プロクター博士のおならパウダー の商品レビュー
著者は、なんと、あのジョー・ネスボである。 ハリー・ホーレ・シリーズで我々に悲鳴をあげさせ、『その雪と血を』『真夜中の太陽』で我々の涙を絞った、あのジョー・ネスボが、今度は、世界中の子供にワクワクを提供する。 『プロクター博士のおならパウダー』で! ノルウェーの首都オスロ、キャ...
著者は、なんと、あのジョー・ネスボである。 ハリー・ホーレ・シリーズで我々に悲鳴をあげさせ、『その雪と血を』『真夜中の太陽』で我々の涙を絞った、あのジョー・ネスボが、今度は、世界中の子供にワクワクを提供する。 『プロクター博士のおならパウダー』で! ノルウェーの首都オスロ、キャノン通りの黄色い家に、10歳のニリーは引っ越してきた。 明るい赤毛の小さな男の子だ。 早速できた友達は、むかいの赤い家に住むまじめで利口なサラと、隣の青い家に住むイカレ科学者、プロクター博士である。 このプロクター博士の発明品が、飲めばたちどころにおならが出るという、「おならパウダー」なのだ! 『子どもはみんなおならが好きです』(47頁) ニリーは言い切る。だが、この物語に出てくるのは、おならだけではない。 おなら、下水、便器、お城、地下牢、謎の巨大生物――子供の好きなものをぜんぶいれた冒険物語である。 さらに、好みはしないがつきものの存在もちゃんといる。 ニリーたちをいじめる悪童――しかも双子だ。 くわえてその父親が、彼らに輪をかけた悪党で、界隈の有力者ときている。 すばらしい。 さらにすばらしいのは、説教くさいところがまったくないところだ。 強いてあげればこれくらいか。 『作者としては、においに気づいたニリーがせざるをえなかったことを、同じように読者にもおすすめする。つまり、考えないのがいちばん。』(220頁) ノルウェーでの発表は2007年である。 ジョー・ネスボが娘相手に作った話らしいが、なによりお父さん自身が楽しんで作ったのだろうなと、読んでいるこちらに伝わってくるのだ。 「研究室は、とってもくさいと思う」 「くさくないよ。なぜって、このおならはくさくないんだ」 娘と父が笑いながらやりとりしている様も目に浮かんでくる。 こうした児童向け小説のよいところは、ハッピーエンドだということだ。 どんなことが起こっても、どんな目に遭っても、必ず、幸せな結末を迎える。 子供だけでなく、大人にも、充分楽しい物語だ。 大人も子供も是非読んで、けらけら笑い声をあげる楽しい時間を過ごしてほしい。 ノルウェーでは、好評につき巻を重ね、シリーズは5巻まで出ているそうだ。 次巻ではパリでのロマンスが冒険のきっかけになるらしい。 ぜひとも次々と翻訳出版してほしい。
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