マイブラザー の商品レビュー
中学2年の海斗は、5歳の弟の保育園の送り迎えを始めとして、お風呂や公園での遊び、絵本の読み聞かせもするイクメンだった。海斗の父は、大手企業の研究職をいきなり退職し、遠方の地でパン屋の修行中で、母はひとりで生活を支えていた。海斗はそんな父に反発してがんばっていた中学受験もやめ、弟の...
中学2年の海斗は、5歳の弟の保育園の送り迎えを始めとして、お風呂や公園での遊び、絵本の読み聞かせもするイクメンだった。海斗の父は、大手企業の研究職をいきなり退職し、遠方の地でパン屋の修行中で、母はひとりで生活を支えていた。海斗はそんな父に反発してがんばっていた中学受験もやめ、弟の世話をすることで、面倒な友人関係や頑張らないといけないことから逃げていたのだ。ある日一緒に中学受験を頑張っていた幼なじみの彩音と出会い、彼女の通う女子校の文化祭に招かれた。渋々行っては見たものの、そこで偶然同じく中学受験仲間で、当時海斗が目指していた学校に通う倫太郎と出会う。中学自慢をする倫太郎に悔しい思いをする海斗だったが、今度はこれらのメンバーで同窓会をしようと誘われてしまう。これ以上劣等感を刺激されたくない海斗は、わがままな弟を同伴して世話をすることでその場を濁そうと考える。しかしその場で、それまでひた隠しにしてきた「父はパン屋」を弟に暴露されてしまい、海斗は弟を叱りつけ泣き叫ばせたところで逃げるように去った。その後偶然会った倫太郎に、彩音はダンサーを七菜はシンガーソングライターを目指していること、自分は進学校で何の目標もないまま苦労していることを聞かされる。さらに、父親のわがままを支える母の気持ち、将来を嘱望されていた友人がサッカーを止めた理由などを聞くうちに、海斗は父からもきちんと話を聞くべきでないかと思い始める。 父親の脱サラやイクメンを言い訳に自分の心に蓋をしてきた少年が、友人たちの刺激と周囲を理解することで内観し、一歩を踏み出す勇気を持っていく物語。 *******ここからはネタバレ 表紙のマンガチックな絵や、「マイブラザー」というタイトル、初っ端の、5才児を抱っこ紐で背負って中学に登校するというあり得ないエピソードから「ハズレ」を予想して読み始めました。 でも「ハズレ」たのは私の予想の方で、この本は良かったです。 中学受験に向かって塾に通い頑張っていた海斗は、突然エリート研究員から脱サラしてパン屋になるという父親への落胆から、自分も中学受験をやめてしまいます。 そして、その隙間を埋めるべく弟の世話をするイクメンになるのです。 同じクラスの友人は、サッカーのスター選手だったのに突然「飽きた」と言って止め、太り始め、家庭も崩壊気味の健吾。 受験に成功した彩音や倫太郎が眩しく、劣等感を感じますが、これも道を外れた父親のせいだと責めることで自分ごととして取り組むことから逃げているのです。 そんな海斗は、 学業的な成功を投げうってダンサーになりたいという夢を語る彩音や、 不登校しながらシンガーソングライターになりたい七菜、 勝ち組のはずだったのに空っぽで辛いという倫太郎、 ケガでサッカーを止めざるを得なくなったらそれを支えていた家庭まで崩壊してしまったという健吾たちの事情を知るに連れて、自分のことを人任せにしてはいけなかったと気づくのです。 思春期の自立と責任について気づかせてくれる一冊だと思います。 まあ、偶然が多すぎたり、受験の成功で幸せになっている人が1人もいなかったりと作られ感は否めませんが、直球のメッセージは伝わります。 難易度も高くないので、読むのが苦手な子にも読みやすいと思います。 読める子なら中学年からイケますが、読んでおもしろいのは、やっぱり自分の気持ちに気づく高学年以上からだと思います。
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やっぱり草野たきさんのYA小説はいいな、優しさと厳しさがちょうどよくて、最後はずっと泣いてしまった。 14歳って1番苦しかった気がする。最初にぶつかる苦しさで、そこをどう乗り越えるかで大人になってからのあれこれが変わるような。そんな大切な時期。そういう時期に草野さんの描く作品に出...
やっぱり草野たきさんのYA小説はいいな、優しさと厳しさがちょうどよくて、最後はずっと泣いてしまった。 14歳って1番苦しかった気がする。最初にぶつかる苦しさで、そこをどう乗り越えるかで大人になってからのあれこれが変わるような。そんな大切な時期。そういう時期に草野さんの描く作品に出会えてたらなと思うほどに、30半ばを超えようとしてる私は今でも厨二病卒業しきれてないのかな笑。 子供も大人も、読んでほしい。人生はいつでもやり直しが可能ってこと。気づけた人が変われるんだよって
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