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法医学者の使命 「人の死を生かす」ために の商品レビュー

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2022/07/12

数々の事件の死因究明を手掛けてきた法医学者が、「人の死を生かす」の副題で、ケース1からケース59までの実例で、法医学の役割を語る書。 突然死の様々な要因を述べ、犯罪死を見逃さないよう注意を促す。 一方で、冤罪事件のケースを列挙し、どうすれば冤罪被害をなくせるかと言及する。 専門的...

数々の事件の死因究明を手掛けてきた法医学者が、「人の死を生かす」の副題で、ケース1からケース59までの実例で、法医学の役割を語る書。 突然死の様々な要因を述べ、犯罪死を見逃さないよう注意を促す。 一方で、冤罪事件のケースを列挙し、どうすれば冤罪被害をなくせるかと言及する。 専門的知識の乏しい検察官などが、予断に基づき自らの見立てに沿って作文をしていることが常態化していると警告する。

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2022/03/14

異常死の死因の解明に関して長年にわたり第一線で奮闘されてきた著者が、独白したセリフがp186にある.曰く、専門的知識の乏しい取調官が、専門家に意見を聴取する際、予断に基づいて専門家に呈示する資料や前提条件を絞り、自らの見立てに沿った問いを発し、聴取内容を作文することが常態化してい...

異常死の死因の解明に関して長年にわたり第一線で奮闘されてきた著者が、独白したセリフがp186にある.曰く、専門的知識の乏しい取調官が、専門家に意見を聴取する際、予断に基づいて専門家に呈示する資料や前提条件を絞り、自らの見立てに沿った問いを発し、聴取内容を作文することが常態化していると感じる.恐ろしいことが常態化していることに驚く.情報を開示することに前向きでない我が国の体制を根本から見直す必要性を感じた.

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2022/02/11

愛媛大学1期生の大先輩であり、のちに東大法医学の教授になられた著者の書籍であり興味深く読ませていただいた。科学者としての良心や誇りをもって働いてこられた著者の、一方では前近代的な我が国の刑事司法に対して、その科学的根拠を持った事実認定に対して自説に合わないと切り捨てる姿勢を一挙両...

愛媛大学1期生の大先輩であり、のちに東大法医学の教授になられた著者の書籍であり興味深く読ませていただいた。科学者としての良心や誇りをもって働いてこられた著者の、一方では前近代的な我が国の刑事司法に対して、その科学的根拠を持った事実認定に対して自説に合わないと切り捨てる姿勢を一挙両断される。そのために数々の冤罪事件や医療事故に対する司法介入で冤罪が更に増えている状況を科学的根拠を持った事実で冷静に述べられる筆致には感動を覚える。事例に即して説明されるので説得力がある。日本の法医学が置かれた状況を知るにはお勧めの一冊と考える。

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2022/01/30

冤罪の事件を取り上げ、法律家の法的判断至上主義と科学軽視を批判し、刑事司法システムの改善の必要性を唱える。そのために多数のケースを短く紹介されているのだが、医学知識の乏しい読み手にとっては若干辟易。著者の想定した読み手は医学生等なのかもしれない。事例検討会など地道な取り組みをされ...

冤罪の事件を取り上げ、法律家の法的判断至上主義と科学軽視を批判し、刑事司法システムの改善の必要性を唱える。そのために多数のケースを短く紹介されているのだが、医学知識の乏しい読み手にとっては若干辟易。著者の想定した読み手は医学生等なのかもしれない。事例検討会など地道な取り組みをされているが、刑事司法システムの改善につながらないのは何故だろう?

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2021/12/25

法医学の第一人者である著者が、豊富な自験例などを紹介しつつ、日本の死因究明制度や刑事司法の問題点を指摘。 法的判断等における法医学による死因究明の重要性を理解した。また、様々な突然死の症例の解説は、タナトフォビアの自分にとって有益だった。

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2021/11/28

検察、裁判所に対する厳しい批判に説得力がある。おそらく、裁判官・検察官に、自らの医学的判断(鑑定)を軽視された法的判断には納得できない、ということなのであろう。裁判官は、しばしば、科学や合理性の根拠を無視して、自らの「心証」に合わせて自由に「事実」をつくり、警察官・検察官の「事実...

検察、裁判所に対する厳しい批判に説得力がある。おそらく、裁判官・検察官に、自らの医学的判断(鑑定)を軽視された法的判断には納得できない、ということなのであろう。裁判官は、しばしば、科学や合理性の根拠を無視して、自らの「心証」に合わせて自由に「事実」をつくり、警察官・検察官の「事実認定の誤り」を認めても正すこともせず、誰にも批判されることはない、という指摘が筆者の根底にある。 59のケースが取り上げられており、冤罪事件の防止のためにも広く参照して欲しい著作である。

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2021/10/15

類書を何冊か読んだことがあるが、 これは法医学と裁判実務での実例や問題点にも深く踏み込んでいて、興味深かった。 「その行為のせいで死亡した」のか「たまたまその行為の時に突然死した」のか、の判別の困難さは知らなかったので勉強になった。

Posted byブクログ