伸予 の商品レビュー
「ぽぷらと軍神」 西住戦車長が軍神になった年というから 昭和13年のことだ とある炭抗町に、陸軍伍長あがりの小学校教師がいたという これがまあとんでもない暴力教師で 天皇主義をタテに弱いものをいじめるのが大好きな サディストの豚野郎としか思えない 四年生でこいつのクラスに振り分け...
「ぽぷらと軍神」 西住戦車長が軍神になった年というから 昭和13年のことだ とある炭抗町に、陸軍伍長あがりの小学校教師がいたという これがまあとんでもない暴力教師で 天皇主義をタテに弱いものをいじめるのが大好きな サディストの豚野郎としか思えない 四年生でこいつのクラスに振り分けられた主人公は 恐怖と憎悪にとりつかれ、少しおかしくなっていく だがとある事件をきっかけに この暴力教師に奇妙なシンパシーを抱いてしまうのだった それは要するに 大人たちを前にした「子供」どうしのシンパシーなのであるが もちろん主人公はすぐ後悔することになる 「清吉の暦」 炭坑に新しい竪穴が掘られるというので 好景気への期待に町は沸いた ホルモン焼き屋を営む清ちゃんも大いに盛り上がり 店頭にカレンダーを貼り付け 掘削作業の進捗状況を毎日そこに書き込むなどした ところが、新しい穴から掘りだされる石炭は使い物にならず 数年で山の閉鎖が決まった かつて自らも炭坑夫として働いていた清ちゃんには 迷信深いところがあって 炭坑そのものをなにか 人間の想いが詰まった神聖な場所のように捉えていたのだが それが簡単になくなってしまうとなると 炭坑を中心に営まれてきた人々の暮らしまで すべて嘘だったような気になってくるのだった 「伸予」 戦争が終わったばかりで、伸予がまだ若かったころ 新制中学の代用教員に入ってた時期があった そこで、五つ年下の生徒のことを好きになってしまい 様々にモーションをかけていった しかし結局、伸予ひとりが空転するばかりで 関係の進展することはなく その生徒…善吉が転校したことにより あっけなく恋は終わった 心に穴の空いた伸予はすぐに結婚してしまい 子も孫もできたが 亭主はわりと早くに死んでしまった そんな折、偶然の巡り合わせで善吉の居所をつかんだ伸予は 30年ぶりに会う約束を取り付けるのだった しかし実際会ってみると やはり、伸予ひとりが空転してる感は否めなかった そうこうするうち、善吉の口から30年前の本音が出たりして 結局疎遠になっていった 決定的な破局を確認したあと 伸予は、仏間からずっと見ていた亭主の目に気づく
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