認知症そのままでいい の商品レビュー
「治さなくてよい認知症」を書かれた著者の第二弾。「治さなくてよい」というのは誤解を受けるのか、「そのままでいい」という、早期発見・早期治療より現状をどう受け止め、認知症の人の心にどう寄り添うかを説いた本。専門的にはパーソンセンタードケアに通じる内容であるが、具体的な対処法や考え方...
「治さなくてよい認知症」を書かれた著者の第二弾。「治さなくてよい」というのは誤解を受けるのか、「そのままでいい」という、早期発見・早期治療より現状をどう受け止め、認知症の人の心にどう寄り添うかを説いた本。専門的にはパーソンセンタードケアに通じる内容であるが、具体的な対処法や考え方も書かれており、一般の人にも読みやすく良書と思う。認知症は病気であるが、医学的モデルに偏りすぎない見方が大事である。その意味では医療職、特に医師の意識変革が一番求められているのだろう。
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■認知症の人を支えるとき、その出発点は認知症が治らない障害だと認めること。治すことができないことを受入れ、治せない障害を持った人を支え、助ける態度を持つことがケアや介護の原点になるべき。 さらに、治らない障害を持った人の悩みと苦しみを想像し察してその人が少しでも前向きに生きてい...
■認知症の人を支えるとき、その出発点は認知症が治らない障害だと認めること。治すことができないことを受入れ、治せない障害を持った人を支え、助ける態度を持つことがケアや介護の原点になるべき。 さらに、治らない障害を持った人の悩みと苦しみを想像し察してその人が少しでも前向きに生きていけるように力を貸す。あるいは言葉をかけること。 ■今問題となっている行方不明は重度の人だけの問題ではなく、家族のことも自分の家もわかり会話もできるような中等度レベルの人が出かけた先で迷いうろうろとしてしまっている状態も十把一絡げに「徘徊」としてしまっている。 その人たちには出かける意思があり何らかの願望もあったはずであるが、それは全く議論に上がってこない。 認知症の人がどんな思いで「徘徊」するのか。日々の生活はどんなふうにしているのか。どんな気持ちで暮らしているのか。生活に楽しみや張り合いはあるだろうか。どんな希望や願望があるのだろうか。それらに注目し、本人の心情と生活を見つめることが、まず大切なのである。それを欠いた介護者の視点、見守る人々の視点でのみなされる議論は大きな欠陥をはらんでいる。 求められるべきは「見守りの強化」ではなく認知症の人を見る意識と見方を変えること。 ■認知症のためできないことが増えてくるがそれを当たり前と受け止めて欲しい。生活上のミスやうまくできないことにいちいち驚くのやめたい。それを普通のことと考え声を上げずにさりげなく、できないことを助け、一緒にやってあげたい。 「問題ばかり起こす人」と頭を悩ませるのではなく孤独で居場所をなくしている本人の気持ちを少しでも想像し、「問題が起きているのは私たち周囲の家族の声掛けや対応の仕方が本人を傷つけているせいではないのか」と振り返ってほしい。 周囲の見方や気持ちの切り替えが本人を孤独から少しでも救い、心情を安定させ、態度もより穏やかにするのは間違いない。多くの家族が陥りがちな「悪循環」をその時断ち切ることができる。
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