感応グラン=ギニョル の商品レビュー
図書館本 うつぎしゅんようさん著。SF短編集。 私には少し読みにくし。 感応グランギニョルは、身体に傷のある少女からなる見せ物一座に、無花果という子が入る。彼女はテレパスで。。。
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最初は文体が自分に合わないような気がして半信半疑で読み進めていたが、気づけば夢中になっていて読了後直ぐに2作目に手を出していた自分がいた。 今までに読んだ短編集の中でも、群を抜いて個性と読了後の気持ち良さが勝る1冊。
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なんて、なんて美しい「痛み」の物語群なんだ! まさに作中で引用されてた「きれいはきたない、きたないはきれい」が全編に通奏低音として流れているような。 痛みに苛まれている側が主体性を獲得したり復讐者になる場面のカタルシスが最高すぎる。 可哀想と思うことを許さない、痛みを持つ者の気高...
なんて、なんて美しい「痛み」の物語群なんだ! まさに作中で引用されてた「きれいはきたない、きたないはきれい」が全編に通奏低音として流れているような。 痛みに苛まれている側が主体性を獲得したり復讐者になる場面のカタルシスが最高すぎる。 可哀想と思うことを許さない、痛みを持つ者の気高さがそこにある。 1本目の表題作から既に世界観に引きずり込まれて、終盤「徒花物語」からの「Rampo Sicks」で締める構成がほんと完璧に美しい。 異形コレクションで空木先生の小説に惚れ込んではいたけれどやっぱり大好きだー!!!
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時間も空間も即ち時空を自由に飛び回り、時に浪漫、時に退廃、時に曼荼羅、時にSF。分離された世界かと思いきや接触しあう筋立て…なんという着想、なんという創造力、なんという文章の組み立て。 誉めまくっているのに星が3つなのは、読者たる俺の嗜好の問題。俺は痛い辛い表現が苦手なのだ。そういう目にあう登場人物が出てくる小説は、その登場人物がベタに救われないとイヤなのだ。 さらに言えば、痛みや傷や絶望が人の救いとなるような展開に我慢できないのだ。 だから、俺はこの1冊を正当に評価できない。読みたい人がこの本をきちんと評価してくれるだろう。
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自分より劣るものを見ることで安心感を得る、あるいは憐憫の情を抱く傍観者に対し、痛みを見せ、感じさせ、当事者たる少女たちの憎悪を、あるいは絶望を教え、闇に引き摺り込む物語構成は圧巻の一言。全5作からなるSF短編集ですが、いずれも幻想的かつ耽美的な唯一無二の世界観を構成しており最高の...
自分より劣るものを見ることで安心感を得る、あるいは憐憫の情を抱く傍観者に対し、痛みを見せ、感じさせ、当事者たる少女たちの憎悪を、あるいは絶望を教え、闇に引き摺り込む物語構成は圧巻の一言。全5作からなるSF短編集ですが、いずれも幻想的かつ耽美的な唯一無二の世界観を構成しており最高の読書体験でした。表紙のデザインも表題作にリンクしており、非常に素晴らしいですね。 特に好みだったのは「地獄を縫い取る」と「徒花物語」。特に徒花物語は、非常に完成度の高い百合作品であることはもちろんのこと、「自分の痛みは自分のもの。決して手放さない」という決意の元に主人公が解放されていく過程が非常に美しく、圧倒されました。
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5編から成る短篇集 恐らく好き嫌いが分かれる,刺さる人にはぶっ刺さる本ではあろうが,個人的には結構好き. 脱構築的なものを感じなくもない.(自他,性,自己と環境,美醜etc.) 特に徒花物語は,鬱屈として退廃的で耽美的で小さな希望があって心地良かった. あと笹川真央にテーマ曲...
5編から成る短篇集 恐らく好き嫌いが分かれる,刺さる人にはぶっ刺さる本ではあろうが,個人的には結構好き. 脱構築的なものを感じなくもない.(自他,性,自己と環境,美醜etc.) 特に徒花物語は,鬱屈として退廃的で耽美的で小さな希望があって心地良かった. あと笹川真央にテーマ曲書いてほしい.
