月夜の羊 の商品レビュー
「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ9作目ですね。 お店物語、人情話、恋愛、成長物語そして日常の謎の本格探偵推理小説と読みごたえのある作品でした。 朝の散歩で「たすけて」と書いてあるふきだしメモを拾った草はいつも通り気になる手応えを感じる。おりしも女子中学生の失踪事件が紅雲町で話題にな...
「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズ9作目ですね。 お店物語、人情話、恋愛、成長物語そして日常の謎の本格探偵推理小説と読みごたえのある作品でした。 朝の散歩で「たすけて」と書いてあるふきだしメモを拾った草はいつも通り気になる手応えを感じる。おりしも女子中学生の失踪事件が紅雲町で話題になる。巻き込まれた事件を見逃しに出来ないのが草の悪い癖、物語は動き始める。 吉永さんのファンに成ってから随分になると思ったら9作目になるのですね。デビューから読み続けていますが、ますます筆が冴えますね。 複雑な人間模様と人間心理を良く書きこなされていると思いました。最後は心温まる展開に「お草さん」の今後の活躍を期待してやみません。
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紅雲町は日本社会の縮図のような町だ。今回の謎の中心にいる親子のありよう、中学校の生徒たち、校長...。自身の過去との葛藤を抱きながら現代社会に向かって物申すお草さん。これまでと同様スッキリとは終わらずもやもやとしたところが残るが、そこは読者に投げられたボールとして考えていくべきと...
紅雲町は日本社会の縮図のような町だ。今回の謎の中心にいる親子のありよう、中学校の生徒たち、校長...。自身の過去との葛藤を抱きながら現代社会に向かって物申すお草さん。これまでと同様スッキリとは終わらずもやもやとしたところが残るが、そこは読者に投げられたボールとして考えていくべきところなのだろう。百瀬家の人々それぞれの幸せを祈る。聖ちゃんはいいキャラだな。続けて登場して欲しい。中学校~写真~コーヒーがつながっていく展開が良かった。校長に対抗した町の人々あっぱれ。久実ちゃんは以前から感じていたけど発想や行動に子どもっぽさを感じる。もう少し肩の力を抜いたらどうだろう。一ノ瀬への気遣いがかえって逆効果になってる。 この著者はこれほどはっきり社会への見方を綴る人であったのだな。この部分は溜飲が下がった。シリーズを追ってきてよかったと思った。 さてこの作品でもう一つ気に入っているバクサン(ポンヌフアン)、今回は登場がなかったので次回に期待。
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日々の日課に散歩に出かけたら、「たすけて」とのメモを拾った。 事件発生か?と、思って読み出した。 中学生の書し生徒の行方不明・・・・ 家出と判明で、良かったと、思ったけど、では、このメモは・・・ 5章迄ある。 教育の右傾化、遠距離の介護、不正会社、引きこもり・・・ 巨悪な犯罪的...
日々の日課に散歩に出かけたら、「たすけて」とのメモを拾った。 事件発生か?と、思って読み出した。 中学生の書し生徒の行方不明・・・・ 家出と判明で、良かったと、思ったけど、では、このメモは・・・ 5章迄ある。 教育の右傾化、遠距離の介護、不正会社、引きこもり・・・ 巨悪な犯罪的な事は、何一つないのだが、日常的に、起こりうる問題が、一杯ある。 この吉永南央氏の「紅雲町珈琲屋こよみ」シリーズを始めて読んだけど、読むのに、時間がかかってしまった。 最初から読んで無かったからかもしれないけど、・・・ 少し、読みづらかった。
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シャンと背筋の伸びたお草さんに会うのもこれで9作目らしいです。 今回も当事者に寄り添いながらも甘いだけじゃなく、時には厳しい姿も見せてくれます。 私もいろいろあって竦んでしまった。 まだちょっと怖いけれど、前を向き、自分の速度で一歩ずつ前に進もうと思う。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
気がつけば、もうシリーズも9作目。思ってたより長い付き合いになったが、いつもと変わらずお草さんは、自分の年齢(老い)を弱点とせず、過大な先輩面をすることもなく、日々にじっくりと正面向いて取り組んでいくことで生きている。 本作では、引きこもり中年や遠距離介護、右傾化した教育現場などの社会問題を取り上げつつも、小蔵屋スタッフ久美さんと彼氏の同棲なんかも取り上げて相変わらず忙しい。 事件はここ数作の波乱状態よりは小さめに治まっている感があるけど、小説の面白さが落ちているわけではない。むしろ日常ミステリーものとしてはより身近な雰囲気で他人事とも思われず、それが緊張感にもつながっていて良い。 にしても…小蔵屋にもコロナ禍、物価高、ロシアの戦争の影が迫っているんだろうなぁ。次作当たりではその辺も反映されるんだろうか…。特にコロナは由紀乃さんが少々心配
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とても楽しみにしていたのですが、、あっちこっち話が飛ぶので何回も前に戻って確認作業しました。 最後は無事落ち着くのですが、ちょっと残念。
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良かった。お草さんの生き方の導きには、いつも孤独を受け入れる寛容さが在りながらも、弱さや老いを素直に見せてくれる姿がある。力任せに強がるで無いしなやかさに私は励まされる。 シリーズで愛読しているので、もうご近所の感覚。毎回刊行はお草さんに会いに行っている感覚。 介護、引き篭もり、...
