水を招く の商品レビュー

中山博喜(著者)

2022/09/01

中山先生は京都造形時代の恩師です。卒制でドツボにはまっていた時に、沢山の励ましと様々なアドバイスをくださいました。
先生から「水を招」いてもらった一人です。

私は長く福岡に住んでいたので、ペシャワールの会の活動状況は時々地元のニュース番組で目にはしていました。
ですが、ニュースというものはやはり抜粋に過ぎずリード文に過ぎず。
中山先生の写真を拝見して、現地の人々の息遣いや眼差しを感じることができました。
被写体は写し鏡。穏やかで笑顔の先生の表情も私の眼に反射したように感じました。

終盤の中村哲さんの写真数ページを拝見しました。
一人で距離を置いてポツンとたたずむ姿が印象的です。
インフラ整備完了後、現地の人々の自立を離れた場所から見守り応援したいとお考えだったのかもと想像しました。

2021/07/03

いまふうの承認欲求や虚栄心などひとかけらもなく、ただ無私の心でひたすら彼の地アフガニスタンの人びとの暮らしのために、地道に汗をかいてインフラを作り続けている人びとの記録。

全体的に淡く、彩度低めでハイキーな荒野の写真にやがて水が流れて、緑が萌える。わずか120ページの写真集だが、長い年月をかけて少しずつ希望が現実になっていく様子は感動的。

このような仕事の時間のスパンはひとりの人間の一生では到底足りないかもしれないが、それでも続けていく。そういう仕事の尊さを、今の時代にこそ考えたい。