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筆録 日常対話 の商品レビュー

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2021/07/25

2015年のTVドキュメンタリー『母と私』と、その映画版として製作されたドキュメンタリー『日常対話』の書籍版。台湾伝統の葬い業を営むレズビアンの母親と、小学校も行けずに成人した映画監督の娘がお互いの過去に向き合う。そこには、同性愛に対する偏見や地方農村の保守的な社会観から、DVに...

2015年のTVドキュメンタリー『母と私』と、その映画版として製作されたドキュメンタリー『日常対話』の書籍版。台湾伝統の葬い業を営むレズビアンの母親と、小学校も行けずに成人した映画監督の娘がお互いの過去に向き合う。そこには、同性愛に対する偏見や地方農村の保守的な社会観から、DVに虐待に貧困など国やセクシュアリティを問わず地球上の多くの女性を苦しめてきた問題がある。書籍版では監督と母親に限らず、監督の亡き父や妹、母の恋人たちなどにも言及があり、TVドキュメンタリーの副読本として鑑賞時に読み取れなかった部分をしっかり補ってくれている。 現在でこそ多様性や人権を守ることに重きを置いている台湾だが、少し前では多様性に対して不寛容であったということを改めて確認する。登場するトピックは決して他人事とは思えないものばかりだし、その一方で台湾のローカルな生活習慣やある時代の風潮についても知ることができる。映画も楽しみである。

Posted byブクログ