夜と少女 の商品レビュー
登場人物の恋愛関係が複雑に織り込まれているので相関図を描きながら読み進めないと迷路に入り込む。二人のアレクシス、哲学教師の男性クレマンと文学教師の女性ドゥヴィルをはじめ予想外の人物たちが、失踪したヴィンカに関わり、事件を隠蔽する為の緻密な擬装工作に加担する。 物語の展開に偶発的な...
登場人物の恋愛関係が複雑に織り込まれているので相関図を描きながら読み進めないと迷路に入り込む。二人のアレクシス、哲学教師の男性クレマンと文学教師の女性ドゥヴィルをはじめ予想外の人物たちが、失踪したヴィンカに関わり、事件を隠蔽する為の緻密な擬装工作に加担する。 物語の展開に偶発的な要素が多くスリラーとしては不満が残るが、折々に語られる恋愛や人生についての省察は胸に沁みる。 「ひとりの女性に関わりはじめた時点で、もうあなたはあるがままの彼女を見ることができず、あなたの望むとおりの女性を見ることになる」 the moment you begin to be interested in a woman, you no longer see her as she really is, but as you want her to be. わたしたちの生命は脆く、尊いと同時に、取るに足りないものでしかなく、あるときは孤独の凍りつくような水に、あるときは若返りの泉の温かな水に浸ることもある。いずれにせよ、わたしたちは人生を自在に操ることなどできたためしがない。それは、ほんの些細なことで反転してしまう。一言の囁き、ちょっとした目の輝き、余韻を残す微笑が、わたしたちを高みへと持ち上げ、あるいは虚無のなかに突き落とす。人生は不確実なものであるが、それでも、わたしたちは心の機微によって、知る術のない神の目論見のなかに自分たちの場所を見いだせると期待し、その混沌を操れるかのごとくふるまうほかないのである。 Our lives are sometimes inscrutable, often disrupted by conflicting desires. Our lives are fragile, at once precious and insignificant, sometimes bathed in icy waters of loneliness, sometimes in the warm stream of a fountain of youth. Our lives, for the most part, are beyond our control. The slightest thing can turn them upside down. A whispered word, the twinkling of an eye, or a lingering smile can raise us up or cast us into oblivion. And yet, in spite of this uncertainty, we have no choice but to pretend we can control the chaos in the hope that the inclinations of our hearts will find a place in the secret plans of Providence.
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相変わらずコート・ダジュールの景色やフランスらしいリセの授業とか、描写がとっても魅力的。でもストーリーには、もう少し変化やスピードが欲しかったかなぁ。過去作と比べると、やや単調に感じました。
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半分くらいまでは,フランスの政治や歴史など、主人公を取り巻く状況の説明が延々とづき退屈でした。しかし,中盤を過ぎたあたりから急に意外な事実のオンパレードで、章が変わるたびに全く予想していなかった事実が飛び出てきて驚かされっぱなしでした。 自転車が中盤から新幹線になるくらいのスピー...
半分くらいまでは,フランスの政治や歴史など、主人公を取り巻く状況の説明が延々とづき退屈でした。しかし,中盤を過ぎたあたりから急に意外な事実のオンパレードで、章が変わるたびに全く予想していなかった事実が飛び出てきて驚かされっぱなしでした。 自転車が中盤から新幹線になるくらいのスピード感の変化があり,後半は一気に読み終わりました。 ラストもハッピーエンド?!風でとても良かったです。
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アンニュイ表紙。しかし中味は結構ドロドロしてた。 「あいつはオモテウラがある」とかよく聞くが、実際に人間は生きる上で16面相ぐらい使いこなせないと都合が悪い気がする。保育園児でさえ、家で甘える時、外でかしこまる時、それぞれ使いこなせている。一方的に好みを女性を一度聖女認定してしま...
アンニュイ表紙。しかし中味は結構ドロドロしてた。 「あいつはオモテウラがある」とかよく聞くが、実際に人間は生きる上で16面相ぐらい使いこなせないと都合が悪い気がする。保育園児でさえ、家で甘える時、外でかしこまる時、それぞれ使いこなせている。一方的に好みを女性を一度聖女認定してしまったなら、その人は性的な考えは持つわけない!みたいな思考は不健全なんだけど。意外とその間違いには気づけない。 思うに「理解」っていうのはとてもとても大変なことなんではなかろうか。さっこん、そのあたりの気遣いが急速に死んでしまっている。
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コートダジュールを舞台に名門の学園 で起きた25年前の美少女失踪事件。 今は有名な小説家としてなお馳せている 主人公トマは25年前に恋焦がれたヴィンカ に想いを馳せる。 それは苦痛と共に、甘美な思い出でもあった。 久々のコートダジュールへの帰郷は 辛い苦痛が、悪夢となりトマへ現実...
