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立ちどまらない少女たち の商品レビュー

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2024/09/23

著者はアメリカ女性文学やジェンダー、フェミニズム、日本の少女文化を専門としているそう。本書のテーマもだいたいこのあたりからだが、特にアメリカ女性文学と日本少女文化を接続する作業となるだろうか。 少女漫画において、アメリカは肩身が狭いように見える。ヨーロッパを舞台にした漫画のほう...

著者はアメリカ女性文学やジェンダー、フェミニズム、日本の少女文化を専門としているそう。本書のテーマもだいたいこのあたりからだが、特にアメリカ女性文学と日本少女文化を接続する作業となるだろうか。 少女漫画において、アメリカは肩身が狭いように見える。ヨーロッパを舞台にした漫画のほうが優勢のような印象がある。しかし、それは現在から見た視点であり、ヨーロッパを舞台にしたような漫画のほうが現在も残っているというだけだろう。 言うまでもなく、日本の戦後社会においてアメリカの影響は大きく、それは少女漫画(少女文化)においても例外ではない。 よって、この手の少女漫画研究本ではあまり取り上げられないような作品も多い。「この手の少女漫画研究本」で俎上に上がりやすい萩尾望都などはわずかに触れられるだけであり、メジャーなところでは大島弓子や吉田秋生がそれなりに頁を割かれているが、それ以外の作品を、現在の読者たちがどれほど実際に目にしているかは微妙なところ。 しかし、本書のテーマはその作品の知名度ではなく、知られざる作品を紹介することでもない。外国(ここではないどこか)と少女漫画の関係、翻って学園もののような「いまここ」を描く少女漫画、またGHQ/SCAPの民主化政策などにも触れられる。 本書に瑕疵があるとすれば、あとがきでも書かれているように、やや内容が散漫としており一貫性に欠けるところ。またタイトルがロマンチックなのはいいとしても内容とのずれがある。というか、わかりづらい。せめて「アメリカ」というワードくらいは入れたほうが良かったのでは、と思う。 それ以外は、よかった。だいたい、よかった。

Posted byブクログ

2022/05/01

2022.4.19市立図書館 アメリカ文学(少女小説)と日本の少女漫画の関係の近さという視点があたらしい。たしかにそうだ、と同じ世代で同じように少女小説にもコミック・アニメにも親しんだものとして思う。いまも昔も、漫画家や少女小説家は子どもにとって大きなインフルエンサーで、マンガか...

2022.4.19市立図書館 アメリカ文学(少女小説)と日本の少女漫画の関係の近さという視点があたらしい。たしかにそうだ、と同じ世代で同じように少女小説にもコミック・アニメにも親しんだものとして思う。いまも昔も、漫画家や少女小説家は子どもにとって大きなインフルエンサーで、マンガから世界文学や歴史・古典などへの興味を開かれたという読者はたぶん少なくない。 私自身は、少年少女世界文学全集と伝記にじっくりたっぷり浸った一方でこどものころにはいわゆる少女漫画や少女小説を実はあまり読んでいない。数少ない親しんだ漫画(アニメ経由)がキャンディだった。勉強の一環として「あさきゆめみし」や「日出処の天子」にであったのは高校時代、川原泉や佐々木倫子に開眼したのは子どもも漫画を読むようになったこの十年。この本を読み、異文化共生や個人の尊厳といった今日的な内容を扱った作品が自分の中高生の頃にはもうあったこと、男性性の支配する世の中に疑問を投げかけるアメコミが一世紀も前からあったことなど初めて知ることがいっぱいあって、あれこれ読んでみたくなった。とりあえず吉田秋生あたりから探してみるつもり。

Posted byブクログ