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線と言葉 楠本まきの仕事 の商品レビュー

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2024/03/02

借りたもの。 京都国際マンガミュージアム及び弥生美術館での巡回で行われた個展に併せて出版。個展の図録…とはちょっと違うか。 楠本作品の特徴である「線と言葉」に焦点を当て、その魅力を多角的に読み解いてゆく。 個展および本書のタイトルにあるように、楠本まき作品の特長は「線と言葉」に...

借りたもの。 京都国際マンガミュージアム及び弥生美術館での巡回で行われた個展に併せて出版。個展の図録…とはちょっと違うか。 楠本作品の特徴である「線と言葉」に焦点を当て、その魅力を多角的に読み解いてゆく。 個展および本書のタイトルにあるように、楠本まき作品の特長は「線と言葉」にある。 漫画に書かれた文章は説明文や台詞というより詩的。 線の細い絵。 『KISS××××』の前衛的なファッションは、連載終了後 のヴィジュアル系ロックバンドの興隆、(ゴス)ロリータファッションを予見したかのよう。 むしろ、その世界観はV系の琴線に触れた。 他人の目やモテを意識せず「自分を表現するため」のものとしてのファッション。 ‘え だって ジェンダーバイアスに 「よいジェンダーバイアス」とか「許容範囲のジェンダーバイアス」 なんてないんですから なくなった方がいいですよね?’ #MeToo運動も相まって取り上げられた『赤白つるばみ・裏』の一コマ。 展覧会会場でもステッカーになって売っていた(笑い) 楠本さんによる、自身の作品の装丁に関する話も。 旧装『Kの葬列』では書体など細かい部分が気になるので何とかならないかと言ったところならないと言われた、との事。英文の字詰めが上手くいっていないと…… 荒俣宏氏の寄稿もあり。ビアズリーからの影響とその系譜であるという指摘はその通りだと思う(『Kの葬列』にオマージュがある)。19世紀末の流行を「夭折」「耽美」と指摘し、そこから欧州の油彩画などに見る多色で厚塗りの絵画から、色を極限にまでそぎ落とし白と黒そして線で構成されたグラフィックへの移行を「痩せる快楽主義」という表現は、言い得て妙。

Posted byブクログ