コートダジュールを舞台に名門の学園 で起きた25年前の美少女失踪事件。 今は有名な小説家としてなお馳せている 主人公トマは25年前に恋焦がれたヴィンカ に想いを馳せる。 それは苦痛と共に、甘美な思い出でもあった。 久々のコートダジュールへの帰郷は 辛い苦痛が、悪夢となりトマへ現実の物として 突きつけられる。 予想を超えた展開に驚きを隠せないが、 子供達の未来を死を厭わず守り切った親達 は最初から秘密を抱えて平穏なふりを していた。 トマ、マキシム、ファニーは罪を償わないのは ちょっと納得しかねる。
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トマは小説家として名をあげ、現在ニューヨークに住んでいる。出身高校の50周年記念式典に出るために数年ぶりに故郷コート・ダジュールに帰って来た。 しかし彼の元へ、それから親友マクシムの元へ、脅迫状めいたものが届けられる。25年前、まだ高校生だった頃、マキシムとトマはある犯罪を犯し...
トマは小説家として名をあげ、現在ニューヨークに住んでいる。出身高校の50周年記念式典に出るために数年ぶりに故郷コート・ダジュールに帰って来た。 しかし彼の元へ、それから親友マクシムの元へ、脅迫状めいたものが届けられる。25年前、まだ高校生だった頃、マキシムとトマはある犯罪を犯していた。 ちょうどその頃、男子達から絶大の人気があった美少女、例外なくトマも好きだったヴィンカが哲学教師と失踪する事件があった。 ヴィンカは何処にいるのか?そしてトマ達の犯した罪とは? ーーーーーーーーーーーーーーーー 以前読んだ『ブルックリンの少女』よりもこちらのほうが数段面白かった。この本1冊がある1日の経過を追っていて、物凄く展開が激しい。ジェットスターに乗っているような目まぐるしさ。勿論25年前の描写も出てくる。 事件はどちらかと言うと現実離れしているが、トマの実家のちょっと冷たい家庭環境が、妙にリアリティがあった。トマが高校生の頃、父親は同じ高校の校長で、母親もそこの教師だった。成績優秀な兄や姉と違ってトマは両親の期待に応えられなかった。 トマは粗野だけど人情味のあるマキシムの父親をとても慕っていた。マキシムの父フランシスやジャーナリストの友人ステファンなどは荒々しいけど味のある、キャラクターも面白い人がいろいろ出てきた。中でも氷の女のようなトマの母親が、話が進むと最初の印象とはガラッと変わって作中最もカッコいい人物に描かれている。
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1992年、コート・ダジュールの名門高校で、最も魅惑的な少女ヴィンカが忽然と姿を消した。哲学教師アレクシスと駆け落ちしたとみなされ、捜査は打ち切りに。以来25年、彼らを見た者はいない。同級生のトマとマキシムは事件に関わる秘密を抱えたまま卒業、恐るべき過去は巧みに封印されたはずだっ...
1992年、コート・ダジュールの名門高校で、最も魅惑的な少女ヴィンカが忽然と姿を消した。哲学教師アレクシスと駆け落ちしたとみなされ、捜査は打ち切りに。以来25年、彼らを見た者はいない。同級生のトマとマキシムは事件に関わる秘密を抱えたまま卒業、恐るべき過去は巧みに封印されたはずだったがそれが明らかになる。
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『パリのアパルトマン』よりこちらが断然好き。 南仏の高校の同窓会を機に、25年前に失踪した美少女をめぐる謎が動き出し、主人公の作家家族の秘められた過去が明かされていく。 彼を守るために両親たちが幾重にも仕掛けた「危機の先取り」と「愛」の構図がお見事でした。 フランス富裕層の生活描...
『パリのアパルトマン』よりこちらが断然好き。 南仏の高校の同窓会を機に、25年前に失踪した美少女をめぐる謎が動き出し、主人公の作家家族の秘められた過去が明かされていく。 彼を守るために両親たちが幾重にも仕掛けた「危機の先取り」と「愛」の構図がお見事でした。 フランス富裕層の生活描写も楽しい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
コート・ダジュールの名門高校で、最も魅惑的な少女が姿を消した。しかし、恋愛関係にあった哲学教師との駆け落ちとみなされ、捜査は打ち切りに。 それから25年間、封印されていた秘密が明らかになる……。 語り手の認識している「真実」から、ストーリーが進むにつれ状況が二転三転していくので、最後までハラハラと飽きずに楽しめます。 装飾的な文章が多く、時系列も頻繁に前後するので、少々読みづらかったですが、様々な愛憎の果てに起きた事件という感じで悲しくも美しかったです。 登場人物ほぼ全員が愛に振り回されていて、ステレオタイプな印象で申し訳ないのですが「愛の国フランス」らしい話に感じました。
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フランス、92年に美しい女子高生ヴィンカと教師が失踪した。駆け落ちしたと思われていた。そして2017年、後に作家になりニューヨークに住むトマが慌てて故郷に帰って来た。高校の体育館が建て替えになるからだ。それは・・・ 途中でダレてしまって中断したのだけれど、我慢して後半に入ったら...
フランス、92年に美しい女子高生ヴィンカと教師が失踪した。駆け落ちしたと思われていた。そして2017年、後に作家になりニューヨークに住むトマが慌てて故郷に帰って来た。高校の体育館が建て替えになるからだ。それは・・・ 途中でダレてしまって中断したのだけれど、我慢して後半に入ったら、真相が二転三転し面白くなった。○○だと思っていたことがどんどんと覆された。
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