うらんぼんの夜 の商品レビュー
さすがのリーダビリティでぐいぐい読ませる。閉鎖的な村の因習、いわくありげな地蔵、そこへ越してきた東京の家族。虫たちのいつもと違う行動理由などから、納得できるラストが来るものと想像していたが、最終章で思っていたのと全く違う方向へぶん投げられた感じ。レビューを書こうとして、全体を思い...
さすがのリーダビリティでぐいぐい読ませる。閉鎖的な村の因習、いわくありげな地蔵、そこへ越してきた東京の家族。虫たちのいつもと違う行動理由などから、納得できるラストが来るものと想像していたが、最終章で思っていたのと全く違う方向へぶん投げられた感じ。レビューを書こうとして、全体を思い起こし、物語のつくりを考えたら、おそらく計算されたもので決しておかしなものではないと思うのに、この微妙な気持ちでいっぱいになる読後感はなんだろう。それこそが作者の思う壺なのかもしれない。
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#読了 数世帯が濃密な関係と地蔵信仰で強く結びついた内部落。そこに暮らす奈穂という高校生が、閉鎖的で男尊女卑のこびりついた村から逃れようともがきつつも、家業の農業へはなんだかんだ真摯な態度で接している。その真面目さと勤勉さに好感が持て、村から逃れたい一心の無邪気さにもたまらず共感してしまう。 作物の収穫に追われる夏休み中、東京から余所者がやってきた。余所者は精神を病んだ母親と三人の子供達。末娘の亜矢子は奈穂と同い年で、二人はさっそく親しくなる。こんな村に東京からの移住者が来ればどうなるかは想像に難くない。その辺りのじっとりした排他性と、奈穂が老人たちをはじめとする内部落民に抱く徒労感は真に迫っていた。 けれど、話が進んでいくと排他的な老人たちは逆に余所者を何かから守っているようにも感じられる不思議な感覚。途中挟み込まれる昭和初期に起きた地蔵を巡る禍々しい出来事の渦中にいるキミ子という少女が奈穂がリンクしていき、あんなに村から出ることを望んでいた奈穂は、キミ子と同様に村から出られないんだろうなという絶望感を味わう。 終盤でようやく核心に近づくが、結局奈穂が見たあれはなんだったのか? 二人の少女が愛憎入り混じった感情のまま村の中に取り残される姿を想像すると、怪異よりもそちらの方が恐ろしく感じてしまった。 後味の悪さ、そこがとても好みでした。
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遠山奈穂は農家の女子高生。高校卒業と同時に福島の家を出たいと思っているため、自分の畑で作った農作物をフリーマーケットの売り、その資金を貯金している。 そんなとき、東京から亜矢子という同級生の転校生が現れる。奈穂の住む小さな集落では地蔵信仰が盛んで、年寄りたちは余所者には警戒心...
遠山奈穂は農家の女子高生。高校卒業と同時に福島の家を出たいと思っているため、自分の畑で作った農作物をフリーマーケットの売り、その資金を貯金している。 そんなとき、東京から亜矢子という同級生の転校生が現れる。奈穂の住む小さな集落では地蔵信仰が盛んで、年寄りたちは余所者には警戒心が強く、古い因習に囚われている。
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スラスラと読めて、ページを捲る手が止まらなくなりました。こういうホラーミステリーもいいですね。 気の強い女の子が主人公なのも気持ちよかった。 予想だにしていなかったラストにも驚愕でした。
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ホラーミステリでした。前向きな主人公と社会問題を背景とした決して明るくないストーリーは他のシリーズと同じテイスト。会話が自然で一気に読めました。
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こんな村は地獄。そして何とも皮肉なラストに絶句。田舎にある超閉鎖的で独特の信仰を持つ大百舌村。そこで暮らす女子高生奈穂は村に嫌気がさしながらも実家の農業を手伝う日々。ある日東京から一家が村に越してき、案の定よそ者を嫌う村人に排除されるのだが奈穂は理不尽に思う。「この村はおかしい」...
こんな村は地獄。そして何とも皮肉なラストに絶句。田舎にある超閉鎖的で独特の信仰を持つ大百舌村。そこで暮らす女子高生奈穂は村に嫌気がさしながらも実家の農業を手伝う日々。ある日東京から一家が村に越してき、案の定よそ者を嫌う村人に排除されるのだが奈穂は理不尽に思う。「この村はおかしい」と奈穂は孤軍奮闘する。不平不満を言いながらも見事に農業をこなし、頭も良く自立心のある奈穂を魅力的に思っていただけにこのラストはやるせなくなった。誰もかれも異様な信仰と闇を秘めている。村の過去と現在、今後の未来を想像しゾッとする。
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夏に読みたいと数ヶ月待ちの図書館本。 あるお地蔵様に手を合わせる事「願いと災いは背中合わせ」意味を持つお地蔵様。 片田舎の言い伝え、その土地の特有な風習。 よく、その土地のものに習えとは聞くけど溜息が出てしまう。女子高生の奈穂が都会へ憧れを持ち、都会から越して来た亜矢子が来てから...
夏に読みたいと数ヶ月待ちの図書館本。 あるお地蔵様に手を合わせる事「願いと災いは背中合わせ」意味を持つお地蔵様。 片田舎の言い伝え、その土地の特有な風習。 よく、その土地のものに習えとは聞くけど溜息が出てしまう。女子高生の奈穂が都会へ憧れを持ち、都会から越して来た亜矢子が来てからの土地への考え方が変わってくる様子、最後の章のタイトルの意味も自分なりに嗚呼お盆らいしなあと繋げてみました。 少しゾクゾク感あり
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※このレビューにはネタバレを含みます
読友さんの感想を読んで早々に図書館予約。閉鎖的な田舎村、内部落を守るための掟、監視、お地蔵様。恐怖文学を堪能するにすべて条件が揃った。女子高生の優等生・奈穂、東京から引っ越してきた亜矢子。内部落で起きる不思議な自然現象、認知症老人の発狂、そして警察の死。その真相は何かゾクゾクしながら読んだ。なるほど~そうきたか。という真相だったが、予想は外れた。奈穂をあるいは村を人質に取った亜矢子が内部落で過ごすことを決めたのだが、亜矢子のパーソナリティに違和感を感じる。この村に執着する亜矢子が 逆さ吊り女なのかもね。
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主人公が、嫌っていたはずの田舎に徐々に囚われていく様子がありそうで怖い。 個人的にはこれだけでも十分な気がしたので、最後に出てくるアレはどうでもいい気が…
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令和の時代になっても、どこかでひっそりこういう村がまだあるかもと思わせる筆致でした。 しきたりと濃密すぎる人間関係、独特で特殊な小さな世界。 ストーリーも意外な展開で面白かったです。
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