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ダメだった 既読作品があったので、色彩は想像できていたのだが、やはりその色な馴染めないままエンディング。
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世界に対する満腔の呪詛。 生そのものと分かちがたく結びついた痛み。 全身に刻み込まれた無数の瑕(きず)。 畸型(フリークス)と虐待(アビューズ)。 怨嗟と絶望。 …… サディスティックな描写もさることながら、この奇怪な小説は読者に高みの見物を許さない。「お前も所詮、加害者のひとりだ」と指を突きつけて糾弾してくる。正直、読むのがしんどい本である。にもかかわらず、一旦読み始めると頁を繰る手が止まらない。 本書は空木春宵さんの初めての作品集。表題作『感応グラン=ギニョル』の他、『地獄を縫い取る』『メタモルフォシスの龍』『徒花物語』『Rampo Sicks』が収録されている。 変幻自在な文体、時空を跳躍する奇想、計算された緻密なプロットなど、長所をあげれば枚挙にいとまがない。☆ひとつ減らしたのは、私がエログロ表現が苦手だということと、それ以上に、この小説を手放しで賞賛できるほど自分は無垢ではないと思うから。作品ではなく私の方の問題である。 個別の内容はネタバレになるので避けるけれども、繰り返し語られるのは「踏みにじられた者の怒り」だ。世界に蹂躙された者たちが、自らの尊厳を賭けて世界と刺し違える物語だ。その果てに待っているのは破滅しかないが、それは解放と同義でもある。虐げられた彼女らに唯一可能な抵抗(レジスタンス)は、ただ滅び方を選ぶことだけだから。 そしてもうひとつは主客の転倒。この物語には無数の転倒があるが、ヒロインたちが砕け散るとき、わたしはJ.Dであり同時にまたクロエである。他人の痛みを憐れみつつ、愛してやまない嗜虐者である。そこまで計算したかのように、ヒロインたちは嘲りの笑みを浮かべ「わたし達を憐れむな(そんな権利も資格もお前にはない)」と吐き捨ててゆく。喉元に、切っ先を突きつけるようにして。 もはや嬲られているのが誰なのかも判然としない。ただ、せめて自分の加虐性や被虐性には自覚的でありたいと思う。なんで娯楽小説を読んでこんな自己批判をしなければいけないのか謎だが、そういう奇怪なパワーを持った作風だということだ。有毒性の物語が好きな人にのみオススメの本である。
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表題作や地獄を縫い取るは面白かった。一方、自分の創造力が足りないせいか、メタモルフォシスの龍や徒花物語はその特異な世界観が頭の中で絵としてイメージしにくく、物語の世界に入っていけなかった。
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創元日本SF叢書なので、SFだと思って敬遠していたのは大失敗でした。SFといえばたしかにSFでもありますが。これはむしろ幻想、少しホラーといってもいいかも。どれもが絶妙に歪んでいて、実に美しい作品ばかりでした。 お気に入りは「メタモルフォシスの龍」。恋をしてそれに破れたときに変化...
創元日本SF叢書なので、SFだと思って敬遠していたのは大失敗でした。SFといえばたしかにSFでもありますが。これはむしろ幻想、少しホラーといってもいいかも。どれもが絶妙に歪んでいて、実に美しい作品ばかりでした。 お気に入りは「メタモルフォシスの龍」。恋をしてそれに破れたときに変化し、お互いを喰らい喰らわれる存在になってしまう男女。それを防ぐために恋愛を禁止し人との接触を失くした世界で、それでも恋に落ち変化してしまった人たち。彼女たちの切なくしかし執念に燃える物語にはぞくぞくさせられながらも、しかしどこかしら温かなものを感じました。げに恋は恐ろしき、なのですが。そこまで排除してしまう世界というものもまた恐ろしい気がします。 「徒花物語」もかなり好き。少し読めばわかりますが、有り体に言えばゾンビとなってゆく少女たちの物語。でもそれを「花屍」と言い換え、彼女たちの間で結ばれるのは「Zの契り」であったりと、どこまでも美麗な印象です。彼女たちの変化の過程すら、あまりに優雅でした。 そしてやっぱり「Rampo Sicks」がとても素敵。乱歩のあれやこれやのエッセンスを取り込んでこんな物語ができるとは。
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