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円──劉慈欣短篇集 の商品レビュー

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47件のお客様レビュー

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2024/05/02

SFの面白さは自分の想像力の限界突破を提供してくれること。 自分には思いつかない発想を知ることで何よりもワクワクを得る。この本にはそんなストーリーがたくさん詰まっていた。

Posted byブクログ

2024/04/08

一つ一つの作品が濃く、娯楽的にsfを楽しむことができた。いきなり、三体を読む前にこの本を読むことも良いと思う

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2024/03/17

「円」というネーミングが秀逸。本著はバリエーション豊かな作品群だが、題名のおかげで統一感が生まれている。表紙のイメージ通り全体としては沈痛な作品が並ぶけれど、中には希望に満ちた楽しい物語もある。

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2023/12/12

「三体」の著者、日本初の短編集。 中国の貧しい村の情景から始まる「郷村教師」 「呑食者」の後日譚である「詩雲」 10万桁まで円周率を求めよと命じられた荊軻の策を描く「円」など全13編→ 劉慈欣はやっぱりすごい、と再認識できる一冊。発想力がずば抜けている。 冒頭の「鯨歌」からすご...

「三体」の著者、日本初の短編集。 中国の貧しい村の情景から始まる「郷村教師」 「呑食者」の後日譚である「詩雲」 10万桁まで円周率を求めよと命じられた荊軻の策を描く「円」など全13編→ 劉慈欣はやっぱりすごい、と再認識できる一冊。発想力がずば抜けている。 冒頭の「鯨歌」からすごいよ。劉慈欣版「老人と海」でしょこれ(違う) 郷村教師はラストで鳥肌立つし、詩雲のコメディ感はやばいし(「流浪地球」収録の「呑食者」とセットでぜひ!)メッセンジャーのラストに息を呑んだ→ 二〇一八年四月一日は星新一感がすごいし、円はやっぱり面白い。 繊維のバカSF感もたまらない。息子に読み聞かせしたら面白くて親子でゲラゲラ笑ってた。 劉慈欣は陰のSFを描くと私は思ってるんだけど円円のシャボン玉はめちゃくちゃ陽で、たぶんみんな好きだと思う。 劉慈欣最初の一冊にもオススメ!

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2023/12/10

久しぶりにSF作品を読んだ。面白かった。面白かったというのはエンターテイメントとして面白いというよりは、著者の思想に触れることができる作品群だった、という意味で面白かった。どれも味わい深い作品なので、読むたびに違った感想、気づきがあるのだと思う。何度も味わいたいと思える本。

Posted byブクログ

2024/04/23

・劉慈欣「円 劉慈欣短篇集」(ハヤカワ文庫SF)を読んだ。ケン・リュウのアンソロジーに出てゐた人である。といふより、「三体」の作者といつた方が分かり易いのかもしれない。私はこれを知らないのだが、日本では(?)これでこの人を知つてゐる人が多いと聞く。関連の作品は最後の表題作「円」で...

