分裂と統合で読む日本中世史 の商品レビュー
概要 本書は、日本の歴史学、特に中世の研究における「分裂」と「統合」の観点を探求しています。著者は、歴史的な視点から日本が抱える地域的多様性と国家としての統一性の相互作用を論じています。この要約では、主なテーマや議論の展開を整理し、著者が最も伝えたいメッセージを明確にします。 ...
概要 本書は、日本の歴史学、特に中世の研究における「分裂」と「統合」の観点を探求しています。著者は、歴史的な視点から日本が抱える地域的多様性と国家としての統一性の相互作用を論じています。この要約では、主なテーマや議論の展開を整理し、著者が最も伝えたいメッセージを明確にします。 1. 日本の歴史における分裂と統合 - 分裂の概念: 日本の歴史において、地域ごとの独自性や多様性が強く存在することが強調されます。特に、中世の武士社会や地方の自立性に関する議論が展開され、地域間の対立や文化的な違いが指摘されます。 - 統合の概念: 一方で、これらの多様性がいかにして「ひとつの日本」として統合されてきたかについても考察されます。歴代の政権、特に足利将軍の役割が重要な要素として挙げられ、中央集権的な国家形成への道筋が示されます。 2. 歴史学と民俗学の交差 - 研究の視点: 著者は、歴史学と民俗学の研究がどのように相互に影響し合い、地域史や国家史の理解を深めているかを述べています。特に、柳田國男や網野善彦の思想が、日本の多様性を理解する上での基盤となっていることが強調されます。 - 方言論争: 方言を巡る議論が、日本の分裂と統合を考える上での重要な事例として参照されます。この論争は、地域のアイデンティティと国家の統一性の間の緊張関係を示しています。 3. 現代への示唆 - 地域の多様性と国家の統一性: 本書は、現代の日本においても地域の多様性がそのまま存在し続けていることを指摘しつつ、それが国家の統一性にどのように寄与しているかを考察しています。著者は、地域研究や歴史研究の重要性を再確認し、今後の研究の方向性を示唆しています。 4. 結論 本書が最も伝えたいことは、日本の歴史における分裂と統合の動態が、単に過去の出来事としてではなく、現代にも影響を及ぼす重要なテーマであるということです。著者は、歴史学と民俗学の交差点での議論を通じて、我々が直面する地域の多様性と国家の統一性についての新たな理解を促すことを目指しています。
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何やら大学の「歴史系」一般教養の教科書を思わせるが、歴史学者のエッセイのようで楽しめる▲東西南北に広く国土も意外と大きい日本列島、豊かな地域的・文化的多様性。中世史を中心に研究の最前線からあらためて提示▼入口としては面白いし、分かりやすい。東国国家論と権門体制論は対極なのか。鎌倉...
何やら大学の「歴史系」一般教養の教科書を思わせるが、歴史学者のエッセイのようで楽しめる▲東西南北に広く国土も意外と大きい日本列島、豊かな地域的・文化的多様性。中世史を中心に研究の最前線からあらためて提示▼入口としては面白いし、分かりやすい。東国国家論と権門体制論は対極なのか。鎌倉仏教は画期だが、歴史認識としてはミスリード、主流は顕密仏教だよね。と修正主義に与せず、先行研究の紹介に徹しており、フラットで良い。百姓とは?都鄙雅俗に関してふわっと「足利的秩序」は著書を読んでねといった感じの宣伝書か(2021年)
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日本史において最も分裂した時代とされる中世を主題に、地理的人的側面の多様性についての先行研究を紹介し、それでもなお統合を失わなかった背景を探る一冊。民俗学の知見も合わせ整理された研究史についても分かりやすい内容。
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分裂と統合をキーワードに日本史の論点をわかりやすく整理している。 一世を風靡した網野善彦の、日本の概念への疑問、多様性の強調が国家史重視に転換しているというのは初耳。 しかし、グローバル化、地方の重視、中世的な権力の重層と言っていた風潮がコロナによる国境閉鎖で一気に転換したこと...
分裂と統合をキーワードに日本史の論点をわかりやすく整理している。 一世を風靡した網野善彦の、日本の概念への疑問、多様性の強調が国家史重視に転換しているというのは初耳。 しかし、グローバル化、地方の重視、中世的な権力の重層と言っていた風潮がコロナによる国境閉鎖で一気に転換したこととも関係あるのか。 所詮未だに現代は近代国家の枠組みを超えていないことがよくわかる。 分裂や多様化は細分化すると個人まで行ってしまうので、どこに線引するかは難しいところ。大きな違い、多様性はもちろん考えるべきだが、日本は比較すればかなり統一性が強いのではないか。
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いま中世に向かおうとしている、だから中世を知り、学んで行くべきとの著者の提案。 統合と分裂を繰り返してきた日本の成り立ちは、独立した東国、鎌倉府と西の朝廷の並立を指摘するところまではエキサイティングだ。しかし、統合の力が、貴種と都であるとする主張は、いま僕らが直面している世界への...
いま中世に向かおうとしている、だから中世を知り、学んで行くべきとの著者の提案。 統合と分裂を繰り返してきた日本の成り立ちは、独立した東国、鎌倉府と西の朝廷の並立を指摘するところまではエキサイティングだ。しかし、統合の力が、貴種と都であるとする主張は、いま僕らが直面している世界への示唆としてなにを読み取れというのか。言葉らたずで著を終えてしまっている。
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