バングラデシュIT人材がもたらす日本の地方創生 の商品レビュー
バングラデシュ人の技術を学びたいひとたちに、情報処理技術者試験を学んで受験してもらい、ITワーカーとして来日して、日本の人材不足を補おうとする興味深い試みについて書かれている。 私はPMPと、IPAの情報処理技術者試験プロジェクトマネージャーの双方を資格として持っているが、少なく...
バングラデシュ人の技術を学びたいひとたちに、情報処理技術者試験を学んで受験してもらい、ITワーカーとして来日して、日本の人材不足を補おうとする興味深い試みについて書かれている。 私はPMPと、IPAの情報処理技術者試験プロジェクトマネージャーの双方を資格として持っているが、少なくても合格した当時は、PMPの選択問題ばかりの方式に若干の疑問を持ち、自らの経験を小論に書かせる後者のほうがスキルをより的確に判断できるはずだと思ったものだ。そして、本書にも触れられているが、アメリカの資格試験に比べ、情報処理技術者試験は圧倒的に安上がりだ。物価の異なるバングラデシュでも手が届く。 現在の日本は、国外の高度人材を引き付ける魅力が全くといっていいほどない。私などは、円安のいま(2022年時点)を利して、国外からばんばんオフショア開発を引き受け、日本のやる気にとんだかけだしエンジニアをどんどんスキルアップさせるしかないと思っているほど、これからIT人材の枯渇は深刻な問題になる。 そのときに、バングラデシュの人材を鍛えて日本に迎え入れるスキームはとても有効だろう。 本書でも触れられているのだが、残念ながらそのさい、受け入れ側にまだまだシリアスな課題が残っている。 雇用の際「日本語ができないと厳しい」という、ガラスの壁だ。 問題はその企業側にあるのであり、本来なら英語さえできれば問題ないはずだ。私も、インド人の極めて優秀なインフラエンジニアをあるスタートアップに紹介しようとして、全く同じ理不尽な言われようをした。 早晩「厳しい」「厳しくなる」のは御社の方ですよといいたい。日本国内でしか通用しない非常識である。 国際開発や教育に関心がない企業の人々にも一読を進めたい。
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