キリスト教の幼年期 の商品レビュー
本屋で見かけて購入。まあまあ面白かった。 初期のキリスト教信者のうち、ギリシャ語を使うヘレニスト・グループの活発な活動の結果、キリスト教の進展がセム的なオリエントの方にではなくローマ帝国方向に向けて広がったと主張している。でもなぜ他グループでなくヘレニストの影響だけを受けたのか...
本屋で見かけて購入。まあまあ面白かった。 初期のキリスト教信者のうち、ギリシャ語を使うヘレニスト・グループの活発な活動の結果、キリスト教の進展がセム的なオリエントの方にではなくローマ帝国方向に向けて広がったと主張している。でもなぜ他グループでなくヘレニストの影響だけを受けたのかは説明されず、ちょっと物足りないか。 聖書の使徒行伝6章の「ステファノたち7人の選出」のくだりは単なる選出ではなくヘレニスト・グループの分離独立であると説明していて、聖書を記述通り読むのではなく歴史史料として読んでいるのが新鮮。 新約聖書の各書が話の流れに関連してさりげなく解説され、最終的に全体が解説されるようになっているのも良い。記述方式に特徴があることも知らなかったし、作成者や作成時期が案外分かっていないのも意外だった。 注記されている聖書を参照しながら読まないとよく分からないので、電車など外出先で読む用には不適。
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ちくま学芸文庫で、原始キリスト教関連書が続いていますが、こちらも面白い。 ヤコブの殺害、パウロの敗北、そして、エルサレムの陥落によって、息の根も絶え絶えになってしまったキリスト教が、パウロの後継者たちの反撃(ルカの福音書と使徒行伝)によって、息を吹き返し、ユダヤ教とは全く別の宗...
ちくま学芸文庫で、原始キリスト教関連書が続いていますが、こちらも面白い。 ヤコブの殺害、パウロの敗北、そして、エルサレムの陥落によって、息の根も絶え絶えになってしまったキリスト教が、パウロの後継者たちの反撃(ルカの福音書と使徒行伝)によって、息を吹き返し、ユダヤ教とは全く別の宗教として歩み始める。新約聖書の成り立ちを、周辺の歴史から解きほぐしていく手立ては、今まで思いもよらなかったけれども、とても腑に落ちる。「反撃の文書」とみると、新約聖書って、なかなかスリリングな書物になりますよね。
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キリスト教はローマ帝国の国教、ヨーロッパの宗教になっていったのであるが、その初期には消滅する可能性だってありえた、、ことを示す一冊。キリスト教におけるパウロの貢献は大きいが、1世紀当時はアウトサイダーとして扱われており、4世紀になって初めてアウグスティヌスが名誉ある地位を与えて現在に至る。歴史って面白いな~と感じた。特に本書では権力のない無名の人々の歴史であり、確度の高い推測によってしか追えない。 ユダヤ教をベースとした初期エルサレム教会を代表するヤコブ、異教世界の教会を代表するパウロ、どちらも相容れない存在であった。エルサレム教会はヤコブが死に神殿が崩壊することで権威を失い、またパウロは紀元後64年頃に挫折のうちに死に、ネロの迫害により苦境に立たされる。当時のユダヤ人の多くがキリスト教に改宗していったのだ、と思っていたがユダヤ教数百万人、キリスト教数万人であり、さほどユダヤ人に影響を及ぼさなかった、というのが新鮮だった。 迫害によってなのか、パウロが創設した首都ローマでのキリスト教会が、95年前後には恒常性の高い組織への道を歩んでいる痕跡がある(ローマのクレメンスによるコリントス者への手紙)。115~117年のユダヤ人によるローマへのキリスト教徒は加わらなかったことから、ローマはユダヤ教とキリスト教を区別するようになり、また内的にも教義を模索する方向性が出来てきた。しかし125~150年ごろには、ローマ帝国の国教となる予兆は見られない、、 あとがきにもあるように続編が欲しいところである。たとえば、初期のエルサレム教会はどうなったのだろう?ペテロを中心とした教皇制であったものが、神殿崩壊により連合体制へと推移している。しかしパウロの諸教会とは相いれない存在だったはず、エルサレム教会は首都のキリスト教会と統合されたのだろうか?統合されていなければ「使徒継承」の問題が発生してくるな、、と思った。宗教的問題が発生するため、あえて著者は避けたのか?と思ってしまう
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