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とりあえず、ヤりましょう の商品レビュー

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2021/10/16
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※このレビューにはネタバレを含みます

タイトルがど直球にも程がある感じなのに「ピュアストーリー」とは?となったのが、実際に読んでみると本当にピュアストーリーで大変驚いた。 騎士さまが年上なのに年下のような純情っぷり。 何処か銀氷の騎士様なのか。 お互いが騎士としてではなく、娼婦としてではなく、一人の男性として、一人の女性として恋しているのも素敵。 そりゃピュアである。 例えお互い「ヤりましょう」とか言っていても、ピュアである。 ピュアであり、また誠実な話だったなと。 騎士と娼婦の恋愛話なので、気持ちが通じ合って即ハッピーエンドという訳にはいかない。 現実問題として、乗り越えなくてはいけない壁やハードルは多いし高い。 身分差もあるし、職業のせいでどうしても彼女は白い目を向けられる対象になってしまう。 普通なら国にとっても彼にとっても敵であった相手を倒して平和を取り戻し、気持ちが結ばれて終わり、めでたしめでたしにできた話を、作者さまは敢えてその後も書ききった。 騎士と娼婦がちゃんと皆に認められて結ばれる、その足元固めや過程までを丁寧に書ききった。 そこがすごく誠実だと思った。 物語に対して、キャラに対して。 ファンタジーでフィクションだからといい加減に終わらせない。 それを書ききった筆力も凄いと思う。 ゆえに、ラスボスになるであろう相手の退場劇が割と早いので最初は非常に驚いた。 更なる危機が訪れるのかと思いきや、残り1/3ほどはその足元固めの話になる。 貴族の教育、周囲への説得、そして彼の隣で生きていくための居場所作り。 そのために用意されたのが、彼女のもう失われた故郷に伝わっていた歌だ。 まさか物語後半でこの歌の力が色々な意味で効果的になってくるとは思いもしなかった。 丁寧に練られて、丁寧に描かれた物語だと思う。 丁寧なのは、ムーンライトノベルズ出の作品なので、情事の方も。 娼婦なので、他の相手と寝る場合もあったが、そちらはあった事実だけ書いて、主役二人の絡みは丁寧でねっとりである。 実はまともな情事は少ないのだが(大体はどちらかがのっぴきならない状況に陥っているのを解消するためのものゆえに)割と描写が長めでがっつりである。 そこまで書かなくても……と思わなくもなかったが、話の構成も情事も丁寧な読み応え抜群の物語だったと思う。 丁寧言いすぎ……この物語を讃える自分の語彙力のなさがにくい。

Posted byブクログ