・劉慈欣「円 劉慈欣短篇集」(ハヤカワ文庫SF)を読んだ。ケン・リュウのアンソロジーに出てゐた人である。といふより、「三体」の作者といつた方が分かり易いのかもしれない。私はこれを知らないのだが、日本では(?)これでこの人を知つてゐる人が多いと聞く。関連の作品は最後の表題作「円」である。これも含め て、本書には計13編の短編が載る。発表順に並んでゐるらし く、最初の「鯨歌」は1999 年、最後の「円」が2014 年、ほとんど21世紀の作品集、いづれもまだ新しいと言へ る。SFに見られる様々なテー マが採り上げられてゐる。おもしろい。中国のSFがいかなるものかを教へてくれると同時に、中国ではどの程度まで許されるのかと考へながら読んでもみる。つまり、この程度ならば 中国の表現の自由には触れないものであるらしい。 ・「訳者あとがき」にある訳者大森望の劉へのインタビュー、 本作品集の「中で、とくに印象 深い作品はありますか?」 (538頁)で始まる。答は 「『郷村教師』と『詩雲』ですね。」(同前)、なるほどである。個人的に面白いと思つたは 作品いくつかあるのだが、その2つはこれであつた。ともに中国的な、といふか中国を素材にしてゐる作品である。「郷村」 について、大森は「リアルな描写と奇想天外な発想を合体させること」と言ひ、劉はそれを「意識して」やつてゐると答へてゐる。中国の田舎教師の死の間際の状況を描く。このままではSFにならないではないかと思つてゐると、別の物語が「地球から五万光年あまり離れた天 の川銀河の中心部では」(118頁)と始まる。更に読んでいくと、生命探査をするビームが田舎教師の小学校に当たつた(146頁)のである。 ここでリアルと奇想天外が結び つく。予め計算された物語はやはりSFだつたのである。同様の作品に「地火」がある。炭鉱の物語である。劉は炭鉱町で育つた。作品にはリアルに20世 紀半ば以降の状況の反映があるはずである。母は小学校教師であつたといふから、「郷村教師」にもその生ひ立ちが関係してゐるのであらう。ただ、「地火」は奇想天外にはならない、 たぶん。私にはわからないが、ありえない状況といふよりは、 ありうる状況といふ方が当たつてゐるやうに思ふ。ともに、初期の様々な作品を書いた時期のものなのであらう。「詩雲」は李白が出てくる。ただし本物、 といふか、その昔の李白ではな い。作品の時代設定はわからないが、人類は空洞地球に住んでゐるらしい。「もっと正確に言うと、人類は風船の中に住んでいる。」(253頁)のである。主人公は詩人である。ただし「恐竜たちによって拉致さ れ、家畜として飼育されている十二億の人類」(255頁)の 1人であつたし、実際には「白鳥座に向かって航行していると ころだった。」(同前)そこに「神」が現れる。さうして「李白」を創るのである。言ふならば主人公のクローンである。主人公も「李白」も漢詩を作る。 既存の有名作ではない漢詩ゆゑ、本物の李白を超える詩はできない。この場合、この人類、主人公の置かれた状況が奇想天外であらう。人間が恐竜の家畜なのである。「李白」以後、神は漢詩にこだはる。かういふ SFに漢詩が出てくるだけでなく作られてもゐる。これは決し てリアルではない。状況からすればリアルとは程遠い。しか し、最後はリアルに近づいていく。これは先のリアルの一変形であらうか。個人的にはかういふのをおもしろいと思ふがゆゑに、「円」のやうな「三体」に 近い作品よりは良いと思ふ。どちらも劉慈欣なのであらう。読者の好みで作者の資質は、たぶ ん、決まる。いづれにせよ、「郷村」と「詩雲」はおもしろい。

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2023/06/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中国の方である劉慈欣が描くSF短編集。『三体』も文庫化されたらすぐ書いたいと思う。「鯨歌」「詩雲」「円」が特に面白かった。 「鯨歌」鯨にチップを埋め込むことにより外部からの制御ができるようになった世界。その技術を利用して薬物の密輸をするマフィアとその技術者。密輸自体は成功したものの密猟者たちによって鯨が狩られて2人とも死んでしまうというもの。新旧の価値観の皮肉が描かれていた。 「地火」石炭労働をメインとした話。技術革新により炭鉱夫の仕事が楽になるはずであったが、技術を過信しすぎたために自然にやられてしまう。父親と局長の言葉が刺さった。 「郷村教師」中国の農村地で一生を終えようとしている老教師。周りから変な目で見られても彼は農村地の少年少女たちに学問を教えることをやめなかった。一方で、天の川銀河の中心地では超高度に栄えた文明があった。彼らは宇宙間戦争で疲弊しており、新たな火種が生まれないように宇宙を整理しているところであった。 老教師の最後の教えが、地球を救うことになるというのが、教育の大切さを説いており、また、超高度文明の人たちが純粋さ、素朴さに気付いたのも作者が伝えたかったことなのかな。 「繊維」量子力学に基づく平行世界がたくさんあり、その世界が一堂に介してしまう話。いろんな地球の色があったり、同じだが違う人がいたりと面白かった。 「メッセンジャー」アインシュタインの過去を元にした話。彼が未来の人と交信した、という話を元にしているのだろう。 「カオスの蝶」バタフライ効果を解明し、一種の気象兵器として用いる話 「詩雲」高度に発展したテクノロジー文明に飲み込まれた地球文明。その高度に発展したテクノロジーよりも発展したテクノロジーを持つ神との邂逅。精神的な文化はテクノロジーによって越えることはできない、と伝えてている。将棋などのAIの進化も一手の評価は教えてくれるが、全体としての評価や価値は教えてくれない、というのと似ている。 「栄光と夢」オリンピックが戦争の代わりになった世界。競技での勝利が戦争の行方を左右するというもの。1人のアスリートにより国が一つにまとまるも、競技での勝利が戦争での勝利という勝者の理論には響かず、泥沼化していってしまう。 「円円のシャボン玉」シャボン玉が好きで美しいと感じる円円が科学者となってシャボン玉によって街を救う話。他に比べて暖かい話だった。 「2018年4月1日」改延という遺伝子的な延命ができるようになった時代にその手術を受けるという決断をした主人公の話。IT共和国なるものが建国され、実社会に宣戦布告をした。が、これはエイプリルフールのネタであった。この話のどこまでが虚実なのかがわからないのが、この話の面白さなのだろう。 「月の光」未来の自分から科学のアドバイスをもらうもそれを実行に移そうとすると、さらなる悲劇的な未来になってしまう話。最初に呈示されたせんたくしがやはりベストだったのかもしれない。それを知るためには、他の時間線を旅するしかない。どんな決断にも後悔があるというこれが真理であろう。 「人生」前世の母親の記憶を持った胎児と母親と研究者が会話をする話。『ドグラ・マグラ』の胎児の歌のような話に感じた。 「円」円周率には不老不死が宿っているとされるため、秦の始皇帝により、円周率を求めよ命令される。人間を使って0と1の二進法によって円周率を求めようとする。それは、コンピュータの先駆けであったが、人間コンピュータにも裏があったという話。

