彫刻の歴史 の商品レビュー
でかいけど(ほぼ鈍器だけど)図版と交互に短い章が連なる形式なので意外とさくっと読めた。 全体を通し、彫刻が絵画と異なり質量があるために生み出す身体性のようなもの(固有受容感覚)を説いていて、なるほどなと。特に感銘を受けたのは、ドナルド・ジャッドの圧延アルミニウム板による無題の作品...
でかいけど(ほぼ鈍器だけど)図版と交互に短い章が連なる形式なので意外とさくっと読めた。 全体を通し、彫刻が絵画と異なり質量があるために生み出す身体性のようなもの(固有受容感覚)を説いていて、なるほどなと。特に感銘を受けたのは、ドナルド・ジャッドの圧延アルミニウム板による無題の作品100点を展示することで展示空間であった倉庫の新しい顔に気がついたという部分で、建築がある・あるいは建築によって切り取ることで周辺環境の新しい顔に気がつくという体験が大好きだったので、質量のある彫刻にできることの大きさを感じた。 それから、「身体こそが家より前に、人が最初に住むところ」というのも、心の声(※概ねネガティブ)大きめの私は理解するところだったし、青銅彫刻や仏像の身体のなかにある暗闇を感じながら今後鑑賞したいと思った。 ミケランジェロに関する色々な記述が面白いなと思っていて、私はアカデミア美術館であの削られたスペースはダヴィデのためにあるのだなぁと当時のブログで記録していたのですが、元々ダヴィデはドゥオモに立つはずだったのですね。(ラオコーンとミケランジェロの出会いもグッときました) フィレンツェ(前回予約を失念してサンタ・マリア・デル・フィオーレのドームに入れなかった)はもちろん、ロンドンのサー・ジョン・ソーン博物館は確かに面白かったのでまた訪れたいなと思い出したし、日本の禅庭に影響を受けたと今回初めて知って通りで惹かれるわけだと思った各地のセラにもまた会いに行きたい。
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邦題を見ると、まるで彫刻の通史であるかのようですが、騙されてはいけません。でも慌てて付け足すと、とてもエキサイティングで面白い(まだ拾い読み段階ですが)。 原題は『Shaping the World --sculpture from prehistory to now』。彫...
邦題を見ると、まるで彫刻の通史であるかのようですが、騙されてはいけません。でも慌てて付け足すと、とてもエキサイティングで面白い(まだ拾い読み段階ですが)。 原題は『Shaping the World --sculpture from prehistory to now』。彫刻家のアントニー・ゴームリーと作家・美術批評家・美術史家のマーティン・ゲイフォードが先史から現代までの彫刻(遺跡や庭園、建築、インスタレーション含む)を縦横無尽に語り合います。章立ては以下の通り。 | 身体と空間 2 壁を跳ね返せ 3 墳丘・平原・立石 4 樹木と生命 5 光と闇 6 粘土と塑造 7〈虚〉の空間 8 人体と石塊 9 青銅の時代 10 建造物のなかの人体 11 巨像と奴隷 12 時間と死の定め 13 襞の下の身体 14 行為と出来事 15 恐怖とフェティシズム 16 収集と選択 17 工業と重金属 18 変わりゆく世界をかたちにする おのおのの章に取り上げられる作品(図版美しい)、同じ章に並ぶ意外な作品の取り合わせ。発見に満ちていて、眺めるだけでも十分楽しいです。
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