米中覇権競争と日本 の商品レビュー
国際政治学の理論を最初に紹介したうえで過去30年程度の米中関係を辿るので、ナイの国際紛争のような実例に理論を当てはめるような中身を期待したがそうではなかった。理論と事実ということでは最後の最後にどのフレームが適切かといった話程度。 とはいえ、銀河号事件や経済協定、金融政策、サイバ...
国際政治学の理論を最初に紹介したうえで過去30年程度の米中関係を辿るので、ナイの国際紛争のような実例に理論を当てはめるような中身を期待したがそうではなかった。理論と事実ということでは最後の最後にどのフレームが適切かといった話程度。 とはいえ、銀河号事件や経済協定、金融政策、サイバー戦とスノーデン事件等の幅広い分野から米中関係を丁寧に見ているので、そこは大変勉強になった。
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本書は、深刻さを増す米中対立をテーマとして、経緯と主要イシューの両面について重要ポイントを整理し、総合的な考察を加えた概説書である。 まず、ポスト冷戦、特に9.11以降バイデン政権発足までの間の米中関係の交渉、連携、応酬等の変遷が具体的、かつ詳細に跡付けられている。 さら...
本書は、深刻さを増す米中対立をテーマとして、経緯と主要イシューの両面について重要ポイントを整理し、総合的な考察を加えた概説書である。 まず、ポスト冷戦、特に9.11以降バイデン政権発足までの間の米中関係の交渉、連携、応酬等の変遷が具体的、かつ詳細に跡付けられている。 さらに、多国間機関におけるリーダー、ルールメイカーとしての地位争い、国際専門機関におけるポスト獲得を通じての影響力拡大や国際標準化を目指す動向、海洋での膨張や北・南極圏への進出、サイバー空間及び宇宙空間をめぐる覇権競争等について、対立の具体相が説明される。 こうしてまとめて中国の動きが紹介されると、この20年で、中国が本当にダイナミックにその存在感を高めていることが良く分かるし、ある意味、脅威であり驚異である。 ソ連とは違い、自己の体制を他国に輸出しようとしている訳ではないし、グローバルチェーン化しているので新冷戦とは異なると著者は言うが、中国が西側先進国による現状体制にチャレンジしているのは間違いないので、今後果たして世界はどのようになるのだろうか。いろいろ考えさせられる。
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