離れがたき二人 の商品レビュー
シモーヌ自身にとってもパートナーであったサルトルにとってもこの小説はあまり良い評価を得なかった。だが、親友であるザザを若死により失ったシモーヌは今作とは別でも文学的恩恵によって何度も彼女を蘇らせようと試みている。そして養女によるあとがきを読んで今作は価値があったと確信した。
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ザザの死因はなんだったのでしょうか。 科学的かつ客観的に見ればウイルス性脳炎でしょう。しかし、それ以前に遡る運命的な連鎖があり、その網が彼女の存在そのものを捕え、最終的には衰弱させ、疲れさせ、絶望させ、狂気と死に至らしめたのではないでしょうか。シモーヌドボーヴォワールはこう答えて...
ザザの死因はなんだったのでしょうか。 科学的かつ客観的に見ればウイルス性脳炎でしょう。しかし、それ以前に遡る運命的な連鎖があり、その網が彼女の存在そのものを捕え、最終的には衰弱させ、疲れさせ、絶望させ、狂気と死に至らしめたのではないでしょうか。シモーヌドボーヴォワールはこう答えています。ザザは特別な存在であったために死んだのだと。人々が彼女を殺したのであり、彼女の死は精神主義的な犯罪だと。 シモーヌドボーヴォワールの養女
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サヴァブッククラブで選書いただいた作品。 自分では出会えなかったであろう一冊であり、出会えなかったら後悔したであろう一冊。 半世紀以上の時を経て刊行されたふたりの物語に圧倒される。 解説にもある通り、古臭いのは書かれている時代であって、描かれた友愛は決して古くなくむしろ普遍...
サヴァブッククラブで選書いただいた作品。 自分では出会えなかったであろう一冊であり、出会えなかったら後悔したであろう一冊。 半世紀以上の時を経て刊行されたふたりの物語に圧倒される。 解説にもある通り、古臭いのは書かれている時代であって、描かれた友愛は決して古くなくむしろ普遍だ。 アンドレはどうしたって死に向かってしまい、シルヴィーのほうが自由なのに彼女は彼女でアンドレに向かって見返りを求めない愛を注いでしまう。 生まれる時代が違ったなら、ふたりはきっと思うままに生きられたのに。 彼女たちがのような人がいつの時代もいたからこそ、こうして現代に繋がっているのかもしれない。 2021年に生きるわたしたちは、2100年に生きる彼女たちのために、住みやすい世界を残してあげなければ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
著者自身の実体験を元に書かれた、ともに大人になっていく二人の少女の友愛の物語。 序盤はアンドレはただ光の存在として描かれており、それにシルヴィーも敬愛の気持ちを抱く。けれど後半にかけて、徐々にアンドレの背景にある彼女にのし掛かる重荷(カトリック、家族から求められる個としてではない役割)が明らかにされてゆく。読者にとってはシルヴィーのほうが、自由な存在に見えてくるにもかかわらず、シルヴィーには絶えずアンドレが唯一無二の、離れがたい友人であり、見返りを求めない愛情を向ける相手であり続けていたところに胸を打たれた。
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