中世の写本ができるまで の商品レビュー
ヨーロッパ中世のいわゆる写本の作り方を、羊皮紙のなめしから、写字、装飾、装丁の各工程を、豊富なカラーの図版付きで紹介している。といっても、事細かに技巧的なことを追っているというより、エピソードやコスト感など含めながら、中世史としても楽しめるものとなっている。何より写本のカラー図版...
ヨーロッパ中世のいわゆる写本の作り方を、羊皮紙のなめしから、写字、装飾、装丁の各工程を、豊富なカラーの図版付きで紹介している。といっても、事細かに技巧的なことを追っているというより、エピソードやコスト感など含めながら、中世史としても楽しめるものとなっている。何より写本のカラー図版が見ていて楽しく、本棚に納めて愛でたい一冊だ。
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題名の通り、羊皮紙の作り方から装丁にいたるまで写本の作り方を解説した本。実際の写本の図版がカラーでたくさん載っていて、読んでいてとても楽しい。写本の隅にある写字生の愚痴や下準備の罫線を引いた跡、装飾の手順や金箔の張り方など、当時の人々の生活が浮かび上がってくるような解説で面白かっ...
題名の通り、羊皮紙の作り方から装丁にいたるまで写本の作り方を解説した本。実際の写本の図版がカラーでたくさん載っていて、読んでいてとても楽しい。写本の隅にある写字生の愚痴や下準備の罫線を引いた跡、装飾の手順や金箔の張り方など、当時の人々の生活が浮かび上がってくるような解説で面白かった。色とりどりの装飾で飾られた中身のみならず、皮に型押しや宝石や象牙などで豪華に飾られた本たちがぎっしり集められたという図書室、見てみたかったなあ。
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技術や書き方等、内容面白かった。 「ベリー公の時祷書」単品で技術や顔料のことも含めて、1冊出してほしいので、マイナス★1つ。
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写本研究の第一人者が、中世の装飾写本が生まれる過程を羊皮紙の作り方から冊子本の綴じ方まで解説。図版多数。 似たテーマの本では去年、クラウディア・フォン・ハイデ『写本の文化誌』(21.4.23読了)を読んだが、あちらは写本が書かれる背景にあるパトロンの思想やメディアとしての写本...
写本研究の第一人者が、中世の装飾写本が生まれる過程を羊皮紙の作り方から冊子本の綴じ方まで解説。図版多数。 似たテーマの本では去年、クラウディア・フォン・ハイデ『写本の文化誌』(21.4.23読了)を読んだが、あちらは写本が書かれる背景にあるパトロンの思想やメディアとしての写本にスポットを当てていたのに対して、本書は完全に〈モノとしての写本〉にテーマを絞っている。 それだけに、羊皮紙の相場や写字生の賃金、罫線の引き方など、微に入り細に入りカラー図版と共に解説してくれる。思わず、この本を読みながら自分でも写本を作れるのではないかと考えてしまうほど。修道院から俗世の工房へと比重が移っていったのは知っていたけど、15世紀にはほとんどの修道士も工房の本を買っていたというのは少し意外だった。仏教でいうところの写経みたいな、筆写自体に信仰を見る行為は流行らなかったのか。そういえば聖書の納経(?)って聞いたことがないな。 装飾写本の構成は依頼主と一番最初に書き始める写字生の相談によって決まり、イニシャルやミニアチュール画家がオリジナリティを発揮できる自由度は低かったとデ・ハメルは言う。絵が描かれないままの未完成なページの図版もあり、これは"世界一美しい装飾写本"的な本では見られないので面白かった。 彩色に関してあまりにも細々とした指示を書き記した文書が残っていることから、ミニアチュールに素人が携わっていたとする考察も興味深い。18〜19世紀の博物画も彩色が女性たちの内職になっていたというけれど、中世の写本作りにも女性が多く雇われていたそうな。
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中世欧州の写本の構成について解説されている一冊。 紙と羊皮紙、インクと文字、彩飾と装丁、の3項目を簡潔明瞭に説明し沢山の大きな画像で補完しています。 羊皮紙から始まり革装丁で終わるこの旅路は、贅沢な時間であると共に書物作りの過酷さを知るものとなりました。 現代では誰もが文字を読み...
中世欧州の写本の構成について解説されている一冊。 紙と羊皮紙、インクと文字、彩飾と装丁、の3項目を簡潔明瞭に説明し沢山の大きな画像で補完しています。 羊皮紙から始まり革装丁で終わるこの旅路は、贅沢な時間であると共に書物作りの過酷さを知るものとなりました。 現代では誰もが文字を読み、本を買いそして捨てることができますが、本書の読了後に考えてみると人類の技術は短い期間で凄まじく進歩したのだなと感嘆もしました。 しかし媒体が違っても情報資源の持つ価値はなかなか変わらないもので、電子化も含めて外見ではなく中身が重視される点では健全に進んでいるように思えます。 ただ、情報を封じる術の歴史はそれはそれで保存するべきで、写本などは物体を資料として扱う博物館や美術館の畑に類するものと考えます。 司書が学芸員に仕事を丸投げしているようで申し訳ないのですが、でも物体保存のプロとして学芸員を信用しているので…お願いしたいところですね。
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内容は、タイトルのまんま。どっちかというと淡々とした印象。でも、図版がたくさんあって、文章のひとつひとつがなんというか滋養にあふれていて、読んでいてぜいたくな気持ちになれました。この手の本は、図書館で借りたり、電子書籍で読んだりするのではなく、紙の本で(できれば文庫本サイズではな...
内容は、タイトルのまんま。どっちかというと淡々とした印象。でも、図版がたくさんあって、文章のひとつひとつがなんというか滋養にあふれていて、読んでいてぜいたくな気持ちになれました。この手の本は、図書館で借りたり、電子書籍で読んだりするのではなく、紙の本で(できれば文庫本サイズではなく単行本サイズで)所有してゆっくり読み進めたいものです。ちなみにぼくは、『薔薇の名前』が好きなのでこの本にぐっときました。【2021年10月23日読了】
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羊皮紙が丈夫であること、本が長方形である理由、写本の詳細な作り方がこんなに明らかになっていること、それが考古学的研究に役立っていることなど、全く知らない世界を覗いた。 羊皮紙に触ってみたいなあ。
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中世の写本を作るのに使われていた紙や羊皮紙やインクや羽ペンの作り方やペンの持ち方、彩飾がどんな順番でされていたのか、写本の依頼がどう行われていたのかなど、細やかでわかりやすい解説が面白かったです。内容的には入門編のようなので、同じ著者の本をもっと読んでみたくなりました。
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