や自分で実験する様など、マッド科学者的な主人公像といった情報も目に見えてわかる形で描かれている。 アッシュに反感を持つ少年・ジキルとの対立構造なども、コミカライズで鮮明になっているポイントだろう。 原典版の一人称では容赦なく割愛される敵役であったし(この辺、原典版はマジで無情である)、こうした点はコミカライズの特色と言っていいかもしれない。 というわけで、今巻も良質なコミカライズを楽しませていただいた。 今巻も星五つで評価したい一巻である。 ストーリー的には派手ではなく、また原典版・編纂版読者の感想となってしまって恐縮だが、シンプルに「漫画が上手いなあ」と思ったのも事実なので、そこは正直に評価を置いておきたい。
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