Posted byブクログ

2023/06/13

短編集。三体に通じるリアルな貧富の描写、変なアイディア、諸行無常感がぎっしり。 詩雲と円円のシャボン玉が好みだった。 ただし文章が乾きすぎているというか、もうちょっとウィットと色気があると良いのだけど・・・。

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2023/05/03

この劉慈欣だったり、ケン・リュウだったりで中国系の作品に触れる機会が増えたけど、多国籍の作品を読むことの面白さに気づかされる。 この本は『三体』で大ブレイクした中国のSF作家・劉慈欣の短編集。読んでいると今まで触れてきた日米のSF作家とはまた違った視点や描写が新鮮で楽しい。 ...

この劉慈欣だったり、ケン・リュウだったりで中国系の作品に触れる機会が増えたけど、多国籍の作品を読むことの面白さに気づかされる。 この本は『三体』で大ブレイクした中国のSF作家・劉慈欣の短編集。読んでいると今まで触れてきた日米のSF作家とはまた違った視点や描写が新鮮で楽しい。 以前別のSFアンソロジーで読んでいたけど表題作の「円」の圧巻のスケールには改めて震える。 秦の始皇帝の時代に円周率を求めるため一人の天才によって編み出された人間計算機の末路を描いた短編。 数万の兵士たちによる人間計算機の描写は、とにかく圧巻の想像力と描写力! これからも語り継がれる名作短編SFになるのではないか、と思います。 中国の貧民層や労働者といった現実を、SFの想像力と結びつけた作品も、慣れ親しんだ日米作品と違う雰囲気で面白い。炭鉱労働と壮大なスケールの技術革新を描いた『自火』はどこかプロジェクトXのような生々しさと、自然の迫力が印象的。 貧しい山村の教師と宇宙ものを絡めた「郷村教師」は、過酷な現実と科学やSFとの結びつけや対比がどこか哀愁を誘います。 夜ごとヴァイオリンを奏でる老人とそれに耳を傾ける若者の交流を描いた「メッセンジャー」や、未来の自分からかかってきた電話が、歴史を変えていく「月の光」など、いわゆるベタなアイディアもそつなく描かれていて、劉慈欣の引き出しの広さを感じます。 さらに恐竜が人間を支配する世界観に、神様や詩人の李白まで登場する「呑食者」は今まで読んだSFの中でも、飛び抜けてぶっ飛んでいたかもしれない(笑) そうした世界観で人間の文化である文学や芸術の神髄や可能性といったものが、壮大に描かれます。読み始めたときは、「なんだこれ?」という感じだったのですが、読み終える頃には、人間の創作や芸術、文学の力の偉大さを思い、少し敬虔な感情まで抱いてしまっていました。 今も日々戦争や内戦、紛争のニュースが伝わってくる中で読む「栄光と夢」は、なんとも言えない苦さも感じました。 大国と小国が武器をまじわす戦争ではなく、スポーツを通して戦勝や敗戦、また講和条件を決めようとする作品。 参加する選手たちの選手としてのプライドや喜び、国民としての誇りを描く一方で、絶望的な国ごとの格差や、運命を左右される個人の悲哀も描かれていたと思います。 全体的に見ると重厚だったり、重ための話が多い作品集だったと思うけど、それゆえに「円円のシャボン玉」のような夢と希望にあふれたSFは癒やしでした。 個人的に今の中国の状況を見ていると、色々思うところはあるけれど、こういう作品が書かれて、発表された時代が中国にあることが、一種の希望だと思いたい。 各作品アイディアの面白さもあるけれど、描写だったり、作品のテーマだったりも読み応えのある作品が多かったです。『三体』の著者らしさを感じるところもあり、また『三体』だけでない多彩な作品群に、劉慈欣の底の深さを感じました。

Posted byブクログ

2023/04/26

短編集。「カオスの蝶」圧倒的な無力感。人の力はちっぽけだ。「月の光」何も出来ない。何も変わらない。「人生」始まる前に絶望して終えてしまった人生。

Posted byブクログ