我らが願いは戦争 の商品レビュー
一昨年あたりにサランエプルシチャクした我々一家であったが. … 父が、誰から教わったのか「アソウマサラップ」は「犬うまい」って意味なんだよ〜!と、私が小さい頃からずっと言っていた。ハタチの頃、大学の教授に連れられ犬肉料理を食べた。その時、トルコ語をはじめ様々な国と地域の言語を習得...
一昨年あたりにサランエプルシチャクした我々一家であったが. … 父が、誰から教わったのか「アソウマサラップ」は「犬うまい」って意味なんだよ〜!と、私が小さい頃からずっと言っていた。ハタチの頃、大学の教授に連れられ犬肉料理を食べた。その時、トルコ語をはじめ様々な国と地域の言語を習得した教授にくだんの「アソウマサラップ」の件について聞くも、真相はわからず。そして一昨年サランエプルシチャクした我々はこの本に出会い、そこから独自の調査を重ね、その真相を知ることになる… ※本編とは関係ありません
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「金王朝」が嘘のようにあっけなく崩壊したが、「北」の体制枠組みだけは維持されたゆるやかな連合政体のかたちをとった朝鮮半島を舞台とした近未来小説。物語は、韓国軍から通訳として派遣された元ゲームプランナーの頼りない男性大尉と、マレーシア出身の華人で、母親が韓国人だったために韓国語も操ることのできる平和維持軍の女性大尉という釣り合わないバディを視点とするストーリーと、旧北朝鮮軍の精鋭特殊部隊に所属しながら、落伍した結果仲間の死に気づけなかったターミネーターのような元兵士リチョルと、リチョルがたまたま助けた男性の娘ミョンファという、もうひとつの釣り合わないバディを視点とするストーリーとが交互にくり広げられる構図。薬物マフィアによって牛耳られた国境地帯の北側の街をしたたかに生き抜く女性たちのシスターフッド的な紐帯が、リチョルという「武器」を得て、マフィアの男たちの駆け引きと暴力を凌駕していく展開はスリリングで、一気に読むことができた。 元新聞記者の作者が綿密な取材を重ね、専門家からのアドバイスも踏まえて作り込まれた「北」の生活世界の描写にはリアリティがある。しかし、それ以上に印象深いのは、なぜここに派遣されたかが分からないという様子でふてくされているカン・ミンジュン大尉が言語化した、「北」に対する思いの記述だ。素行と態度の悪さにもういい加減にしてくれとうんざりしているが、縁の切れない家族のようなものなので、つい頭の中から「なかったこと」にしてしまいたくなる――。そのミンジュンが、自分の命を賭けて部下たちを守ったときの気持ちを手がかりに、「北」との新しい向き合い方のヒントをつかみとっていく。70年も超えてしまった半島の体制分断の「その後」を考えるうえで、ひとつの貴重な思考実験になっていると思う。
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純粋に小説としても面白く、朝鮮半島の歴史や、北朝鮮の成り立ち、統一はあり得るのかといった政治的な問題について非常に勉強になる、興味深い本だった! 北朝鮮で政権が勝手に崩壊し、南北が統一された近未来という設定。 私は若いときに韓国の大学で少々勉強したことがあり、その時の認識から変わらず、朝鮮半島の人たちは当然「南北の統一」を願っていると疑いもなく思っていが、その考えがなんとも浅いものであったと思い知らされた。 南北が分断されて久しい。戦争をせずに、もし本当に朝鮮半島が一つの国になったら…。なるほど、こんなことが考えられるのか!目からウロコ…というよりは、そうよね、確かにそうなるよね、なぜ今までそのことに思い至らなかったのだろう、と考えさせられる。 統一、となったら、今まで北朝鮮で特権階級にいた人々や、政治犯を捕まえたり言論を弾圧したり、公開処刑をしてきた人たちは逆にその罪を問われることになるだろう。それをおそれて国外逃亡したり、蓄えた富をどうするかを考えるだろう。 核施設や、覚醒剤の製造や密輸出のルートはどうなるか。 無政府状態になった北の治安を誰が守るのかという問題も出てくる。 小説では平和維持軍という名の国際組織が駐留している。アメリカと日本は疎外されている(このあたりの事情も面白い)。 韓国には徴兵制があるので、本当の軍人ではない、徴兵された若者がいやいやながら軍務に就き、北へ派遣される。その若者の本音では、「北」の人たちを同胞とは思っていない。長い間迷惑行為ばかりしているやっかいな隣人、という認識なのだ。 そうか、そうなのか。 物語は、いやいやながら派遣されたミンジュン大尉が、平和維持軍の女性将校と北朝鮮の麻薬組織と韓国軍の癒着を暴き、密輸出ルートを突き詰める、というハードボイルド風になっている。北朝鮮で特殊部隊で鍛えられたリチョルという一匹狼ももう一人の重要な主人公で、無法地帯状態の国境地帯で、日雇い仕事などで食いつないでいるが、あるきっかけで麻薬組織の陰謀に巻き込まれていく。自分が特殊部隊で遭遇した不可解な事件(仲間が何人も殺された、誰が裏切者なのか?)の真相を知りたいという理由もあり、麻薬組織に息子や夫を殺された女性たちに協力して、麻薬組織に近付いて行く。ミンジュンはイマドキの若者の本音を語り、ちょっとたよりないけど、頭が良くユーモアもある男性、リチョルの方は北朝鮮の特殊部隊で鍛えられ、肉体的に強く、精神力も強いが難しいことはわからない、無骨な男性。対照的だがどちらも魅力的に描かれている。 最後はリチョルが一人で組織に潜入し、彼に父親を助けてもらった女性が平和維持軍に連絡し、どうなるか!?ドキドキする展開でした。 南北の統一の難しさがわかるし、韓国の人たちはもう誰も、本気で統一など目指していないのかもと思える。 国境の行き来が自由になったら、北の人たちはこぞって南に行きたがるだろう…と思いきや、そこには地雷がたくさん埋められている、っていうのも衝撃。そうなのか。なんて、問題山積なのだろう。 まだまだ勉強することたくさんあるなぁ!
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500ページ弱。 プロローグを読んで、これは絶対に今読むのにぴったりの作品と感じ、少しずつ読み進める。第三部からエピローグまでは、一気読み。 舞台はもちろん「仮想」の上に成り立っているのだけれど、主義主張の違う人たちを融合させるということは、どれだけ矛盾が生じるのか。個人と社会...
500ページ弱。 プロローグを読んで、これは絶対に今読むのにぴったりの作品と感じ、少しずつ読み進める。第三部からエピローグまでは、一気読み。 舞台はもちろん「仮想」の上に成り立っているのだけれど、主義主張の違う人たちを融合させるということは、どれだけ矛盾が生じるのか。個人と社会、よりよい社会って何なのだろうと、考えることもたくさん。 今も世界のどこかで、方法は違えどいろいろな駆け引きがこんな風に起こっていて、国の体制に飲み込まれたり、自分が生き残るための方法を考えたり…みんな必死に生きようとしているんだよね、と。 すんごい本に出合えました。10年後に、また、いろいろな経験をした上で読み直したら、どんな風に感じるのかな。その頃、私たちの社会は、世界はどんな風になっているのだろう。そんな本です。
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