ケアとは何か の商品レビュー
ケアラーだけでなく、全ての人に読んで欲しい本。 この本は医療福祉従事者のための専門書ではなく、人と人が共に生きていくために大切なことを考える哲学書だと思う。
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看護師などの対人支援職に従事する方へのインタビュー調査等を専門とする著者によるケア概論。対人支援における具体的な場面を題材にケアという営みの重要性や意義がどのように表出されているのかを論じていく。読者は冒頭で示されるコミュニケーションの4類型(①サインを感じ取ること、②アプローチ...
看護師などの対人支援職に従事する方へのインタビュー調査等を専門とする著者によるケア概論。対人支援における具体的な場面を題材にケアという営みの重要性や意義がどのように表出されているのかを論じていく。読者は冒頭で示されるコミュニケーションの4類型(①サインを感じ取ること、②アプローチすること、③相手の立場に立つこと、④共に居ること)のそれぞれが困難だからこそ際立つ場面について読み進めていくうちに、そこで重要とされるものや考えるべきことは日常のすべての他者とのコミュニケーションにおいても同様に重要なものであることを考えることになる。
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やがて訪れる死や衰弱は、誰にも避けられない。自分や親しい人が苦境に立たされたとき、私たちは「独りでは生きていけない」と痛感する。ケアとは、そうした人間の弱さを前提とした上で、生を肯定し、支える営みである。本書は、ケアを受ける人や医療従事者、ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、...
やがて訪れる死や衰弱は、誰にも避けられない。自分や親しい人が苦境に立たされたとき、私たちは「独りでは生きていけない」と痛感する。ケアとは、そうした人間の弱さを前提とした上で、生を肯定し、支える営みである。本書は、ケアを受ける人や医療従事者、ソーシャルワーカーへの聞き取りを通じて、より良いケアのあり方を模索。介護や地域活動に通底する「当事者主体の支援」を探り、コロナ後の課題についても論じる。
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非常に面白く読めた。史実的な行為がクローズアップされるが、それに至るまでのコミニュケーションが大事。意思疎通を図ろうとする努力そのものがケアである。 人が人を相手にする仕事だからこそ様々な形でのコミニュケーションがある。
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必要があって読み直したら、〈出会い〉とか〈からだ〉とか、あいまいな言葉ばかり使っていてよくないと思いました。ただし、〈からだ〉の方は「私たちが内側から感じるあいまいな〈からだ〉」と説明がありました。体性感覚とほぼ同じ意味で使っているようです。
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仕事柄、病や逆境と向き合う患者さんと多く接してきた。その接し方で見えてきたことの答え合わせをしたくて手にした本。 患者さんの中には、悲嘆から抜け出せないでいたり、希望を持てないでいる方も多く、声掛けにも応じず、否定が重なる。まさに人生の歯車が止まっている状態だ。ここに関わる...
仕事柄、病や逆境と向き合う患者さんと多く接してきた。その接し方で見えてきたことの答え合わせをしたくて手にした本。 患者さんの中には、悲嘆から抜け出せないでいたり、希望を持てないでいる方も多く、声掛けにも応じず、否定が重なる。まさに人生の歯車が止まっている状態だ。ここに関わる者は、ケアラーとして役に立てず自分が不甲斐なく感じることはないだろうか。 確かに病や死は避けたくても避けられない。受け入れるしかないものである。しかし、これらの逆境は人との関わりが断たれるだけでなく、その孤独を表明することすらできなくなる辛さを伴う。 ケアラーとして、良いケアを考える時にヒントとなるのは、逆境の淵にいる人が再び自分らしさを取り戻して動き出すための触媒となることだった。 本書には、ケアラーの立ち位置や向き合い方について、相手の反応の受け取り方を大切に、自分が考えていたことよりも大変温かく、繊細に表現してくれている。
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ケアといってもいろんなケアの場があり、この本でも医療者による患者への、介護職による利用者へのとか、子どものケアをしている人とか著者の長年の研究をもとにしたケアの場面から見えてくるものが紹介され、ケアに含まれるさまざまな要素が示唆される。 ケアとは何かと説く本をこれまでにも何冊か読...
ケアといってもいろんなケアの場があり、この本でも医療者による患者への、介護職による利用者へのとか、子どものケアをしている人とか著者の長年の研究をもとにしたケアの場面から見えてくるものが紹介され、ケアに含まれるさまざまな要素が示唆される。 ケアとは何かと説く本をこれまでにも何冊か読んできて、そのたびに感じこの本を読んでも感じたことなんだけど、かなり意気込んで読み始めるんだけど途中でわからなくなっちゃうんだよね。興味ありながらもケアの場にどっぷり身をおいていないので実感が伴わないのか、哲学的な話になっていくと理解できなくなってしまうのか……とにかく残念なことよ。 とはいえ、この本を読みながら思ったのはケアって技というよりは、相手に思いを寄せることなんだということ。解説されれば当たり前のようにうなずけるかかわりなんだけど、実際に誰もができているかというとそうでもない。当たり前のようなことだから考えてするというよりは、アンテナを立てておいて感じたままに相手にかかわるという感じじゃないかと想像する。こういう大切なことが、お金を交えた社会の仕組みや希薄化する人間関係のなかでないがしろにされているとも感じた。 「看護・福祉で大事なこと」という副題らしきものは的を射ていないよね。この本は人と人がかかわり合っていくうえでのケアというものの大切さを説いているのだと思うから。看護・福祉なんて限定してしまうと、対人援助職向けという感じがしてしまう。おそらく著者ではなく編集者が付け加えたもので、一番の読者層と目される対人援助職に訴求はしやすいだろうけど、第二、第三層の読者に広がるのを邪魔してしまっていないかな。
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ACPの小藪さんのポスターの件、星野源さんの入院の件、磯野さんと哲学者の方の対話など、さらなる読書へと誘う一冊。
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研究者である筆者が、対人支援職(看護や福祉職の現場で働く人々)と接し、実際の現場を観察する中で学んだケアに関する本質についてが述べられている。 ケアとは病む人と共にある営みであって、コミュニケーションを絶やさない努力の重要性が本の中で、何度も綴られていた。 人は孤独の中では生...
研究者である筆者が、対人支援職(看護や福祉職の現場で働く人々)と接し、実際の現場を観察する中で学んだケアに関する本質についてが述べられている。 ケアとは病む人と共にある営みであって、コミュニケーションを絶やさない努力の重要性が本の中で、何度も綴られていた。 人は孤独の中では生きられない。だからこそコミュニケーションを取ろうと声をかけ続けることがその人の存在を支える力になる。 21世紀に生まれて発展してきたピアの文化(同じ立場のフラットな関係の人たちが語り合う場所)も、自分が孤独ではないことを確認する手段の一つであることが記されていた。 また、ケアする立場の人(ケアラー)が注意すべきこととして、当事者へ気持ちを押し付けることなく、同じ目線で考え寄り添うことが挙げられていた。 医療について知識がなくても読みやすく、支援職の方の具体的エピソードもたくさん盛り込まれているので、現場でのケアについて想像しやすかったように思う。
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ケアとは、声かけ、そこに一緒にいること。暴言やたった一言や、沈黙でも、相手の何らかのサインに対して、声かけをする。その場にいるだけで、ケアが始まっている。 そのことで、ケアされる側は言葉で物語れたり、反応して、生きている実感が得られる。 そんな事を学べました。
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