ジェネリック医薬品の不都合な真実 の商品レビュー
BOTTLE OF LIES: The Inside Story of the Generic Drug Boom https://www.shoeisha.co.jp/book/detail/9784798168128
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安いにそれなりの理由があった。品質がウーンというレベルだったり、味が今ひとつということがある。 しかし医薬品が「ワケアリ」だと大変だ。身体に入れるものだけに製造する側や認可する側が注意してもらいたいと思うが、生産拠点が外国となるとそうも行かなくなる。 今回の本では...
安いにそれなりの理由があった。品質がウーンというレベルだったり、味が今ひとつということがある。 しかし医薬品が「ワケアリ」だと大変だ。身体に入れるものだけに製造する側や認可する側が注意してもらいたいと思うが、生産拠点が外国となるとそうも行かなくなる。 今回の本では、ジェネリック医薬品という正規の医薬品よりも安い価格で買えることで話題になっていたが、消費者が口にするにはリスクのある状況だった。「まさかという名の坂」があったとは。 著者のキャサリン・イーバンは、調査ジャーナリストで偽造医薬品、銃の違法取引、CIAによる強制的な尋問を取り上げた記事で数多くの賞を獲得している。 アメリカ食品医薬局(FDA)のコンサルタントで、海外の製造工場で長い時間を過ごしたことのある人に聞いたところ次のようなことを述べた。企業文化、さらには国の文化によって薬の製造品質に影響が出る。 忖度が求められる文化かそれとも違う意見が出ることを歓迎するかによる。 例えば中国は都合の悪い情報を出さない。著者が中国で情報提供者に会おうとしたとき、政府から尾行されて、携帯電話を盗聴された。 ここにも「チャイナリスク」があったか。 中国に派遣されるFDAの査察官のほとんどが中国語を話すことができず製造記録も読めなかった。通訳も自前ではなく、企業の営業担当者だった。 これでは正確な調査などできるわけがない。 ジェネリック医薬品に関して闇の部分があるとは知らなかった。易いだけで飛びつくと大変だな。 「規制とは追いつ追われつビジネスなのです」と、アメリカ薬局方協会のグローバルヘルス・インパクトプログラムの元副委員長パトリック・ルクレイ博士が述べている。 脱税や麻薬の取締りと同じく、無くなりそうにないなあ。
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どうしてFDAが嘘を見破れなかったか。。。そりゃミイラ取りがミイラになるってこの事なんだなって思う。 日本も他人事じゃないから読んでみるべし。
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ドキュメンタリー。 読了後、ひょっとしたら読まなかった方が幸せだったかもしれないとまで感じてしまった。薬に対する恐怖心が湧き起こってくる。 インドの大手ジェネリック医薬品メーカー「ランバクシー」、その製造工程のあまりのひどさにFDAへ内部告発を敢行したタクールの殆ど絶望的と...
ドキュメンタリー。 読了後、ひょっとしたら読まなかった方が幸せだったかもしれないとまで感じてしまった。薬に対する恐怖心が湧き起こってくる。 インドの大手ジェネリック医薬品メーカー「ランバクシー」、その製造工程のあまりのひどさにFDAへ内部告発を敢行したタクールの殆ど絶望的とさえ言える戦いを軸に話は進む。 導入部で、中世ヨーロッパでは食料品に平気で粗悪な混ぜものを混入していたという話が出てくる。なるほど、それで欧州ではビールとかワインとかパンなどの製造法にあんなにうるさいんだと、それはそれで納得していたんだが・・・ ここに描写されている薬品製造工程におけるランバクシーの杜撰さは、俄には信じがたい。これは「盛ってる」なと思ったほどだ。製造過程での定期的なサンプリングの試験結果は残していない、不衛生な工場、FDA査察官を騙す手口・・・あり得ない!と叫ぶしかない描写が続く。安価にできると主張したこの薬品会社の抗エイズ薬の頒布を手助けしたのがクリントン財団なのだが、その薬は効果が全く期待できないものだった。 ランバクシー経営のあまりの酷さにタクールは、殺されるかもしれない危険を承知でFDAへ実体告発するのだが、そのFDAの動きの鈍いのにまたまた驚かされる。「やっぱりこれは「盛ってる」な」と再び思っても無理はない。 五百頁を超えるこの本、息をもつかせず・・・いや頻繁に息を継いだ。ここに書かれていることが事実だとすれば、なんと恐ろしいことだろうと。 全てのジェネリック薬品メーカーがランバクシー同様だと断定するのは早計だろう。しかし、仮にも大手と言われていた薬品メーカーがそのような実体だったと知って、ぼくらはどう考えればよいのだろう。 高価な薬価は、困る。しかし、安くても命を危険にさらす薬はもっと困る。
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