オーギー・レンのクリスマス・ストーリー の商品レビュー
冬になると手に取りたくなる一冊。 ストーリーもイラストも味わい深い。なにが正しいことでなにが悪いことかなんて本当は誰にも分からない。 「誰か一人でも信じる人間がいるかぎり、本当でない物語などありはしないのだ。」
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オーギーが盲目のおばあさんとクリスマスを過ごす物語。 クリスマスに関するお話は素敵な体験や綺麗にまとめられたものが多いが、この本はオーギーのとった行動が良いことなのか悪いことなのかどっちつがずなお話である。そもそも、彼の話が本当かどうかも分からないが、本の中の一文を引用すると、 ...
オーギーが盲目のおばあさんとクリスマスを過ごす物語。 クリスマスに関するお話は素敵な体験や綺麗にまとめられたものが多いが、この本はオーギーのとった行動が良いことなのか悪いことなのかどっちつがずなお話である。そもそも、彼の話が本当かどうかも分からないが、本の中の一文を引用すると、 「誰か一人でも信じる人間がいるかぎり、本当でない物語などありはしない-」のです!
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この話しを元に描かれた映画「スモーク」が大好きで思わず手に取った。素敵なクリスマスストーリーに心が動く。ぜひ映画も観てもらいたい。上質の短編集を読んだあとのような心地よさがあるから。
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とても不思議なお話だったなあ おばあさんに最後に良い思い出を作ってあげれて良かったかもしれないし、それは実際起こらなかったことかもしれないし。不思議な感じ。 誰か1人でも信じる人がいる限り、本当でない物語などありはしないのだ。 相手が演じていることを理解して自分を演じる。事...
とても不思議なお話だったなあ おばあさんに最後に良い思い出を作ってあげれて良かったかもしれないし、それは実際起こらなかったことかもしれないし。不思議な感じ。 誰か1人でも信じる人がいる限り、本当でない物語などありはしないのだ。 相手が演じていることを理解して自分を演じる。事実を話してない、嘘かもしれないと思っても、話し手のそれなりの意図があってそれを汲み取って返答する。そこから現れる不確実性が面白かった。
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絵本みたいだった。 独特な絵。 図書館で借りたが、1700円もは高いと思う。 そんなに.....そこまで....。 書評した主人公、それを見たオーギー・レン。 芸術、仲間意識。 クリスマスストーリーの短篇を書くのに、困っていた主人公、オーギー・レンの話。万引きされたこと、毎日同じところの写真を撮る。 彼は時間を撮っているのだ。 そこに映る人々の一生を想像してみる。 毎日同じところ、同じ時間でも、全く同じにはならない、面白そうではある。 ↑これで思い出したのは、アメリっていう映画。
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善と悪、嘘と現実の混じった世界は、単純明快な子供の世界とは違う大人の世界を想像させます。それでもクリスマスという日がそんな世界を温かく包んでくれる話でした。ストーリーの所々に入る挿絵が雰囲気に合っていて、とても素敵な作品だと思います。
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映画「スモーク」の原作になった短編。 映画はとてもよかったと記憶していけど、原作がこんなに短かったとは。 出自が気になって調べたら、もともとはポール・オースターがクリスマスの日に発行される新聞のために描き下ろした短編で(本編にも書かれてる)、本としてはいろいろな版が出版されているみたい。国内版がこれというわけですね。 「誰か一人でも信じる人間がいるかぎり、本当でない物語などありはしないのだ。」 というわけで、最後煙に巻かれたような終わり方だけど、盲目の老婆とのふれあいの話、主人公(オースターと思っていい)とオーギーの友情とカメラの話、主人公がクリスマス・ストーリーを書く話と、この短い中でいい話が重層的になっている。 こんなところにもオースターのすごさを感じます。 タダジュンさんのイラスト(版画?)もモノクロで味があって個性的な世界観がとてもいいです。
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とてもすてきな本。 この映画で流れていた曲がこの間ラジオで流れてきて、あの歌だと分かってうれしかった。 タダさんの個展に行って原画をみてとてもよかった。 いただいた本。
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挿絵と相まって、不思議な雰囲気でまとまったショートストーリー。 世の中何が本当で、何が嘘か分からないもの。その切取りの一部が物語になるんだな。
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「『クリスマス・ストーリー』という言葉そのものが不快な連想を伴っている。お涙頂戴の、甘ったるい、嘘でかためた代物があふれ出てくる感じ」 作中でポールオースターが?そう嘯く。因みに私は甘ったるいクリスマスストーリーが大好きだ。 「私」(ポールオースター?)が出版社にクリスマススト...
「『クリスマス・ストーリー』という言葉そのものが不快な連想を伴っている。お涙頂戴の、甘ったるい、嘘でかためた代物があふれ出てくる感じ」 作中でポールオースターが?そう嘯く。因みに私は甘ったるいクリスマスストーリーが大好きだ。 「私」(ポールオースター?)が出版社にクリスマスストーリーを頼まれて前述のようにぼやきながら、そんな話書けないよと葉巻屋の主人オーギー・レンに話すと、オーギーが自分の体験を話し出した、という体になってなる。 店のものをポケットに詰めて逃げ出した万引き少年を追いかけたオーギーは犯人が財布を落としたところで追いかけるのをやめた。その財布には名前やダウンタウンの住所の書いてある運転免許証や家族写真が入っていた。貧しい少年が気の毒になって、オーギーは財布を店の引出しの中に入れたまま何もしないでいた。 クリスマスの日に、オーギーは何もすることがないので少年の住所を訪ねてみた。するとそこには目の悪い年寄りの女がいて、少年の名前を告げると女はオーギーのことを少年と勘違いして…。 これはクリスマスの日の話なので、クリスマスストーリーではあるが、冒頭に書いた言葉のように甘ったるい話にはなっていない。 オーギーは老婆の家で少年を演じたうえで誰も使っていないカメラを持ち出してしまう。翌年の春に、後ろめたくなって返しに行くと既にその家には別の人が住んでいた。おそらく老婆は亡くなったのだろう。 イノセントな話ではない。人はそれぞれ違うことを求め、違うことを考え、違う人生を生きている。少年、オーギー、老婆それぞれがその時望んだものが違うのだがそれでも3人のある日の人生が交差する。でもその関わりに2度目はない。甘ったるい奇跡も起こらない。特に優しい気持ちにもならない。老婆が本当にオーギーを少年と勘違いしていたのか、フリをしていたのかわからない。誰かが幸福を感じていたら救いなのだがそれもわからない。語り手がオーギーである以上、彼の気持ちしかわからない。そこに嘘はない。ポール・オースター、実は苦手な作家である。
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