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社会科学の哲学入門 の商品レビュー

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2022/10/22

大学講義の社会哲学総論みたいな学部生が受講する内容を、一冊にまとめたもの。お堅い内容と文章ではあるけど、初めて触れる学問分野だったので概要を何となくつかむ一助になてくれたか。 以下個人的な理解も混じったサマライズ 第一章: 存在論・方法論×個人主義・集団主義のマトリクスを各主義...

大学講義の社会哲学総論みたいな学部生が受講する内容を、一冊にまとめたもの。お堅い内容と文章ではあるけど、初めて触れる学問分野だったので概要を何となくつかむ一助になてくれたか。 以下個人的な理解も混じったサマライズ 第一章: 存在論・方法論×個人主義・集団主義のマトリクスを各主義の論者の意見をまとめながら、最終的に制度的個人主義という社会は固有の有機性は持ちえないが、個人の意図せざる結果への影響を持っていることを含意したものとして社会科学を捉える方向に発展していくのではないか? 第三章: 社会科学の理論の前提となる合理的経済人の言及から、行動経済学(代表ヒューリスティックスやアンカリングと調整)まで視野を拡張し、社会科学の理論の根本的な目的を追求していく。最後通牒ゲームでみられる、人間は、利他主義と完全合理性の狭間で揺れる曖昧な強い互恵性を備えていることも示している。理論とは一般性・普遍性を有するべきか、単なる道具として割り切るか、いづれにしても常に批判にさらされることで中立性や客観性を保っていく挙動がいるのだろう。 第四章: 社会科学は一つのものの見方にすぎないのか、ここは文化相対主義に対する認識が刷新された。各文化を尊重することは良いことと盲目的に信じていたが、ここに問題が孕んでいる。 自文化の慣習と比較して、異文化のさいれに問題があると批判できなくなる(P132-133) 自分の属する社会の慣習を批判できなくなる(P133) 道徳的進歩の考え方が怪しくある(P133) 手放しですべてを認めるずぶずぶの思考回路ではなく、やはり自己批判的な立場は常に意識していきたいと心に留めよう。 最後の2つの章は抽象度が上がってきて、理解が及ばず。しかし、真に正しいという理論や考え方は存在しないという前提で、批判的にというのがキーワードであることは何となく伝わった。哲学と銘打つだけあって、人間を対象としている学問に対するメタ的な視点でどう意義があるのか、という究明が思考を惑いに誘う良い体験をさせてもらえました。 参考文献も充実しているので、個々から気になったトピックの理解を深堀しよう。

Posted byブクログ

2022/12/13

概説書,というか用語集を文章になおした本といった趣き.各章それぞれ問いが立てられていろんなひとの議論が整理される,という形をとっているが,問い自体がなかなかはっきりと捉えづらい.教科書みたいなものだからしょうがないということかもしれんが,アーギュメントがあんまりないのもつらい.「...

概説書,というか用語集を文章になおした本といった趣き.各章それぞれ問いが立てられていろんなひとの議論が整理される,という形をとっているが,問い自体がなかなかはっきりと捉えづらい.教科書みたいなものだからしょうがないということかもしれんが,アーギュメントがあんまりないのもつらい.「社会科学の」問題なのかあんまりわかんなくなる部分もおおくて,どういう事例が念頭に置かれてるのかをもっと言ってほしかった.読書案内とかはとても充実してるし,ひとの考えと吉田さんの考えとはよく区別されて参照先も明確なので,扱われてる議論を元の文献に戻って整理しなおしたりしながら読書会やったりレポート書いたりするとよいだろう.

Posted byブクログ

2022/01/08

「社会科学の哲学」という学問があること自体知らなかったが、哲学思想と社会科学の両方の側面で物事を捉える面白い分野だと思った。日本ではまだ研究が進んでいないみたいで、本格的な入門書も本書が初という感じらしい。 ◯現代の社会科学において自然主義が有力である理由 物理学羨望→ガリレオ...

「社会科学の哲学」という学問があること自体知らなかったが、哲学思想と社会科学の両方の側面で物事を捉える面白い分野だと思った。日本ではまだ研究が進んでいないみたいで、本格的な入門書も本書が初という感じらしい。 ◯現代の社会科学において自然主義が有力である理由 物理学羨望→ガリレオ、アインシュタインなど、科学史の功績は物理学が大半を占めており、社会学者も物理学のような一人前の学問にしたいという願望があった。 行動主義心理学→心理学は物理学や生物学のような位置づけを目指していた。

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2021/10/16

あれ、この本は勁草の「入門」書なのにちゃんと入門書になっている。有名人の名前がぞろぞろ出てくるが、それらの人々がなぜ重要で有名なのかの見通しがよくなる。とても優秀な入門書だと思う。

Posted byブクログ