良かった。お草さんの生き方の導きには、いつも孤独を受け入れる寛容さが在りながらも、弱さや老いを素直に見せてくれる姿がある。力任せに強がるで無いしなやかさに私は励まされる。 シリーズで愛読しているので、もうご近所の感覚。毎回刊行はお草さんに会いに行っている感覚。 介護、引き篭もり、不正会社、教育の右翼化などてんこ盛りで、今回はそれ故か兎に角、文章が密だった。わずか半ページで中身が濃く表現されていた。一文一文が情景も温度も内容も心情も深く密で、濃い濃いコーヒーの様だ。疎かな箇所も一切無いので、サラッと読むには出来ず、深い読書時間になった。 14歳がコーヒーの目覚めのくだりや、量販店の下着が定価格安を由紀乃さんがいうくだり、誰しも孤独でなり得た今を表現するくだり等、ハッとさせられる箇所が今回は多かった。 問題事や悩み事に対する怒りと理解と客観視のバランスが今回は絶妙、シリーズの中でも円熟感があった様に感じた。
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+++ コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、秋のある日、道端で「たすけて」と書かれたメモを拾う。 折しも紅雲町では女子中学生が行方不明中。メモと関連づけ、誘拐・監禁を視野に警察も動き出すが、直後に少女は家出とわかる。そして、無関係なメモの件は放置される。 腑に落ちない...
+++ コーヒー豆と和食器の店「小蔵屋」を営む杉浦草は、秋のある日、道端で「たすけて」と書かれたメモを拾う。 折しも紅雲町では女子中学生が行方不明中。メモと関連づけ、誘拐・監禁を視野に警察も動き出すが、直後に少女は家出とわかる。そして、無関係なメモの件は放置される。 腑に落ちないお草は周辺をあたり、独居の老女が自宅で倒れているのを発見、救助する。ところが数日後、留守のはずの老女宅に人の気配を感じて――。 親の介護や「8050問題」に悩む人びとに、お草さんの甘いだけではなく厳しさも伴う言動は響くのか。 人気シリーズ第9弾! +++ 今回も、あれやこれや深刻な問題が舞い込んできたり、行き当たってしまったりする。要らないおせっかいかと思いはするが、どうにも気になって首を突っ込み、あれこれ世話を焼き、気をもむことになる。登場人物がみな、丸ごと善人というわけでなく、悪い心がちらりと覗いたりするのも、人間臭くて好感が持てる。お草さんにしてからが、もちろん基本的に善人ではあるが、打算的であったりもするので、そこがまた魅力的である。カップルの問題、家族の問題、学校の問題、引きこもりの問題、介護の問題、などなど、誰にとっても無関係ではいられない問題のあれこれが、描かれていて、考えさせられる一冊でもある。
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お草さんのまわりでは、日々色んなことがおきて、(息子さんの死や年をとることをはじめ)受け入れることは受け入れようとしていく、(トラブルなど)よくしようとする。解決しようとして、解決できたこと。分かり合えないまますれ違ったこと。解決できても全てがハッピーエンドじゃないし、人生の苦味...
お草さんのまわりでは、日々色んなことがおきて、(息子さんの死や年をとることをはじめ)受け入れることは受け入れようとしていく、(トラブルなど)よくしようとする。解決しようとして、解決できたこと。分かり合えないまますれ違ったこと。解決できても全てがハッピーエンドじゃないし、人生の苦味みたいなんがいつもある。
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紅雲町珈琲屋シリーズ、第9弾。 和食器とコーヒー豆の店、小蔵屋(こくらや)が舞台。 今回も、お草さんの器選びやしつらい、盛り付けのセンスが光る。 「秋のスペシャルブレンド」はまろやか過ぎて売り上げが伸び悩んだけれど。 凶悪事件は起こらなくても、生きているだけで問題が山積で、なぜ...
紅雲町珈琲屋シリーズ、第9弾。 和食器とコーヒー豆の店、小蔵屋(こくらや)が舞台。 今回も、お草さんの器選びやしつらい、盛り付けのセンスが光る。 「秋のスペシャルブレンド」はまろやか過ぎて売り上げが伸び悩んだけれど。 凶悪事件は起こらなくても、生きているだけで問題が山積で、なぜかお草さんの元には次々と厄介ごとが飛び込んでくる。 (そして自ら深入りする。深煎りか?珈琲屋だけに 笑) 毎回、話題の出来事をうまく入れてくるが、今回は数が多い。 それだけ、この国の日常が危ない。 お草さんは、何度も戦争中のことを思い出していた。 ちょっと問題を整理しないといけない。 ・紅雲町の校長が次々と過剰な校則を押し付け、生徒を統制しようとしている。 教育を「大日本帝国」の時代に戻そうとする団体に所属している。 ・引きこもりの40代男性と年老いた母の、声に出せない悲鳴。 たった一組の夫婦の肩にのしかかる二つの家の負担。 ・大手会社の暗部。尻尾切りで辞めなくてはならなかった社員。 ・いつまでも子離れできない、久実の母親も。 ・「そんなに安くて、作っている人はちゃんとお給金をもらえるのかしら」という由紀乃の何気ない一言。 素敵だったのは『苦さを知る十四歳』 コーヒーの美味しさを知る頃、人生の苦さも知っていくのだった。 若い人が心配でも、信じて手放すこと。 間違った扱いに対しては声を上げること。 なかなかに勇気のいることだけれど。
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