「日本型格差社会」からの脱却 の商品レビュー
日本でデフレによる経済低迷から起きる少子高齢化と所得格差や、綻び始めている年金制度による世代間格差など、詳細なグラフによって分析されていて勉強になりました。特に、第一章の年金制度の綻びに関しては、非常に深刻な状況を知ることが出来ました。また、他国と比較して所得が極端に大きい人々か...
日本でデフレによる経済低迷から起きる少子高齢化と所得格差や、綻び始めている年金制度による世代間格差など、詳細なグラフによって分析されていて勉強になりました。特に、第一章の年金制度の綻びに関しては、非常に深刻な状況を知ることが出来ました。また、他国と比較して所得が極端に大きい人々から十分に税を取ることもうまくできておらず、日本の税のシステムでは所得再配分が出来ていないことも分かりました。最終章では、年金の世代間格差を是正するためのこれからの年金制度についても触れられています。
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日銀副総裁も務めた岩田氏の本。 長期デフレが根本にあり、そういった意味で他国とは異なる「日本型格差」といえる特徴的な格差に関して論じていて興味深かった。 MMTとは一線を画していて非常に現実的な議論を進めている点は好感が持てた。 ただ、気になったのは日本は配当課税に関して他国と比...
日銀副総裁も務めた岩田氏の本。 長期デフレが根本にあり、そういった意味で他国とは異なる「日本型格差」といえる特徴的な格差に関して論じていて興味深かった。 MMTとは一線を画していて非常に現実的な議論を進めている点は好感が持てた。 ただ、気になったのは日本は配当課税に関して他国と比べて恵まれているとかかれていたが、アメリカと比較すると違うように思えた。
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日銀内部の人の著者が語る、 格差社会とデフレの原因。 丁寧に説明を積み重ねていてわかりやすいが、 対立する主張の氏を徹底的に叩くスタイルなのが やや気になった。 国のためのことなんだから、いがみあってないで 主張すべきところは主張し、協力できるところは協力して やってほしいと...
日銀内部の人の著者が語る、 格差社会とデフレの原因。 丁寧に説明を積み重ねていてわかりやすいが、 対立する主張の氏を徹底的に叩くスタイルなのが やや気になった。 国のためのことなんだから、いがみあってないで 主張すべきところは主張し、協力できるところは協力して やってほしいと、一市民は願うのだけど。
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ジニ係数では測れない貧困は、相対的貧困=所得の中央値の半分以下の世帯、人。絶対的貧困ではないが、大多数と同じことはできない。日本はアメリカに次いで2位の国になった。ひとり親世帯では約半数。 正規と非正規の分断 年金の世代間格差 資本所得課税で所得の再分配を強化する。 正規と非正...
ジニ係数では測れない貧困は、相対的貧困=所得の中央値の半分以下の世帯、人。絶対的貧困ではないが、大多数と同じことはできない。日本はアメリカに次いで2位の国になった。ひとり親世帯では約半数。 正規と非正規の分断 年金の世代間格差 資本所得課税で所得の再分配を強化する。 正規と非正規の区別をなくす。雇用契約の流動化。 職業訓練制度の充実 公的補助はバウチャー制度にして、消費者に分配。 負の所得税方式の給付付き累進課税制度 年金を積立方式にして、その間の債務を年金清算事業団とする。 アベノミクスの最大の功績は雇用の改善。 従属人口指数は、2030年に50%を超える。2050年には70%を超える。 非正規の増加は規制緩和のせいではない。マクロ経済のデフレ要因による。 雇用を守ることは企業の責任ではなく、国の責任にする。セーフティーネットと職業訓練の充実。 ドーマー条件が満たされれば赤字は一定に保てる。 日本は、資本所得を優遇しすぎているので、高額所得者の重税感は薄い。 生活保護制度には問題がある。 年金の世代間格差は、親の面倒を見なくてよいので存在しない、という議論があるが幻想。 労働生産性は、景気に左右される。暇を持て余している店員の生産性は、景気が悪ければ低く算定される。 真の労働生産性を量る方法としてソロー残差という手法。 技術進歩率は不景気でも変わらないが、労働生産性は低く出る。 アメリカの消費者物価上昇率は平均的に2%で安定している。 不景気のときは、シュンペーターの創造的破壊は起きない。 正規社員も賃上げ抑制を求めている。経営が安定するため。 大企業の労働生産性は景気に左右される。中小企業は雇用調整がしやすいため、あまりかわらない。 1人当たり実質GDPを引き上げないと、現役の所得が減り、高齢者を支えることはできない。 最低賃金引上げが生産性に向上するか否かははっきりしない。一気に上げると失業が増える。韓国の例。 正攻法は、保護政策の縮小撤廃。 正規と非正規の固定化も格差の原因。 最終目標は雇用契約の自由化。 生活保護制度が邪魔をしている。給付付き税額控除方式に改める。ベーシックインカムでは限界がある。負の所得税は生活保護になる。 年金は積立金を取り崩しているから、賦課方式プラス積立金取り崩し方式になっている。そのうち積立金が枯渇して、今の給付水準を守れない。 積立方式に移行。年金清算事業団の財源を相続税にする。
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リフレ派の代表で元日銀副総裁、黒田日銀総裁の異次元の金融緩和を指導した人なので、そのことについてコメントを期待して読みました。ですが、そのことについてはほとんど触れられていませんでした。 デフレこそ不況の原因であり、これを根絶しないと日本経済の成長はないというのがリフレ派の理...
リフレ派の代表で元日銀副総裁、黒田日銀総裁の異次元の金融緩和を指導した人なので、そのことについてコメントを期待して読みました。ですが、そのことについてはほとんど触れられていませんでした。 デフレこそ不況の原因であり、これを根絶しないと日本経済の成長はないというのがリフレ派の理論です。そしてデフレを引き起こしたのは日銀の金融政策が間違っていたからなのだ、というリフレ派の理論的核心については凄い自信なのですが、黒田日銀総裁がその論理を使ったのだから、どうして効果があまり出ていないのか説明が欲しいところです。 もう一つ「MMT」についても語って欲しかったのですが、岩田教授はMMT論者じゃないことがよく分かりました。給付付き税額控除制度の導入やら新相続税や資産所得課税について積極的です。 リフレ派理論を実際に政策として実行した結果についての考証があればもっと良かったのですが、とても面白い本でした。
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