タフィー の商品レビュー
誕生と同時に母を亡くし、父の虐待に耐えるアリソン。父のパートナーで母親代わりのケリーアンすら家を出ていってしまった。父親の暴力に耐えられなくなって家を出た先で、認知症のマーラに出会う。マーラがアリソンを昔の友人タフィーと思い込んだのを良いことに、アリソンはマーラの家に居候しながら...
誕生と同時に母を亡くし、父の虐待に耐えるアリソン。父のパートナーで母親代わりのケリーアンすら家を出ていってしまった。父親の暴力に耐えられなくなって家を出た先で、認知症のマーラに出会う。マーラがアリソンを昔の友人タフィーと思い込んだのを良いことに、アリソンはマーラの家に居候しながら傷付いた心を癒していく。 不思議な詩のような文体。ボリュームがあるのにあっという間に読めてしまう。でもアリソンの傷付いた心の有り様はくっきりと浮き彫りになっている。 タフィー。甘いキャンディのようなお話かと思いきや。ほろ苦いカラメルの効いた堅い飴でした。。。 10代からの海外文学、ということだったけど、10代の人が読むのと私が読むのとでは受け止め方が全然違うのだろうなーと思いました。
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散文詩形式で書かれた小説は初めて読みました。 主人公の心情が、まっすぐに心に刺さります。 暴力をふるう父親から逃げ、行き場を失った少女と、独りで暮らす認知症の老女。 こうした設定でありがちな心温まる交流ではなく、感動の結末が待っているわけではない。 もっとリアルに、混乱しながら...
散文詩形式で書かれた小説は初めて読みました。 主人公の心情が、まっすぐに心に刺さります。 暴力をふるう父親から逃げ、行き場を失った少女と、独りで暮らす認知症の老女。 こうした設定でありがちな心温まる交流ではなく、感動の結末が待っているわけではない。 もっとリアルに、混乱しながらも力強く人生は続いていく。 相手を利用することばかり考える若者と、厄介事を避けたがる大人たち。そんな世界で居場所を見つけるのは大変です。 嘘を重ねるうちに自分の存在感が薄れてしまうアリソン。相手に求められる姿を演じ続ける自分を透明人間と呼ぶ。 読者にも、事実と主観の境界があやふやになってきます。 マーラの記憶は安定しないけれど、確かに過ごしてきた人生があり、アリソンと過ごした時間は消えるわけではない。言葉にできるものが全てではないと感じられました。 「人はあなたが言ったことは忘れる。 でも、あなたに対して抱いた気持ちは決して忘れない ――カール・W・ビューナー」
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設定の妙がある。 父の暴力から逃げる娘。認知症の独居老人。 一筋縄ではない。とくに娘。何をしていても不安しかないはずなのに、心が通う瞬間がある。彼女の心の健全さゆえだ。 最後は物語を抱きしめたくなる。
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父の暴力から逃げた少女と、認知症を患う老女。孤独なふたりの出逢い築かれる関係。 散文詩の形で紡がれる物語は、少女アリソンの心をあらわにして痛みが直接伝わってくる。ここに居ていいんだよというメッセージに、強く胸を打たれる。
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「怖いのは、人間。/人間は傷つけることができるから/すでにぼろぼろになって/たったひとり/暗闇に/うずくまる少女のことを。」
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最近若者向け小説で流行っている「散文詩形式」というそうで、見開き2ページの詩の形で綴られた小説。詩なので文章が少なくサクサク読めるが、飽きることなくすっと物語に惹き込まれていく。父親の暴力から逃げ出したアリソンは、自分を友人だと思い込んだ認知症の老婆の家へ住みつくことになる。父...
最近若者向け小説で流行っている「散文詩形式」というそうで、見開き2ページの詩の形で綴られた小説。詩なので文章が少なくサクサク読めるが、飽きることなくすっと物語に惹き込まれていく。父親の暴力から逃げ出したアリソンは、自分を友人だと思い込んだ認知症の老婆の家へ住みつくことになる。父親との恐怖と愛情ががないまぜになった苦しみの日々と、老女マーラとの不安定ながら優しく会話する生活、マーラの家族にバレないかのハラハラ加減が魅力的。ラストは意外な展開になるが、読後希望が持てるのはティーン向け小説ならではです。中学生からいけると思います。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
父から虐待されて育ち、生きる場所が見つけられないアリソン。友を失い、娘を亡くし、認知症が進行して不安に怯えている老女マーラ。 詩の形式で物語を綴るのはこの頃の英米文学の流行のようだけど、(単なる流行りではなく、スマホ、ネットに時間を割き、長い文章を読まなくなっている現代人に読んでほしいと工夫した結果ではないかと思う)この形式だからこそ、胸に直接響いてくる。 アリソンがいかに父の愛情を欲していたか。父親は支配的でありながら、精神面では大人とは言えないほど未熟。 マーラの心は何かをきっかけに今までの人生の哀しかったこと、嬉しかったことが現れ、それを隠したり押さえたりするのが認知症のために難しくなっている。派遣されてきている介護者はマーラは頭がおかしくなったと考え、彼女の言葉を真剣に考えない。全てハイハイ、という態度。息子は母の認知症が進行してまともな会話が成り立たないことに怒りを感じている。それら全てをマーラは感じ取っている。 なんともやるせない話ではあるが、後味はよく、何よりアリソンの成長と幸せが見えてくるのが良い。
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